ビジネスわかったランド (人事・労務)

休職

休職期間満了後の取扱い
休職期間が満了しても私傷病が治癒せず(復職できず)、労働契約における従業員側の義務である労務の提供ができない場合は、「労働契約終了」という取扱いとなる。

この労働契約の終了には、「労働契約の解除(解雇)」と「労働契約の終了(退職)」の 2種類がある。いずれとして取り扱うかは各会社に委ねられており、休職制度を定めた就業規則の規定に基づく。

(1)労働契約の解除(解雇)

休職期間満了後、復職できない者は解雇する旨が就業規則に定められていれば、解雇扱いとなる。この場合は、30日以上前の解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要となる。

また、労働契約法第16条の「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という条文に基づき、解雇の有効性が争われる可能性があることにも注意が必要である。

(2)労働契約の終了(退職)

就業規則に「休職期間満了後、復職できない場合は、休職期間満了日をもって自動的に退職とする」と規定されていれば、休職期間の満了をもって退職となる。

この場合は、解雇ではないので、解雇予告または解雇予告手当の支払いは不要である。また、解雇の有効性について労使紛争が起きることもない。ただし、本人が復職を希望しているにもかかわらず、会社側が本人の復職申出を拒否して退職となった場合には、争いが生じる可能性がある。

なお、「自動退職」という取扱いをするためには、就業規則に明確に定めるとともに、例外なく運用している必要がある。

たとえば、従業員Aは休職期間満了後、復職できないので退職とするが、従業員Bについてはさらに数か月様子をみるなど、一律に運用されていない場合には、自動退職という取扱いが否定される可能性がある。

会社としては、解雇予告または解雇予告手当の支払いを要し、解雇の有効性について争いが起きる可能性がある解雇ではなく、自動退職の扱いにしておくのがよいだろう。
休職期間が満了しても回復せず、労務提供不能
 
労働契約の解除(解雇)   労働契約の終了(退職)

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。