ビジネスわかったランド (会社行事)

祝賀記念

社名変更行事
<< 社名変更行事の意義と目的 >>

社名変更は、社内的にも社外的にも、いろいろな理由が考えられる。
イ.他企業との合併
ロ.営業内容の変更
ハ.社内の士気や外的イメージの刷新
ニ.本社の移転
ホ.他企業との軋轢(あつれき)を避けるため
などである。
変更の内容も、単に社名だけを変える場合と、CI(コーポレート・アイデンティティー=企業イメージ統一)としてとらえ、社章、シンボルマーク、ロゴタイプから帳票類まで一新することもある。
いずれにしても、この行事は、社名変更を絶好のチャンスとして社内の士気を高め、外に向かっては企業のイメージを力強くアピールし、今後の躍進のキッカケとすることを目的として実施するものである。

<< 社名変更の手続き >>

(1)新社名の決定
新社名は最終的にはトップが決定するが、最初からトップの意向だけで決定する方法と、社内から新社名を募集する方法とがある。社内から募集するときは、それなりの手間と時間がかかるが、社員の企業参画意識と新社名に対する親近感を醸成する効果が期待できる。
イ.プロジェクトチームの編成
社長室、総務部、企画部、広報部などから適任者を選んで、新社名募集のプロジェクトチームを編成する。
ロ.新社名の募集
上記チームメンバーは、それぞれの担当部署、職場に募集の要項・趣旨を周知徹底させ、新社名を募集する。なお、その際、採用となった社名の提案者には、賞金(または賞品)を授与することにしておけば、社員の応募意欲をより喚起できる。
ハ.検討
応募を締め切ったら、メンバーによる検討会を開催し、字面、音声的響き、発声の難易等を考慮して、候補を7~8点に絞り込む。検討会には社外の専門家を招き、その意見を参考にする。
ニ.決定
絞り込んだ応募作を会社側(取締役会)に提出し、最終的に決定してもらう。

(2)社名変更に伴う登記
イ.社名変更登記の手続き
社名変更の際には、株主総会を開催し、定款を改定する必要がある。総会の決議が済んだら、議事録を添えて、商号変更届を管轄の登記所に提出する。
ロ.所轄官公庁等への届出
市役所、警察署、税務署等所轄官公庁に対して、法令、規定により義務づけられている変更の手続きを行う。


(3)新社名の発表
新社名は検討段階では極秘扱いとし、社内外同時に発表するのがPR効果上望ましい。社内発表が遅れると、社外からの問合せに対して混乱するだけでなく、目的とした社員の参画意識の醸成どころか、かえって会社に対する不信感を招くもとにもなりかねないので注意したい。
対外発表は、日頃接触している新聞社、あるいは記者クラブに責任者が出向いて、社名変更の主旨を記したプレス・リリースを手渡し、質疑を受けることになる。
そのほか関連企業、地元商店会、町内有力者、さらに諸官庁等へは社名変更についての案内状を発送する。また、新聞掲載、チラシの新聞折込み等もタイミングよく行う。

<< 事前準備 >>

事前準備の注意事項は次のとおり。

(1)行事の内容と規模
社名変更に伴う行事を式典だけにするか、パーティーも行うか、またどの程度の規模にするかなどにより、それぞれ異なったパターンをとることになる。
社名変更をどのように位置づけ、どのように利用するかは会社の経営方針に絡む問題であるので、トップの意向を斟酌して、行事内容や規模を決定する。ここでは、式典とパーティーを行うケースを取り上げる。

(2)準備委員会の設置
社内各部署から適任者を選んで準備委員会を設置することになるが、この場合、とくに留意すべきことは、取引関連企業、地元、諸官庁の事情に明るい者を必ずメンバーに加えることである。
新社名のイメージを定着させ、社業の発展、運営の円滑を期するためには、社内業務熟練者の役割もさることながら、社外諸般の事情に精通した者の果たす役割が大きいからである。

(3)日時と会場の決定
招待者のおおよその人数を決定し、それに合わせて適当な会場を選定、式典・祝宴の日時を決める。

(4)招待客リストの作成
決められた招待の範囲に従って、招待客リストを作成する。リストアップに当たっては、イ.報道マスコミ関係者、ロ.設立当時の功労者、ハ.大株主、ニ.主な取引先の方は、どうしても欠かせない。
招待状は、次の文例等を参考として作成し、式典当日の2週間くらい前までには先方に届くよう投函する。


(5)記念品、資料等の準備
イ.記念品
記念品は、新しい社名のイメージに合うようなものを選び、社章や社名を入れる期間を考えて早めに注文する。
ロ.賞状、賞品の準備
新社名として採用された作品あるいは新社名決定のヒントになる候補名の提案者を表彰する場合は、賞状および副賞を準備する。副賞は通常、募集の際に公示するが、現金、商品券、旅行券、図書券、記念品などいろいろ考えられる。
ハ.配付資料
招待客に対して、新社名の由来等を知ってもらうための資料を準備するとよい。資料には、新社名決定の経緯と意味のほか、業績の推移、社名変更を契機とした自社の企業スタンスなどを盛り込む。取引先や関連団体等に対して発送する挨拶状に添付する資料として作成されていれば、それを利用する。

<< 当日の運営 >>

(1)当日の式次第
・開会の辞
・社長挨拶
・優秀社名候補提案者の表彰
・来賓挨拶
・乾杯
・祝宴
・アトラクション
・万歳三唱
・閉会の辞

(2)式典会場のレイアウト、飾付け、演出等
会場のレイアウトは次のとおり。
会場レイアウトモデル

(注)雰囲気を盛り上げるためバンド演奏、アトラクション等も検討する。
社名変更を契機とし、将来に向かって大きく飛躍しようというものなので、厳粛ななかにも華やかさと活気に満ちた行事とするよう工夫を凝らしたい。

<< 後始末とフォローアップ >>

会場の後始末は、新社名のイメージにも関わるので、最後まできちんと行う。
イ.来客への礼状など、フォローアップを忘れてはならない。
ロ.招待客の出欠表、祝金・祝電等の贈り主のリスト、行事全般に関する反省点等の資料を整理し、今後の行事運営のための参考資料とする。
ハ.欠席者に対しては、記念品と挨拶状を送る。
ニ.報道マスコミ関係者を含めて、当日のVIPには、会社の責任者が後日、記念品を持参するほうが、この行事の目的にもよく合致する。
ホ.すべての支払いが済んだら、収支決算書を作成して、上部に報告する。


著者
橋口 寿人(経営評論家)