ビジネスわかったランド (会社行事)
祝賀記念
法人成り発表会
<< 法人成り発表会の目的 >>
法人成りとは、個人経営の企業が業容の拡大に伴い、有限会社や株式会社など、法人としての組織形態を整えること、すなわち会社を設立することである。もちろん、個人経営を経ないで、いきなり法人として会社をスタートさせる場合も含まれ、最近はむしろ最初から会社を設立するケースが多くなっている。
いずれの場合も法人成り発表会は、会社を設立したことを主要取引先や業界関係者等に披露し、今後の会社経営について協力、支援をお願いする重要なセレモニーである。
具体的には次のような意味をもつ。
(1)社内的な意味
法人成りは、社外を対象とする行事であるが、これを機会に全社員が心機一転、前途に大きな希望をもって、会社設立の目的に邁進する決意を新たにするよいチャンスでもある。
(2)社外的な意味
イ.会社が法人化したことを広くアピールする。
ロ.取引先、関連会社、同業者など、これまでご支援をいただいた方々に感謝するとともに、重ねて今後のご支援をお願いする。
ハ.法人成りに当たってご協力をいただいた方々に対して、感謝の意を表する。
法人成り発表会は、会社としての旗揚げの会で、将来の盛業を祈念し、併せて会社の広報宣伝も兼ねるものである。
したがって、とくに社外に重点を置き、会社の第一印象をよくするよう配慮しなければならない。
<< 事前準備 >>
(1)規模と参加対象の設定
法人成り発表会は、いわばこれから大海に漕ぎ出す船の進水式であるから、今後の社運の隆盛をイメージさせるにふさわしいものとする。
招待者は会社の規模により異なるが、主な取引先、同業者、関連会社、金融機関、新たに営業分野を拡大する場合はその関係者、主な株主、地域社会(近隣の個人、法人、地元商店会、町内会等)の方々などを招待する。
(2)企画委員会の設置、および担当者の選定
発表会の成否は、今後の社運を左右するものだけに、準トップクラスを長とする企画委員会を設置し、企画を綿密に練り、周到な準備と運営を行う。企画委員会には、企画委員長のもとに、設備・設営係、受付係、手荷物係、宴会進行係、記念品係、車両係などを設ける。
担当者は、法人成りに伴う社内ルールづくりや社内外の対応などで大変忙しく、かつ十分な準備期間が取れないので、全社対応でとくに有能な者を選定し、係分担を明確に決める。
係分担で大切なことは、係間でのモレや重複がないようにすることである。お互いにこの仕事は他の係でやるだろうと思い込んで、どの係も手をつけなかったり、逆に同じことを重複してやったりするのは、ままあることである。これを防ぐためには、係間での連絡を密にするほか、随時、係の責任者による合同連絡会議を行うようにする。
(3)配付資料等の作成
発表会の出席者に会社の法人成り以前の状況や、法人成り後の会社の規模、陣容、経営理念などを知ってもらうための資料を準備する。この資料は発表会出席者に配付するだけでなく、招待しなかった関係者等に郵送する挨拶状の添付資料にもなる。
資料には、最低次のようなことを盛り込む。
・社長挨拶
・法人成りまで(個人企業時代)の沿革
・会社の事業内容と企業理念
・会社の概要(組織・人員、資本金、取引銀行等)
<< 当日の運営 >>
(1)式次第のモデル
式次第は、発表式典と祝賀パーティーを別々にやるか、併せてやるかによって異なってくるが、それぞれの例を次に示す。
<式典とパーティーを別々に行う場合>
●発表会式典
(司会は部長職以上の者が行う)
・開会の辞
・発起人経過報告
・社長挨拶
・社章(社歌)の発表
・幹部役員紹介
・来賓祝辞(祝電披露)
・万歳三唱
・閉会の辞
●祝賀パーティー
・開会の辞
・社長挨拶
・来賓祝辞1
・乾杯(社歌発表)
・祝宴
・アトラクション
・来賓祝辞2(祝電披露)
・万歳三唱
・閉会の辞
<式典とパーティーを同一会場で併せて行う場合>
・開会の辞
・発起人経過報告
・社長挨拶
・来賓祝辞1
・乾杯
・幹部役員紹介
・祝宴
・アトラクション
・来賓祝辞2(祝電披露)
・万歳三唱
・閉会の辞
・散会
(2)祝賀パーティー会場のレイアウトモデル
(3)司会の進め方
司会は、式典・祝賀会を成功させるうえで極めて重要な役割を果たす。法人成り発表会の場合は、総務部長が担当するのが一般的である。
次に司会の進め方のモデルを示す。
(司会者) 「皆様、大変お待たせいたしました。ただいまより、○○株式会社創立記念式典を執り行わさせていただきます。
私は、本日の司会進行役を務めさせていただきます、総務部長の○○でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。
それでは早速でございますが、このたびの会社設立にご尽力をいただいた○○様から、発起人を代表して経過のご説明をお願いいたします。(状況により経過報告は社長挨拶の中で行ってもよい)」
