ビジネスわかったランド (人事・労務)
降格・懲戒処分
懲戒処分の6つの有効要件
会社には懲戒権があるが、就業規則に根拠条文を置いたからといって、懲戒処分が無制限に認められるわけではない。
(1)懲戒処分に関する法律の規定
労働契約法第15条では、懲戒について次のように定めている。
「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」
つまり、誰がみても妥当といえる理由があり、なおかつ適当な措置でない限りは、その懲戒処分は有効とは認められない。
懲戒処分をするまでもないと考えられる場合や、懲戒事由とその処分のバランスがとれていない場合には、この労働契約法第15条の規定に照らし、懲戒権の濫用として無効となる可能性が高くなる。
「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」
つまり、誰がみても妥当といえる理由があり、なおかつ適当な措置でない限りは、その懲戒処分は有効とは認められない。
懲戒処分をするまでもないと考えられる場合や、懲戒事由とその処分のバランスがとれていない場合には、この労働契約法第15条の規定に照らし、懲戒権の濫用として無効となる可能性が高くなる。
(2)6つの有効要件
懲戒処分の有効要件としては、次の6つのものが挙げられる。
1 明確性の原則
2 不遡及の原則
3 一事不再理の原則
4 平等待遇の原則
5 相当性の原則
6 適正手続きの原則
これらの要件を総合的に評価して、懲戒処分の効力が判断されることになる。以下、各要件のポイントと留意点をみていこう。
2 不遡及の原則
3 一事不再理の原則
4 平等待遇の原則
5 相当性の原則
6 適正手続きの原則
- 明確性の原則
従業員が行なった不法行為等に対して懲戒処分を適用するには、あらかじめ就業規則に懲戒規定を定めておく必要がある。そのうえで、従業員に周知して、懲戒規定の存在を明らかにしておかなければならない。これが「明確性の原則」である。 - 不遡及の原則
新たな懲戒規定によって懲戒処分の対象となった行為について、懲戒対象ではなかった過去の同様の行為にまで遡って処罰することはできない。 - 一事不再理の原則
同一の行為(過去に懲戒処分を受けた行為)に対して、重ねて懲戒処分を行なうことはできない。 - 平等待遇の原則
同じ行為について、従業員によって、処分の種類や程度を差別的に取り扱うことはできない。 - 相当性の原則
懲戒処分の対象となる行為と、それに対する処分の内容や程度が、均衡のとれたものでなければならない。 - 適正手続きの原則
就業規則等に定められた手続き・方法に従って、懲戒処分を行なう必要がある。
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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