ビジネスわかったランド (会社行事)

福利厚生関係

全社的休暇
<< 全社的休暇の目的 >>

時代の趨勢は、労働時間の短縮、余暇時間の増大という大きな潮流の下、昔ながらの働きバチ根性は通用しない世の中になってきた。
このように、いままさに「休暇の必要性」を全社的に考え、思い切った休暇制度に改善すべき時にきているのである。
会社によっては、すでに健康保持を目的とする夏季休暇、冬季休暇といった一斉休暇以外に、自己啓発の時間と家族とのコミュニケーションの場を提供することを目的とする“リフレッシュ休暇”等を実施するところが増えてきている。
ここでは、会社行事としての全社的休暇を中心に、その制度改善、一斉休業時の注意、対策等について考えてみたい。
なお、全社的休暇としては、主として次のようなものが考えられる。
イ.夏季休暇(盆休み)
ロ.冬季休暇(正月休み)
ハ.創立記念日
ニ.休日・祝日等の一般的休み

<< 全社的休暇時の対策と注意 >>

(1)社外対策
自社の都合により任意に一定期間休業するのだから、社外の関係先に対しては、あらかじめ連絡・通知し、くれぐれも業務に支障をきたさないよう十分に留意することが必要である。
イ.仕入先、販売先、金融機関等への通知
年初に、会社カレンダーや行事予定表等により、すでに全社的一斉休暇については関係先に連絡されている場合もあるが、その休暇の1か月前に、改めて関係先への通知が必要である。
・連続休暇等の通知状は、休暇開始の1か月前に発送すること
・通知状は、官製ハガキによるのが最も確実である
・通知先は、仕入先、販売先、取引金融機関など

ロ.郵便物配達休止届の提出と保管依頼
休暇中の郵便物配達休止届を、所轄の郵便局へ提出し、保管してもらうように依頼する。

ハ.警備会社への連絡
警備等を委託している警備会社に、連続休暇等のため、一定期間不在となる旨を、あらかじめ伝えておく。
ニ.留守番電話のセット
「○○休暇のため、○月○日から○月○日まで、誠に申し訳ございませんが、休業させていただきます」と、アナウンスをテープに吹き込んでおく。
NTTに申し込んでおく方法もある。
ホ.所轄の警察派出所への連絡
所轄の警察派出所へ連絡し、期間中の巡回を依頼する。会社に独身寮がある場合には、入居者の氏名、寮の責任者氏名、期間中の在寮者氏名等を、所轄の警察派出所へあらかじめ届けておくことも必要である。
ヘ.新聞配達の一時休止依頼
新聞についても、郵便物と同様、配達休止を購読先の新聞販売店へ電話等で依頼し、料金を精算しておく。
ト.チラシの掲示
本社はもちろん、工場、支店、倉庫等でも連続休暇等の告知チラシを作成し、掲示しておく。

(2)社内対策
イ.社員に対するもの
・役職名、氏名、住所、自宅電話番号、帰省先・レジャー先等の連絡先と電話番号を明記した緊急連絡先一覧表を作成し、休暇中の異常事態等発生時に備え、役員を含む管理職以上に周知徹底を図る。
・学生や児童の夏休み・冬休み等に伴い、帰省やレジャーで、家族揃って外出する機会が多いので、交通事故や海山での遭難事故等に十分注意するよう各人に呼びかける。
・家族も含め、食中毒、ケガ、風邪の防止等、衛生、健康管理面の注意を喚起する。
ロ.防犯対策
社屋、工場、倉庫等が無人化する場合は、防犯に十分な注意が必要である。
・扉、窓等の施錠は、数人で再確認し合うくらい確実に励行し、破損部を発見したら、即修理する。駐車場の社用車の施錠も忘れずに確認する。
・現金、貴重品などは、机、ロッカー等に放置しないようにする。やむを得ず社内に保管しなければならない場合は、会社の金庫に収納する。
・私物等は、各自責任をもって管理し、大切な私物は持ち帰らせる。
・休暇開始直前日の退社時には、潜伏者排除のため、トイレ、給湯室、大型家具の中なども厳重にチェックする。
・鍵などを郵便受け、玄関マットの下など、社屋敷地内に隠しておくことは、非常に危険であるので絶対しない。
・社屋周辺の環境点検も行う。隣接ビルの工事等ではしごや踏み台がある場合は、侵入の足場となるので整理・格納、撤去などをくまなく行う。
ハ.防火対策
不注意による火事等などは、決して起こしてはならない。くれぐれも注意して、防火対策に当たるべきである。
・可燃物の取扱いには、十二分に注意すべきである。社屋周辺や床下に可燃物が放置されていないか厳重に点検し、不要なものはすべて処分しておく。ダンボールの空き箱等も、放火の危険、隣接建物からの延焼等の可能性があるので注意が必要である。
・吸殻入れ、ガスの元栓、配電盤、OA機器等のコンセント等の点検は念入りに行う。
・消火器、火災報知器、防火扉(シャッター)等の防火設備は、定期点検および機器チェックを十分に行う。
・防火扉やシャッターの作動エリア内に物を置いていると、火災の延焼を食い止められないので、くれぐれも注意する。
・火災報知器のベル・スイッチはONになっていることを必ず確認する。
ニ.生産設備の点検・整備
製造会社の場合には、全社的連続一斉休暇の直前に、生産設備の点検整備を行うのが望ましい。
ホ.安全衛生対策
・冷蔵庫内の食料品等は全部取り出し、氷も溶かして、電源を切っておく。
・生ゴミを処分し、ゴミ箱等の清掃・整理を行っておく。
・各部屋も整理、整頓、清掃を念入りに行っておく。

(3)全社的休暇チェックリスト
□仕入先・販売取引先および金融機関等への通知は発送したか
□事務所・工場等の警備会社への連絡は済ませたか
□留守番電話はセットされているか
□所轄の警察派出所へは連絡したか
□郵便物配達休止届は提出したか
□新聞配達の一時休止依頼はしたか
□告知チラシの掲示は万全か
□緊急連絡先リストはできているか
□社員および家族の交通事故、遭難事故防止注意の呼びかけは万全か
□施錠は間違いなくしたか
□現金・貴重品の取扱いは万全か
□私物の管理は徹底しているか
□潜伏可能場所に異常はないか
□鍵等の保管、管理は万全か
□社屋周辺の環境点検は大丈夫か
□可燃物の取扱いは万全か
□火元の点検の再確認は行ったか
□防火設備の保守、点検はできているか
□生産設備の点検・整備は大丈夫か
□冷蔵庫内の食料品等はすべて取り出したか
□生ゴミ、ゴミ類は残っていないか
□整理・整頓は大丈夫か
□すべてにわたって、防犯・防火対策を再確認したか 


著者
橋口 寿人(経営評論家)