……発起人経過報告……
(司会者) 「ありがとうございました。続きまして、社長の××よりご挨拶を申し上げます」
……社長挨拶……
(司会者) 「ありがとうございました。社長××の挨拶でございました。
それでは続きまして、当業界の連合会会長であらせられる○○会社の△△社長様から、ご挨拶を賜りたいと思います。△△様よろしくお願いいたします」
……△△社長祝辞……
(司会者) 「業界を代表して△△連合会会長様のご祝辞でございました。ありがとうございました。
続きまして、乾杯に移らせていただきます。乾杯のご発声を、当社の前身でありました××商店時代からごひいきをいただいております、○○会社の◇◇社長様にお願いいたしたいと思います。◇◇様よろしくお願いいたします」
……乾杯……
(司会者) 「それではここで、社長から当社の幹部を紹介させていただきます」
……幹部紹介……
(司会者) 「ありがとうございました。どうぞ今後ともよろしくお引回しのほど、お願いいたします。
それでは、これから懇談に移らせていただきます。誠に粗酒・粗飯ではございますが、時間の許す限りごゆっくりご歓談下さいませ」
……懇談・アトラクション(状況により出演者を紹介)……
(司会者) 「ご歓談中ではございますが、ここでご来賓の方のご祝辞をいただきたいと思います。それでは業界の大先輩であられる◎◎会社の□□会長様、よろしくお願いいたします」
……□□会長祝辞……
(司会者) 「◎◎会社の□□会長様でございました。温かい励ましのお言葉ありがとうございました。
ここで、たくさんの祝電を頂戴しておりますので、ご披露させていただきます」
……祝電披露……
(多数の場合は、適宜電文の内容を省略する)
(司会者) 「ご歓談中、誠に恐縮でございますが、時間の関係もございますので、このあたりで中締めといたしまして、万歳三唱をさせていただきたいと思います。万歳三唱の音頭は、地元商店会の△△会長様にお願いいたします」
……万歳三唱……
(司会者) 「ありがとうございました。これをもちまして、○○株式会社創立発表会を一応終わらせていただきますが、まだ料理、飲み物もたくさんございますので、お時間のございます方は、引き続きご歓談下さいませ。本日は、ご多用のところ本当にありがとうございました」
<< 後始末とフォローアップ >>
大きな行事を終えるとついほっとしてしまって、とかく後始末をおろそかにしてしまいがちなものである。会社のイメージの向上と発表会開催の効果をより定着させるためにも、招待者へのフォローアップを手際よくスマートに行うことが大切である。
(1)出席者に対して
出席された方に対しては、できるだけ早くお礼状を出す。お礼状に添えてマスコミリリース用の写真や、ご本人が写っている写真を同封すると喜ばれる。
また、VIPに対しては、翌日、幹部が直接お礼に伺う。
(注)礼状は、受けた好意に対する返事であるから、そのお礼の気持ちの表現と相手の期待に対する決意表明程度にとどめ、会社の宣伝や業務上のお願いは、後日、会社が順調に運営されている報告を兼ねて出向いたほうがスマートである。
(2)欠席者に対して
欠席者に対しては、記念品と挨拶状、記念撮影のスナップを送る。VIPの場合は、担当者が持参して手渡すのがベターである。
(3)収支決算書等関係資料の整理
収支が確定したら収支決算書を作成するほか、創立記念日や新商品発表会など、今後の会社行事を行うときの参考となる資料を整理しておく。
・招待者出欠表(代理出席の場合、代理者の役職もわかるようにする)
・祝儀・記念品、祝電をいただいた方のリスト
・スケジュール、役割分担、会場レイアウト等、発表会全般についての評価メモ
<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>
会社が実施する各種の祝賀・記念式典のために支出する交通費や宴会費等の費用は、原則として交際費に含まれる。法人成り発表会の費用は、式典費用と祝賀パーティー費用とに分けることができる。
(1)式典費用の扱い
イ.従業員主体なら福利厚生費に
式典を実施するに際し、従業員におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用は、福利厚生費等として処理することができる。
この「社内において」という言葉だが、これは必ずしも物的施設だけを指すのではなく、役員・従業員に供与される飲食に要する費用の程度を説明したものとされている。したがって、収容力の関係から社内では式典等が実施できない等の理由により社外で実施する場合でも、それにかかる費用の程度が社内で実施するのと同じ程度であればよいといえよう。
