ビジネスわかったランド (会社行事)

祝賀記念

本社移転記念行事
<< 本社移転記念行事の目的 >>

本社移転には、本社の新社屋落成に伴うものと、既存のビルなどへの移転という2つのケースが考えられるが、そのうちの「新社屋落成に伴う移転行事」に関しては、「建築関連祝賀」の「落成式」の項も参照されたい。
ここでは、「移転行事」を中心に述べる。社運興隆、業務進展の1つの節目として記念行事を行うものであるから、本社の移転に際してこれを祝賀することはもちろん有意義であるが、さらに進んで、
(イ.)今後の社業の進展を期する
(ロ.)関係諸企業・官公庁、地元(移転先)関係者との親睦を図る
ものである。

<< 事前準備 >>

事前準備の注意点は次のようになる。

(1)規模と参加対象の設定
移転先が現在の会社所在地に近く、関係する官公庁等がかわらないときは、行事の規模や招待者の範囲も小幅なものとなろうが、離れた場所へ移転する場合や、移転に併せて社業の拡大を図りたいという場合には、規模の大きな行事となる。いずれにしても、こうした会社の経営戦略的な意味合いを含めて、上部および社内のコンセンサスをとりながら、その規模と出席者の範囲などを決定し、リストアップしておく。

(2)日時、場所の決定
式典は移転先の社屋で行い、祝賀会の席は別にするケースが多い。祝賀会にホテルや会館などを利用する場合は、式典参列者の移動の便、新社屋との距離を考慮して早めに決定し予約する。

(3)招待状の発送
招待客リストを作成し、招待状を発送する。招待客リストは、氏名、会社名、役職名、住所に誤りや変更がないかどうかよくチェックし、読み誤りやすい氏名や会社名にはふりがなをふっておく。
招待状は、次の文例等を参考とし、出欠の返信用ハガキ、会場までの案内図、記念品引換券などを同封のうえ、約3週間前には先方に届くよう投函する。


(4)記念品の選定、発注
式典・祝賀会の招待者に配る記念品と、会社移転に当たってとくに功労のあった方に感謝状とともに贈呈する記念品を選定し、発注する(工事関係者等への感謝状は、通常、社屋落成式で贈呈する)。
記念品といえども会社を判断する材料となるので、安くてもセンスのあるものを選びたい。従来からの取引関係以外の招待者が多い場合は、自社製品あるいは自社取扱品で適当なものがあれば会社のPRを兼ねられる。
社章や社名を入れる時間を考えて早めに発注する。

<< 当日の運営 >>

当日は式典に引き続き、場所を移動して祝賀会を運営するが、受付係、設備・設営係、宴会進行係の何人かは、2時間くらい前には祝賀会の会場に先行し、会場設備の状況、受付名簿等資料のチェック、ホテル側の準備状況の確認を行う。受付係は、1時間くらい前に、早めに来るお客を迎える態勢を整える。

(1)式次第モデル
イ.式典式次第モデル
・開会の辞
・社長挨拶
・来賓祝辞
・感謝状贈呈
・社歌斉唱
・万歳三唱
・閉会の辞
ロ.祝賀会式次第モデル
・開会の辞
・社長挨拶
・来賓祝辞1
・鏡開き
・乾杯
・祝宴
・来賓祝辞2(祝電披露)
・アトラクション
・万歳三唱
・閉会の辞

(2)会場のレイアウト・飾付け、演出等
イ.式典関係
会社の会議室を利用する場合のレイアウト・飾付けのモデルを次に示しておく。
本社移転式典会場のレイアウトモデル

正面に吊看板および国旗・社旗を飾り、演卓に生花等を置く。人数が50~60人以上になるときは、マイクを用意する。壁に紅白のまん幕を張り巡らせば華やかな雰囲気をつくり出せる。
ロ.祝賀会関係
ホテルの担当者のアドバイスを受けながら、会社の1つの転機となるべき祝賀会にふさわしいレイアウト・飾付け、演出を検討する。立食式のパーティーやカクテルパーティーの場合は、客が1か所に固まらないようレイアウトを考える。レイアウトモデルを次ページに示しておく。
会場の雰囲気を盛り上げるため、樽酒の鏡割り、バンド演奏、アトラクション等予算との兼合いで検討する。最低限、ピアノかエレクトーンの演奏は入れたい。リラックスさせるBGMはぜひとも必要である。
本社移転祝賀会場のレイアウトモデル


<< 後始末とフォローアップ >>

(1)出席者に対して
出席された方に対しては、できるだけ早く礼状を出す。礼状に添えて本人が写っているスナップ写真を同封すると喜ばれる。また、VIPに対しては、翌日、幹部が直接お礼に伺う。

(2)欠席者に対して
欠席者に対しては、記念品と挨拶状、記念撮影のスナップを送る。VIPの場合は、担当者が持参して手渡すのがベターである。

(3)収支決算書等関係資料の整理
支払いが済んだら収支決算書を作成するほか、創立記念日や新商品発表会等、今後の会社行事を行うときの参考となる資料を整理しておく。
・招待者出欠表(代理出席の場合は、代理者の役職もわかるようにしておく)
・祝儀、記念品、祝電をいただいた方のリスト
・スケジュール、役割分担、会場レイアウトその他移転行事全般についての反省点等

<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>

支出費用の税務取扱いについては、「法人成り発表会」を参照。 

著者
橋口 寿人(経営評論家)