ビジネスわかったランド (会社行事)

祝賀記念

社長就任披露
<< 社長就任披露の目的 >>

社長の就任披露は、社長個人の告知PRではなく、会社全体の社業発展にかける意気込みと、そのための社員の団結力を関係各方面に表明、告知することを目的とする。
一般的には、新旧社長の交代を披露する場合が多く、スムーズな交代劇は企業イメージにプラスとなる。社長の座の禅譲は、順調に後継者を育ててきたからできることであり、さわやかな世代交代と受けとられる。新会社の初代社長の場合は、もちろん単独の就任披露となる。また、前社長が病床に臥していたり、事故や病気で急逝した場合も同様である。
社長交代のいきさつは、アレコレと事情があったとしても、会社のイメージチェンジや脱皮成長をアピールする場であり、企業活動をより一層活性化するチャンスとして活用する。

<< 計画と準備 >>

計画と準備に付随する注意事項は次のとおり。

(1)準備委員会の設置
会社の顔である社長の就任披露であり、新社長を中心にした今後の企業活動の決意表明と事業意欲の告知であるから、全社をあげて取り組む体制をつくる。そのためには、総務部が中心になりながら、各部各課、各支店から適任者を推薦してもらい、プロジェクト・チームを結成する。
営業社員は顔が広く、招待客と面識がある場合が多いので、式典、パーティー当日は遊軍として、会場での誘導案内や接待係とする。

(2)開催日時、場所の決定
株主総会終了後、できるだけ速やかに開催する。時間がたつと間が抜けた感じがするからである。新社長の就任挨拶状を作成・印刷・郵送する作業も同時に着手する。就任披露式典、パーティーは、対外的な新社長のデビューでもあるから、社内で行う場合は少ない。招待するのは挨拶状で済まされない重要な取引先、金融関係、政財界の協力者などであるから、ホテルを利用するのが一般的である。会場の予約はできるだけ早めに行う。このときに、パーティーの趣旨と形式、おおよその出席者数、概算予算などを伝えておく。内容の詳細な打合せは、出席者数がほぼ決定してから(開催日の1週間から10日前)でよい。


(3)社内出席者、招待客の人選・決定
中心になってまとめるのは、総務部が適任である。日頃から社外と付合いの多い営業部門がらみの人選になろうが、普段裏方に回っている施設営繕、経理などの取引先も招待する。
大株主、メーンバンク、主要取引先、関連会社、下請け、マスコミ、業界紙(誌)、同業者などは最低限の招待客である。
社長の交代は代替りという捉え方もできるから、かなり広範囲にわたった配慮が望まれる。
社員への通知は、業務連絡などで行う。出席予定者(課長以上、部長以上など)によっては、日常業務に支障をきたすことも出てくるので、配慮が必要である。

(4)招待状の発送時期
招待客はビジネスの第一線で活躍中の多忙な人が多いと思われる。また、各社の株主総会は一時期に集中しており、役員の改選も行われる。つまり、披露パーティ一は短期間に重複しやすい。そこで招待状は、式典、パーティーの1か月前くらいに先方に届くように投函する。祝辞を依頼する来賓には、まず口頭でお願いしたうえで文書でも依頼しておく。
招待状のモデル原稿は、以下のとおりである。


(5)記念品の手配・発注
記念品は企業イメージに合ったもの、心遣いが感じられるものがよい。ただし、かさばるものは、持ち帰るのに不便である。 

<< 当日の運営 >>

(1)式次第とパーティーの内容
式次第としては、以下のような形が一般的である。
・開会の辞
・旧社長挨拶
・新社長挨拶
・来賓祝辞
・乾杯
・祝宴・懇親・歓談
・祝電披露
・閉会の辞
社長就任披露パーティー会場レイアウトモデル


(2)祝宴当日の段取り
実行委員は開式の2時間ぐらい前には集合したい。メンバーの数が多い場合は、出欠を確認する。次に、分担した業務のやり方を再確認する。この種の業務分担が初めての社員がいるときは、経験者が指導する。業務内容によっては、時間の許す範囲でリハーサルをしておくとよい。
祝宴がスタートしたら、出席者が平等に楽しめる雰囲気づくりにつとめる。引っ込み思案で、積極的に料理を取れない人には、「どうぞ、ご遠慮なくお好きなものをお取りください」とすすめたり、直接取ってあげるとよい。バンケットホステスに指示して、こまめに動いてもらってもいい。

<< 後始末とフォローアップ >>

祝賀会終了後、出席者に礼状を送る。発送用の封筒は白の二重封筒か角封筒を使い、宛名書きは毛筆書きとすると丁寧である。欠席者であっても、祝品をもらったところや重要な取引先には、社長以下幹部社員が記念品などを持参して、お礼や挨拶に行く。
以上のフォローアップは、日がたち過ぎると効果が半減するので、速やかに実行するように段取りをしておく。
お礼の挨拶回りがひと区切りついたら、撮影したビデオや写真類を記録・整理する。社内報やPR誌などで特集を組んだり、後日社史編纂する際の使用も考慮する。


<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>

式典費用、祝賀パーティー費用とも、「法人成り発表会」の取扱いを参照。

著者
橋口 寿人(経営評論家)