ビジネスわかったランド (人事・労務)
残業代問題
残業代の計算に関係する時間
残業代を適正に計算するためには、1か月の計算基礎賃金総額を割る、1か月の平均所定労働時間が正確である必要がある。また、残業時間の切捨ては認められない。
(1)1か月の平均所定労働時間の計算方法
残業代は次の式により計算する
したがって、正確な1か月の平均所定労働時間が「160時間」であるところを過大に見積もり、たとえば「176時間」として残業代を計算している場合は割増単価が減り、その分だけ残業代が少なく支払われるため、残業代の不払いとなる。
なお、1年365日から差し引く「年間休日日数」は「休日」であり、「休暇」は含まれない。
したがって、「従業員は、7月~9月中に、夏季休暇を3日取得できる。この場合は、休暇届を会社に提出して承認を受けるものとする」と定めている場合の3日間は、労働義務のない「休日」ではなく、労働義務があるが、労働者の申請により出勤したものとみなされる「休暇」となるので、「年間休日日数」には含めない。
1か月の計算基礎賃金総額
1か月の平均所定労働時間
×割増率×時間外・休日・深夜労働時間数
↓
365日-就業規則で定められた休日の年間合計日数=年間所定労働日数
〔年間所定労働日数×1日の所定労働時間〕÷12か月=1か月の平均所定労働時間
計算式における「1か月の平均所定労働時間」の算出方法は決まっており、1年365日の日数から、就業規則で定められた年間休日日数(土・日曜日、国民の祝日、年末年始休日等)を差し引いた結果の年間所定労働日数により計算する。したがって、正確な1か月の平均所定労働時間が「160時間」であるところを過大に見積もり、たとえば「176時間」として残業代を計算している場合は割増単価が減り、その分だけ残業代が少なく支払われるため、残業代の不払いとなる。
なお、1年365日から差し引く「年間休日日数」は「休日」であり、「休暇」は含まれない。
したがって、「従業員は、7月~9月中に、夏季休暇を3日取得できる。この場合は、休暇届を会社に提出して承認を受けるものとする」と定めている場合の3日間は、労働義務のない「休日」ではなく、労働義務があるが、労働者の申請により出勤したものとみなされる「休暇」となるので、「年間休日日数」には含めない。
(2)残業時間の切捨てなどの措置
1日の残業時間のうち30分未満は切り捨てる、という取扱いは労働基準法違反となる。また、「残業は30分単位で届け出ること」としており、残業を1時間45分行なった場合に、1時間30分しか届け出ることができないという扱いも労働基準法違反となる。
労働基準法で唯一、残業時間の切捨てが認められているのは、「1か月の時間外、休日または深夜労働の合計時間数」についてである。この場合も、「総労働時間数に30分未満の端数がある場合はこれを切り捨て、30分以上の端数は1時間に切り上げる場合」に限って、労働基準法違反とはならない。
したがって、会社としては、1日の残業時間を1分単位で管理しなくてはならない。また、事務の軽減を図る場合であっても、残業時間の切捨てはできない。
労働基準法で唯一、残業時間の切捨てが認められているのは、「1か月の時間外、休日または深夜労働の合計時間数」についてである。この場合も、「総労働時間数に30分未満の端数がある場合はこれを切り捨て、30分以上の端数は1時間に切り上げる場合」に限って、労働基準法違反とはならない。
したがって、会社としては、1日の残業時間を1分単位で管理しなくてはならない。また、事務の軽減を図る場合であっても、残業時間の切捨てはできない。
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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