ビジネスわかったランド (会社行事)

福利厚生関係

社内成人式
<< 社内成人式の目的 >>

成人式は、満20歳になった男女を一人前の社会人として認め、それを祝い励ます式典である。毎年1月第2月曜日の“成人の日”に、国、地方自治体(市区町村)が主催し成人式を行っている。
社内成人式は、社員が成人を迎えたことを会社として祝福することを通して、今後社会人としての自覚をもって、ますます自己の研鑽に努める決意を新たにさせるとともに、会社に対する帰属意識を高める目的で実施するものである。

<< 事前準備 >>

(1)対象者の選定
通常、前年の1月1日から12月31日、あるいは前年の4月1日から当年の3月31日までというように、一定の基準を設定して、その間に満20歳になった社員を対象にして成人式を行う。
自治体等では前年の4月1日から当年の3月31日までの学年制で行う場合が多いが、必ずしもこれにこだわる必要はない。ただし、一度基準を決めたら、会社の方針として固定化していくことが望ましい。
なお、式典での答辞者(1名)をあらかじめ選定しておく。

(2)スケジュールの設定
イ.日程
成人式のみを行うか、新年会を併せて行うかによって、その方法が異なってくるが、一般的には1月7日から15日くらいの間の適当な日を選ぶ。
また、若者にとっては、休日をはずして平日に開催するほうが喜ばれるようだ。成人の日当日に社内で行う場合は、国、地方自治体の式典の時間帯と重ならないように設定する。
ロ.時間
開会時間や所要時間等は、式のみの場合と、会食をする場合とでは異なるが、式典と祝賀会(会食)を含めて、約2時間程度がベストである。

(3)場所の選定
予算や規模に合わせて、ホテル、各種会館等の外部施設か、自社ホールや会議室等の内部施設にするかを決定する。外部で行う場合は、式の日時と人数が決まった時点で、速やかに仮予約する。
イ.社内で催す場合
人数にもよるが、会議室等で成人式を行い、会食を含めた祝賀会は昼食時または業務終了後に講堂等で行う。会場の飾付けは社員の手づくりとし、折詰弁当と飲み物程度で済ませてもよい。
ロ.社外で催す場合
公共施設、ホテル等を予算と規模に合わせて選ぶ。なお、中小企業などで社長を中心に家庭的な雰囲気のなかで成人式を祝いたいときは、レストランまたは社長の自宅などが気がきいている。

(4)祝品の選定と手配
成人式という性格上、辞書やボールペン、シャープペンシルなどの筆記用具や、印鑑など門出にふさわしい、心に残る記念品を準備する。成人者名や社章・社名を入れる場合は、時間的余裕をもって発注する。渡すものは前日までに必ず揃えておくこと。

(5)会場の飾付け、胸章等の準備
社内で行う場合は、昨年成人した先輩による手づくりの飾付けや、模造紙等でつくったタイトルを前もって用意しておく。また、祝賀パーティー用に、成人者各人の名前入りの胸章(リボン付き)を準備しておくとよい。

(6)進行係
進行係はパーティー全般の進行管理と雰囲気づくりを担当する。円滑な運営のためにも、式次第、会場の配置、成人者名を事前に確認しておく。成人式では、社長、総務部長(幹部)、来賓等の挨拶と、成人代表(1人)の答辞があるので、該当者に確認し、スピーチの長さを打ち合わせておく。来賓に祝辞を依頼する場合は、責任者が出向いてお願いするのが礼儀であるが、その際に話してほしいポイントがあれば、失礼にならない程度に打ち合わせておく。所要時間に制限があるので「○○分程度でお願いします」とはっきり言っても失礼にならない。できれば5分以内にしてもらうとよい。
会食をする場合には、食事内容、座席配置を確認しておく。ホテル、会館等の貸会場を使用するときには、事前に会場を見て、会場係の人と以下の事項を打ち合わせておく。
イ.予約日時の確認
ロ.会場レイアウト(机・椅子の配置、受付の設置、成人式用看板)
ハ.控室・ロビーの使用の可否
ニ.湯茶の設備
ホ.設備機器(暖房・照明・音響)の調整
ヘ.非常口と避難方法

