ビジネスわかったランド (会社行事)

福利厚生関係

クリスマスパーティー
<< クリスマスパーティーの目的 >>

クリスマスというのは、キリストの生誕を祝う12月24日の前夜(イブ)と25日の2日を指す。
もともと、クリスチャン以外の人には関係ないはずのものが、現代の日本では一般的な季節の風物詩としてとらえられ、パーティーを開くことが当たり前のようにさえなっている。
企業としては、本来の意味に直結した催しを行うことはないが、年末ということもあって、年末社員親睦会の1つとしてクリスマスパーティーを開くところも多い。
酒を飲んで1年のうさを晴らすといった意味をもつ忘年会とは違って、社員一同あるいはセクションごとに仲間うちで集まって、食事をしながらコーラスやダンスを楽しみ、プレゼント交換などをして、明るくほのぼのとした時間を過ごすのがクリスマスパーティーである。

<< 事前準備 >>

(1)規模と参加対象の設定
次の4つの場合が考えられるが、それぞれ予算規模と対象者によって、内容・会場等が変わってくる。
イ.全社員参加の場合
ロ.セクション、クラブ、サークルごとの場合
ハ.社内での希望者のみの場合
ニ.社内外の不特定多数を対象とする場合

(2)開催日時の設定
12月24日、25日にこだわる必要はないが、20日以降25日以前の週末が望ましい。一般的には、25日を過ぎて開く場合は、クリスマスパーティーではなく、忘年会となる。

(3)開催場所の設定
華やかさが求められるので、会場はホテルや会館、レストラン等が一般的である。社内で行う場合は、飾付けなどで華やかさを演出する工夫が必要である。

(4)案内状の作成と掲示・回覧・発送等
イ.全社員参加の場合は、各セクションごとに案内状を回覧、あるいは社内の目につくところに掲示するなどの方法をとる。

ロ.セクション、クラブ、サークルごとの場合、その内部だけで通達し合う。
ハ.社内での希望者のみの場合は、各セクションごとに案内状を回覧し、応募者チェックも同時に行う。
ニ.社内外の不特定多数を対象とする場合は、パーティー券を作成し、社内出席希望者を通して、あるいは幹事が直接案内状とパーティー券を手渡すなり、郵送するなりして対応すべきである。その際、会費を取る場合は、授受を確実にする。
ホ.重要な取引先、大株主、OBなどを招待したい場合は、別に招待状をつくり、招待用のパーティー券、出欠の返信用ハガキ、会場までの案内図等も同封して、当日の3週間前ぐらいに先方に届くように投函する。

(5)事前準備と役割分担
イ.開催会場との打合せ
日時、人数、予算を決定したのち、飲食内容、専属バンド、サービスの種類などを会場の係と相談して決定する。支払方法も忘れずに確認しておく。
ロ.業者との打合せ
社内で行う場合、飲食関係、予算、人数、日時、支払方法等を相談して決め、確認しておく。
ハ.案内状の作成、パーティー券の配付
ニ.アトラクションやゲームの考案、用具類の準備
ホ.会計係
会費の授受を確実にする。
ヘ.景品係
プレゼント等の選定と手配をする。プレゼント交換をする場合には、忘れてきた人のことを考え、予備のプレゼントを用意しておく。

(6)当日の役割分担
イ.司会・進行係
会が盛り上がるか否かは、司会・進行係に負うところが大きい。ユーモア、ウイットに富んだ機転の利く人物を選ぶ。
ロ.設備・設営係
社内で行う場合は、会場の設営全般を担当する。看板、椅子と机、照明、マイクスタンド、スピーカー等の音響機器、演出用の花、クリスマスツリー等、様々なものを準備する必要がある。
社外で行う場合は、会場のパーティー担当者と、細かい点まで打合せをし、こちらの要望を伝えておく。
ハ.受付係
招待状のチェック、記帳、ネームプレート、会場までの案内等を行う。
ニ.会計係
パーティー券・会費の授受と記録。会場費、景品・プレゼント代、その他諸経費等すべての予算と実行予算を管理する。

