ビジネスわかったランド (会社行事)

建築関連祝賀

除幕式
<< 除幕式の目的 >>

(1)社内的な意味
句碑や胸像などの記念碑が完成して、それを公開する際に、覆ってある幕を取り除く儀式が除幕式である。会社行事でよく行われるものとしては、創立者の胸像や銅像の除幕式があり、落成式などの他の行事と一緒に行われる場合もある。これらは単に像の完成を祝うだけでなく、創立者の偉業をたたえ、末永く伝えられることを願う意味をもつ。
社員主体の式典などと一緒に行われる場合は、会社の歴史を振り返り、初心を忘れず協力者へ感謝するとともに将来の展望について語り、努力を誓うのによい機会でもある。

(2)社外的な意味
記念碑は、当人の存命中に建てる場合と、死後に建てる場合がある。故人に由来するものは、その人の功績を顕彰するとともに、故人の家族やゆかりのあった人々にとっては故人を偲ぶ機会となる。

<< 事前準備 >>

(1)規模と参加対象の設定
除幕式のみ行う場合の参列者は、建立責任者である会社の経営陣、制作責任者、家族、縁故者などの直接関係者と、その他に、会社取引先、記念碑が地元と密着性が高い場合であれば、土地の有力者を招くこともある。

(2)事前準備
イ.方針の決定
除幕式は、除幕対象物の設置されている現場で挙行しなければならないため、屋外の場合は雨天を考慮してテントを設営するなど、種々の対応策が必要である。除幕の手順・設営は、専門業者に一任するのが無難であるが、神事をかたどる場合と、一般の式として行われる場合とがあるので、あらかじめ主催者側で方針を決定しておく。
また、式典の主役ともいうべき引き綱役の選定と人数を決め、予行演習をしておくことが大切である。当日、主催者側で用意するものについては、事前に主催者、専門業者、神主の3者で話し合っておく。
式典終了後、立食パーティー式の祝宴が開ける会場を用意し、設営や料理などについて相談しておく必要がある。
ロ.スケジュールの設定
完成が近づいたら、完成の予定日を確かめたうえで、縁故者などとも相談して、除幕式の日取りを決め、関係方面に案内状を出す。
ハ.神社への依頼
神事をかたどる場合は、神主に依頼することになるが、大安の日は神主のスケジュールも込み合うので、少なくとも2~3週間前には依頼をしておく。このとき、当日主催者側で用意するべきものは何かを確認する。
また、当日神主を迎えに行ったほうがよいかどうかも確認する。主催者側で車を用意する場合には、神主1人が乗るのか、あるいは祭壇などの運送も行うのかを確認し、その場合、大きさはどの程度のものかを聞き、余裕のある車を用意する。
ニ.神主、参列者への祝儀
神主への祝儀については、依頼の際に金額を聞いておく。およその相場を教えてくれるはずであるから、神社が近ければその金額で、遠方の場合は「車代」を別に包む。参列した制作会社関係の人にも相応の祝儀を出す。
ホ.専門業者への依頼
催しの実施で世話になる外部の業者は、除幕の際の演出関係業者、会場関係者、料理の仕出し屋など様々である。業者への相談や依頼は、早めに行うことが大事であるが、相談する時点で大体のプランを練っておきたい。
ヘ.参列者リストの作成、招待状の発送
参列者リストは運営のベースになるものである。当日の受付名簿や礼状の宛先リストにもなるので、社名、氏名、住所、役職名の変更がないかを確認したうえで作成する。リストには招待状発送のチェック、招待状の通し番号、出欠の確認、記念品贈呈(ランクをつける場合には社外秘)、祝儀受領などの項目を設けると便利である。
リストアップが完了したら、早めに招待状を印刷に回し、発送の手筈を整える。目安として除幕式の2週間前くらいに先方に届くように投函する。
ト.祝辞の依頼
祝辞を依頼する来賓には、責任者が出向いてお願いするのが礼儀である。その際に話してほしいポイントがあれば、失礼にならない程度に打ち合わせておく。
チ.記念品の選定と手配
落成式など他の行事とともに行われる場合は記念品を贈ることもあるが、一般には銅像の記念写真程度である。ただし、予定外に人数が増える場合などを考慮して、社名入りの記念品を用意しておくのも一案である。
リ.準備チェックリスト
当日までの準備と、当日準備すべき事項について、チェックリストやメモをつくっておくとよい(後掲)。
●ワンポイントアドバイス
引き綱役の選定
式典の主役ともいうべき引き綱役は、存命中なら本人に除幕してもらい、故人に由来するものの場合は、故人の縁故関係者のうちから、幼少の順に選定する。普通は、孫などの縁故者がこれに当たる。また、引き綱役は1人と限るものではなく、関係者多数の場合は、添え引き綱を用意してくれる。
とくに除幕に際して注意すべき点は、タイミングのよい誘導である。「引き綱をとった瞬間に、ハラリと白布がはずれる」演出や、拍手のタイミングなどは素人ではなかなかできないことなので、専門業者に依頼して、十分なリハーサルをしておく必要がある。
参列者の心得
・贈り物……除幕式では、贈り物などはとくに行われてはいない。ただ参列するだけでかまわない。主催者の指示どおり、タイミングよい拍手などで、式典を盛り上げることに気を遣い、また、除幕する際にうまく落ちなくても、笑ったりしては失礼に当たるので、気をつけたい。
・服装……式の規模にもよるが、一般には略礼服か、平服でよい。参列者への案内状にも、平服で気を遣わないよう添書きしておくとていねいである。

