ビジネスわかったランド (会社行事)

祝賀記念

子会社設立記念行事
<< 子会社設立記念行事の目的 >>

子会社の設立は、親会社から一部の事業部門を分離独立させるケースと、新規事業分野へ進出するためのテストプラントとしてのケースがある。
子会社設立記念行事の目的もそのケースによって異なるが、いずれの場合も、新たに独立した会社としてスタートしたことを、主な取引先や業界関係者に披露し、今後の会社経営についての協力・支援をお願いする重要な行事で、次のような意味をもっている。

(1)社内的な意味
イ.子会社設立記念行事を機会として、全社員が心機一転、前途に大きな希望をもって、会社設立の目的に向かって邁進する決意を固めることができる。
ロ.親会社から子会社に移る社員は、少なからず不安と疎外感をもっているので、その不安を取り除き激励してやる。

(2)社外的な意味
イ.会社設立を関係者に披露する。
ロ.これまで支援してもらった取引先、関連会社などに対して感謝するとともに今後のさらなる支援をお願いする。

<< 事前準備 >>

(1)準備委員会の設置
会社設立発表会の計画・準備も設立準備委員会の段階からスタートすることになる。
発表会の規模、出席者の範囲などについての基本方針を固め、それに応じて組織を編成するが、いきおい少数精鋭で対応することとなろう。

(2)日時の決定と会場の確保
会社設立日は、法的手続きの見通しやトップの政策的判断で決められることになるが、記念行事は会社設立の日に行うのが原則である。少人数で準備を行わなければならないことを考えれば、会場は各種の設備が整い、ノウハウも豊富なホテルを利用するのが無難である。

(3)配付資料等の作成
発表会出席者に新会社の事業目的、企業理念、組織形態などを知ってもらうための資料を準備する。この資料は、発表会出席者に配付するだけでなく、招待しなかった関係者等に郵送する挨拶状に添付する資料としても活用する。
資料には、最低以下のことを盛り込む。
イ.社長挨拶
ロ.会社の事業内容
ハ.企業理念
ニ.会社の概要(組織、設備、資本金、主要株主、取引銀行等)

(4)会場のレイアウト、飾付け、演出等
ホテルの担当者のアドバイスを受けながら、会社のスタートにふさわしい発表会となるよう、会場のレイアウト、飾付け、演出等を考える。
会場の雰囲気を華やかに盛り上げるためアトラクションを依頼したり、社歌が制定されていれば社員有志による社歌斉唱などを考えてもよい。ピアノかエレクトーンはぜひ入れたい。

(5)招待者リストの作成
招待者のリストアップに当たっては、親会社、関連業界団体、主な取引先、地元関係者等のほか、新会社のこれからの経営戦略的な視点も考慮する。
リストアップが済んだら招待者のリストを作成するが、このリストは招待状の発送だけでなく、発表会当日の受付名簿や記念品贈呈名簿にも使われるので、ミスのないよう細心の注意が必要である。
氏名、会社名、役職名、住所に誤りや変更はないか十分チェックするほか、読み誤りやすい氏名や会社名にはふりがなをふっておく。
リストには通し番号をつけるが、番号帯を関連業界とか地元関係とかいうように振り分けておくと、チェックの際に便利である。

(6)招待状の作成・発送
招待客リストができたら、毛筆による宛名書きなど発送の手筈をとる。招待状は次ページの文例等を参考として作成し、出欠の返信用ハガキ、会場までの案内図、記念品引換券、式次第、スピーチ依頼書などを同封のうえ、少なくとも2週間くらい前には相手に届くよう投函する。
祝辞、乾杯、万歳三唱の音頭などを誰に依頼するかは、高度な判断が求められるので様々な角度から検討し、社内のコンセンサスを得ておく。祝辞を依頼する来賓には責任者が出向き、話してほしいポイントや話の長さなどについて失礼にならない程度にお願いしておく。



<< 当日の運営 >>

式次第の作成
式次第のモデルを次に示す。
・開会の辞
・社長挨拶
・来賓祝辞1
・鏡開き
・乾杯
・会社幹部紹介
・祝宴
・来賓祝辞2(祝電披露)
・アトラクション
・万歳三唱
・閉会の辞

<< 後始末とフォローアップ >>

会社のイメージの向上と発表会開催の効果をより定着させるためにも、招待者へのフォローアップを行うことが大切である。
また、発表会の準備・実施の記録は、今後同種の行事を行うときの貴重な資料となるので、よく整理して保存しておく。

(1)出席者に対して
出席された方に対しては、できるだけ早く礼状を出す。礼状に添えてマスコミリリース用の写真や、本人が写っているスナップ写真を同封すると喜ばれる。
また、VIPに対しては、翌日、幹部が直接お礼かたがた挨拶に出向く。

(2)欠席者に対して
 欠席者に対しては、記念品と挨拶状、記念撮影のスナップを送る。VIPの場合は、担当者が持参して手渡すのがベターである。

(3)収支決算書等関係資料の整理
支払いが済んだら収支決算書を作成するほか、創立記念日や新商品発表会など今後の会社行事を行うときの参考となる資料を整理しておく。
・招待客出欠表(代理出席の場合、代理者の役職もわかるようにしておく)
・祝儀、記念品、祝電をいただいた方のリスト
・スケジュール、役割分担、会場レイアウトその他発表会全般についての反省等



著者
橋口 寿人(経営評論家)