(7)飲食物の種類選定の注意点
イ.飲食物は、量的にはもちろんだが、質的にも十分なものを用意する必要がある。
ロ.質的、種類的にも高級かつ多種多様に用意することが、クリスマスパーティーのもう1つの楽しみ方でもある。メニューの例としては、和風、洋風、中華風を織り混ぜて用意すると参加者全員を満足させることになる。
ハ.おでん、焼鳥、そば、すし等、身近なものを提供する模擬店方式を採用するのも、会を盛り上げ楽しくさせる1つの方法である。
ニ.参加者全員のニーズをよく把握して、開催会場、あるいは仕入先の飲食業者などと詳細な打合せを行い、こちらの要望もはっきりと伝えておく。
ホ.飲み物類は、ビール、日本酒、ウイスキー、ワイン、ジュース類のほかにも、シャンペン、リキュール類なども揃えておき、食ベ、飲みながら楽しめるよう演出する。
ヘ.紙コップ、紙皿、ナプキンなど、クリスマス用のものを用意して、雰囲気を楽しむのもよい。
ト.ビュッフェコーナー、バーコーナーにキャンドルをともすなど、クリスマスらしい趣向を凝らすのもおもしろい。

(8)アトラクション等を充実させるポイント
アトラクションには、寸劇、コーラス、ダンス(フォークダンス、ディスコダンスなど)、プレゼント交換、ゲーム(ビンゴゲーム、福引など)、カラオケ、仮装大会、サンタクロース登場などがある。

(9)会場レイアウト
クリスマスらしい雰囲気を出すために、レイアウトには十分気を配りたい。クリスマスツリーを設置し、ビュッフェテーブル、バーコーナー、舞台の位置を考慮する。
クリスマス会場レイアウトモデル


<< 当日の運営 >>

(1)プログラム
プログラムのモデルは以下のとおりである。
・開会の言葉(司会者)
・主催者挨拶(社員親睦団体実行責任者)
・社員親睦団体会長挨拶(社長)
・乾杯(専務)
・アトラクション(コーラス、ダンス、寸劇など)
・抽選会、プレゼント交換
・閉会の言葉(司会者)

(2)プログラム進行上の注意
イ.開会5分くらい前からBGMでクリスマスソングを流すなどして、雰囲気をつくり出す。できれば照明などをカクテル光線にして、効果的な演出をする。会場に参加者のほぼ全員が入場した頃に、司会者が開会の言葉を述べる。
ロ.手短に主催者が挨拶をする。幹事代表あるいは社員親睦団体実行責任者などが行う。
ハ.引き続いて、社長が手短に挨拶をする。
ニ.乾杯の音頭は、専務などに前もって依頼しておく。できれば、シャンペンを開け、全員のコップに行き渡るようにすると、さらに気分が盛り上がる。
ホ.30分程度の歓談後、参加者全員によるダンス、コーラス、あるいは有志、飛び入りによる寸劇、一発芸など、自由な雰囲気のなかで繰り広げる。
各人の余興を審査し、点数をつけて、賞を授与するなどの演出も考える。ひと通りの余興が終わったら前もって決めておいた審査員たちによる賞の結果発表と、賞品授与を行う。
ヘ.再び30分ほど歓談し、終宴近くになったら、ダンスなどのあとに、プレゼント交換を行う。その際、全員にモレなくプレゼントが渡るように注意する。
用意してこなかった人のために、前もって何個か余分にプレゼントを用意しておく。
ト.モレなくプレゼント交換が終わり、それぞれが包みのなかを開けて、喜び、楽しんでいるなかで、司会者はクリスマスパーティーの閉会の言葉を述べる。

<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>

(1)会社主催の場合
会社が主催し、もっぱら社員のために行われ、その費用が通常の範囲内のものであれば、取引先の社員等が多少参加している場合でも、その支出費用は全額損金となり、福利厚生費で処理できる。ただし、取引先等の社員の参加者が多く、その親睦を目的としていると認められるような場合は、1人当りの費用が少額であっても、全額が交際費になる。

(2)社内のサークル等が主催の場合
福利厚生を目的として組織されたクラブ、サークル等で、会社から独立していない団体に対する支出金は、福利厚生費勘定で処理することになる。
なお、会社から独立していない団体とは、その事業経費の相当部分を会社が負担しており、かつ次のいずれかに該当する団体をいう。
・役員、使用人で一定の資格を有する者が、その資格において当然その団体の役員に選出されることになっていること
・会社がその団体の業務運営に参画していること
・その団体の事業に必要な施設の全部または大部分を、会社が提供していること
ところで、会社から独立した団体である労働組合やサークル、クラブ等の費用を会社が負担した場合、それらの費用は通常、寄付金として扱われる。もっとも、これらの団体と共催で行う場合で、もっぱら社員の慰安を目的とし、その費用が通常要する範囲内のものであれば、福利厚生費で処理できる。

著者
橋口 寿人(経営評論家)