<< 運営のポイント >>

(1)式の概要
まず、参列者を胸像のまわりに集める。開会の辞の後、建立責任者が式辞を述ベ、縁故者による除幕の後、来賓の祝辞、家族の謝辞などがあって、閉会の辞となり、披露宴に移る。
神事では、除幕を行う胸像の近くに祭壇を設け、神主の型どおりの修祓を受け、除幕の儀において、縁故者によって除幕される。終了後、直会として、披露パーティーの席上で、建立責任者が挨拶を行い、来賓の祝辞、家族の謝辞などがあって、乾杯となる。

(2)式次第
式次第は神事をかたどる場合と、一般の式として行われる場合とで異なる。
●神事での式次第
・修祓の儀
・降神の儀
・献饌の儀
・祝詞奏上
・除幕の儀
・玉串奉奠
・撤饌の儀
・昇神の儀
・直会
●一般の式次第
・開式の辞
・式辞(建立責任者挨拶)
・除幕
・祝辞(来賓代表の言葉)
・謝辞(家族、縁故者の謝辞)
・閉式の辞
神事では、祭事が終わると、直会として酒宴を行うことになっている。この場合は簡単な会場を用意しておき、折詰めの料理と赤飯、おつまみ、飲み物を用意する。会場は、立食パーティー形式で行うのが普通である。一般の式として行われる場合も、式典後、簡単な祝宴に移る
●ワンポイントアドバイス
建立責任者挨拶は、(1)建立の趣旨・建立までの経緯、(2)建物物の説明、(3)寄付金者の紹介と謝辞、(4)式典参列者への謝辞を網羅し、要領よくまとめる。

(3)役割分担表の作成
会場は、除幕対象物の設置されている現場で挙行しなければならない。そのため、会場が屋外の場合は、テントを張り、テーブルと椅子などを用意して、飲食に備える必要がある。神事をかたどる場合は、祭壇を設けることになるので、前もって神主と打合せをしておく。規模が大きい場合は、会場のセッティングを専門の業者に委ねるのも便法である。
役割としては、設備・設営係、受付係、手荷物係などを設けるが、その内容は、「2.上棟式・立柱式」参照。

<< 後始末とフォローアップ >>

(1)出席者に対して
礼状に添えて記念のスナップ、本人が写っている写真を同封すると喜ばれる。

(2)欠席者に対して
挨拶状、記念のスナップを送る。VIPの場合は、担当者が持参して渡す。
除幕式までに準備することのチェックリスト



著者
橋口 寿人(経営評論家)