(7)準備チェックリスト
成人式を開催するに当たっては、事前に次のような項目を確認しておく。
□会場をどこにするか決定したか
□会場のレイアウトはどうするか
□成人者の所属部署名と身上書を揃えたか
□該当社員の名簿を作成し、関係者に配付したか
□祝辞を依頼する人は決まっているか
□最終的な出席人数(来賓、社外からの参列者を含む)を確定したか
□名前入り胸章を発注したか
□飾付け担当者は決まっているか
□マイクの数、音響、照明等は大丈夫か
□スピーチ用演卓に水差しとおしぼりは置いてあるか
□会場の使用許可時間を確認し、関係者に徹底してあるか
□成人代表者を誰にするか決めてあるか
□会場には湯茶の設備があるか
□祝辞、挨拶予定者との打合せは万全か
□欠席者があった場合の対応は決めてあり、徹底しているか
□レイアウトは、当初の予定どおりになっているか
□飾付けに不備な点はないか
□受付と表示は大丈夫か
□照明、マイク、暖房の状態はちょうどよいか
□記念品、胸章などは発注数どおり納品されているか
□祝辞、挨拶予定者の出欠の確認はしたか
□祝辞、挨拶の際に流すBGMは選定してあるか
□ビデオ、カメラは用意してあるか
□音響設備の具合を確認したか
□控室がある場合、来賓等の誘導は適切に行えるようにしてあるか
□出席該当社員の服装を徹底しているか
□万歳三唱の発声者は決まっているか
□記念品の授与は誰がするのか決まっているか
□司会進行担当はメモを作成し、滞りなく進行できる態勢をとっているか

(8)会場のレイアウト
成人式には、厳粛な式典と、家庭的で和気あいあいムードの漂う会食を含めた祝賀の集いという二面性がある。できれば式典は会議室等、祝賀会は講堂やホール等というように会場を分けたいところであるが、外部のホテルなどで行う場合は「第1部成人式」、「第2部成人祝賀会」とプログラムを分ければ、同一の会場でも十分対応できる。
成人式会場レイアウトモデル

成人祝賀会会場レイアウトモデル


<< 当日の運営 >>

(1)式次第の作成
第1部を成人式、第2部を成人祝賀会として構成する場合の式次第モデルを以下にあげる。
イ.(第1部)成人式
・開会の言葉(司会者)
・成人者の紹介(総務部長)
・社長の祝辞
・来賓の祝辞
・成人者代表の答辞
・記念品贈呈(社長)
・閉会の言葉(司会者)
ロ.(第2部)成人祝賀会
・開会の言葉(司会者)
・役員の挨拶(副社長)
・乾杯(専務)
・歓談(司会者は1人ひとりに成人しての決意・感想などをインタビュー)
・来賓、先輩社員の祝辞と挨拶
・閉会の言葉(司会者)

