ビジネスわかったランド (人事・労務)
解雇
解雇制限の例外
労働基準法では、解雇できない期間(解雇制限)を定めている。会社は、解雇を検討する際には、解雇制限に該当する期間か否かを確認する必要がある。
(1)解雇制限の対象者
労働基準法が定めている解雇制限の期間は、以下のとおりである。
労働基準法第19条で解雇制限の対象とされていても、以下のいずれかに該当する場合には解雇制限は適用されない。
- 従業員が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間とその後30日間
- 産前産後の女性が、労働基準法第65条により産前6週間と産後8週間休業する期間とその後30日間
●労働基準法第81条に定められた「打切補償」を支払う場合(上記の解雇制限の期間の「1」に該当するケースのみ)
打切補償とは、業務上傷病により療養している従業員が、療養を開始してから3年が経過しても治癒しない場合に、使用者が平均賃金の1,200日分を支払い、療養補償等の労働基準法で定められた補償を打ち切ることである。
ただし、実際には当該補償は労災保険から行なわれるので、負傷または疾病に係る療養の開始から3年を経過した後、傷病補償年金を受ける場合は、打切補償を支払ったものとみなされる。
打切補償とは、業務上傷病により療養している従業員が、療養を開始してから3年が経過しても治癒しない場合に、使用者が平均賃金の1,200日分を支払い、療養補償等の労働基準法で定められた補償を打ち切ることである。
ただし、実際には当該補償は労災保険から行なわれるので、負傷または疾病に係る療養の開始から3年を経過した後、傷病補償年金を受ける場合は、打切補償を支払ったものとみなされる。
●天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
地震等の自然災害その他のやむを得ない事由で事業の継続が不可能となった場合が該当する。この要件に該当して解雇を行なう場合は、事前に所轄の労働基準監督署長の認定を受ける必要がある。
以上の取扱いをまとめると、次のフローチャートのとおりである。地震等の自然災害その他のやむを得ない事由で事業の継続が不可能となった場合が該当する。この要件に該当して解雇を行なう場合は、事前に所轄の労働基準監督署長の認定を受ける必要がある。
対象者が解雇要件に該当したため、解雇を検討 | ||||||
↓
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↓
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対象者が、業務上の傷病の療養のために休業しているか、休業から復帰後30日を経過していない | 対象者が、産前産後休業をしているか、休業から復帰後30日を経過していない | |||||
↓
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↓
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以下のいずれかに該当する 1.労働基準法第81条の打切補償を行なった 2.天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、労働基準監督署長の認定を受けた |
天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、労働基準監督署長の認定を受けた | |||||
はい
↓
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いいえ
↓
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いいえ
↓
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はい
↓
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解雇可能 | 解雇不可 | 解雇可能 |
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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