(2)成人式の進行と運営モデル
イ.開会の言葉(開式宣言)
成人者一同が着席し、落ち着いたのを見計らって、司会者が、「では、ただいまより○○年の成人式を執り行います。最初に○○総務部長より、成人者のご紹介をいたします。総務部長、よろしくお願いします」
ロ.成人者の紹介
総務部長「皆さん、成人おめでとうございます。これからお名前を読み上げますので、呼ばれた方は返事をして起立してください」1人ずつ個別に所属と名前を読み上げて、強く印象づけるように紹介する。
総務部長「以上○名の皆さんが、このたび成人の日を迎えられました。おめでとうございます。では、皆さんの拍手をもってお祝いいたしましょう」
ハ.社長の祝辞
成人者が着席し、ざわめきが収まったところで、司会者が、
「次に、社長の祝辞がございます。社長お願いいたします」
社長には、「皆さん、成人おめでとうございます」から始まり、成人者への期待と願いを込めた、成人式にふさわしい言葉を述べてもらう。以下、挨拶前後に拍手を送るよう指図する。
ニ.来賓の祝辞
来賓1名に、5分以内の簡潔な祝辞をあらかじめ依頼しておく。
ホ.成人者代表の答辞
司会者「次に、成人者を代表して、○○○○君に答辞を述べてもらいます。成人者は全員起立願います」
成人者代表「本日は、私たち○名のために、このような盛大な成人式を催していただき誠にありがとうごさいました。そのうえ、社長はじめ、ご来賓各位の心温まるお祝いの言葉をいただき、私たち一同、新成人としての責任の重さを痛感するとともに、~(中略)
以上、成人式のご祝辞に対するお礼とともに、一言、私たち一同の感謝の意を述べさせていただいた次第でございます。本日はありがとうございました」と、代表者が答辞を述ベ、終わったら拍手し、全員着席する。
ヘ.記念品贈呈
社長が成人者1人ひとりに記念品を手渡す場合もあるが、人数が多い場合は成人者代表に手渡す。
ト.閉会の言葉
記念品贈呈に続いて閉会宣言を行う。
司会者「これをもちまして、○○年の成人式を終わります」
ここで(第2部)の成人祝賀会にそのまま移る場合は、閉会宣言と同時に祝宴に入る。
ただ、祝宴が別の場所で行われる場合は、司会者が閉会宣言のあと、その旨を伝え、5~10分の休憩の後に祝宴会場へ移る。

(3)成人祝賀会(パーティー)の進行と運営モデル
イ.開会の言葉
全員が着席したら、司会者が開会の挨拶を述べる。「お待たせいたしました。ただいまより成人となられた○名の成人祝賀会(パーティー)を開催します。皆さん、おめでとうございます。本日は、皆さんの社会人としての出発と、今後のご活躍を祈念して祝賀会を設けました。どうか今日の喜びをゆっくりかみしめながら、くつろいで、和やかな一時を過ごしていただきたいと思います」
このように、式典よりも軟らかい調子で、くつろいだ雰囲気をつくるよう心掛ける。
ロ.役員の挨拶
司会者「それでは、この会に先立ちまして、副社長から、一言お祝いのスピーチをお願いします」
ここでは、すでに社長の祝辞が終わったあとなので、なるべく短いものにしてもらうのがポイント。終わったら拍手を送る。
ハ.乾杯
司会者「それでは、ここで祝杯をあげたいと思います。皆さんの前のグラスに飲み物をついでください。それではお立ちください。○○専務に乾杯の音頭をお願いします」 
専務の発声により祝杯。
ニ. 歓談
司会者「さあ、おなかもすいたことでしょう。大したものはございませんが、心ばかりの料理を準備しましたので、十分に召し上がってください」
このような調子で料理をすすめ、できるだけ和やかな雰囲気をつくるよう努力する。しばらくの間、食事をしながら歓談を続け、頃合いをみて、成人者の自己紹介に移る。成人者のスピーチは、司会者によるインタビュー方式のほうが堅苦しくなくてよい。
司会者「会も盛り上がってきましたが、この辺で、成人者の皆さんに自己紹介をお願いしたいと思います。自己紹介をするときは立ち上がって、名前、出身地、趣味など何でも話してください。成人になった感想、決意など話してもらえるとなおよいですね」
このような調子で、司会者自身が堅くならずにユーモアのある司会をすると、会場も和やかになる。1人ひとりに決意なり感想なりを述べさせるとき、司会者はあいづちを打ったり、激励したりして、できるだけ話しやすい雰囲気をつくるように心掛ける。
ホ.来賓、先輩社員の祝辞と挨拶
来賓の祝辞や先輩社員の体験談等は、2~3分ぐらいの短いものにしてもらうこと。まだ時間があるようなら、音楽などを流しながら歓談を続ける。
ヘ.閉会の言葉
司会者「では、そろそろ予定の時刻がまいりました。成人になられた皆さんには、これから社会人として頑張っていただきたいと思います。皆さんのご健勝とご活躍を心からお祈りいたしまして、本日の成人祝賀会をお開きとさせていただきます。皆さん、ありがとうございました」
以上で終わるが、社内で行った場合は、後片けを十分にして解散する。

著者
橋口 寿人(経営評論家)