通常供与される程度の飲食とは、世間並程度ということで、明確な線が示されているわけではない。が、目安としては、会議に際して供される飲食代について昼食の程度を超えないもの、すなわち幕の内や折詰め弁当と清酒1合、ビール・ジュース1本程度で、1人当りほぼ3,000~5,000円くらいまでなら問題はないとされている。
なお、式典出席の際、従業員が支店や工場等から出てくるための旅費、宿泊費等を会社が負担した場合も、行事費用が交際費に該当しなければ交際費に含める必要はない。
ロ.少数でも得意先分は交際費
しかし、式典を従業員のほか、少数の得意先や仕入先、さらには関係先等を招いて実施した場合、外部の招待者に関する費用、たとえば酒代、料理代、土産代、記念品代、送迎用タクシー代、テーブル・椅子等の器物賃借料等は、交際費とされる。
したがって、この場合は、支出した費用を、従業員と外部招待者の人数割等、合理的に按分し、その根拠資料とともに残しておくことが必要となる。
ハ.得意先等が主体のときは全額交際費に
式典が得意先や仕入先など外部の関係者を対象としており、それに合わせて従業員等が出席するというような場合は、式典の主目的が得意先等の招待にあると判定され、支出した費用の全部が交際費とみなされることが多い。
(2)祝賀パーティー費用の扱い
祝賀パーティー費用は、それが式典と同一の場所で行われたか否かを問わず、すべて交際費として扱われる。もっとも祝賀パーティーといっても、内部の関係者だけで、それも前述した通常の飲食に要する費用の範囲内であれば、福利厚生費で処理することも可能である。
(3)パンフレット等は広告宣伝費で
来訪者に配付するパンフレット等は、それが広く一般にも配付するものであれば、その費用は交際費に含めず、広告宣伝費で処理することができる。
(4)記念品代の扱い
参加者に配る記念品代は、配る相手が社内の役員・従業員か、外部の関係者かによって取扱いが分かれる。
ただし、カレンダー、手帳、パンフレット等、多数の者に配布することを目的とした少額のもので、主として広告宣伝効果を意図するためのものについては、交際費とはならず、広告宣伝費として処理することができる。
イ.社内の役員・従業員への記念品代の扱い
社内の役員・従業員に支給する記念品は、社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつその処分見込額が1万円以下であれば課税対象とはされず、福利厚生費として処理できる。
ところで、処分見込額の目安としては、小売価額の60%程度が妥当といわれている。また、記念品に「○○記念、××株式会社」というように目立つ程度に記入されていれば、処分見込価額がかなり低下するとみられている。
なお、記念品に代えて金銭で支給したときは、すべて従業員等への給与として課税される。
ロ.外部の関係者に配る記念品代の扱い
得意先や仕入先等、外部の関係者に配る記念品代は、すべて交際費として扱われ、記念品を郵送した場合、その送料についても交際費とされる。
(5)コンパニオン費用の扱い
祝賀パーティーにコンパニオンを呼んだ際の費用は、祝賀パーティー費用の一部として、交際費に含めて処理する。
なお、コンパニオンに支払う際は、ホテル等へ他の費用に含めて支払う場合、コンパニオンへ直接あるいは所属の団体へ支払う場合とも、自社としては源泉徴収の必要はない。
(6)出席者から受け取った祝儀・祝金の扱い
出席者から受け取った祝儀は、先方の好意により支出されたもので、式典等の費用の一部を直接的に負担するものではないところから、交際費となる行事等の費用と相殺する処理は認められておらず、雑収入で処理する必要がある。
著者
橋口 寿人(経営評論家)
法人成りとは、個人経営の企業が業容の拡大に伴い、有限会社や株式会社など、法人としての組織形態を整えること、すなわち会社を設立することである。もちろん、個人経営を経ないで、いきなり法人として会社をスタートさせる場合も含まれ、最近はむしろ最初から会社を設立するケースが多くなっている。
いずれの場合も法人成り発表会は、会社を設立したことを主要取引先や業界関係者等に披露し、今後の会社経営について協力、支援をお願いする重要なセレモニーである。
具体的には次のような意味をもつ。
(1)社内的な意味
法人成りは、社外を対象とする行事であるが、これを機会に全社員が心機一転、前途に大きな希望をもって、会社設立の目的に邁進する決意を新たにするよいチャンスでもある。
(2)社外的な意味
イ.会社が法人化したことを広くアピールする。
ロ.取引先、関連会社、同業者など、これまでご支援をいただいた方々に感謝するとともに、重ねて今後のご支援をお願いする。
ハ.法人成りに当たってご協力をいただいた方々に対して、感謝の意を表する。
法人成り発表会は、会社としての旗揚げの会で、将来の盛業を祈念し、併せて会社の広報宣伝も兼ねるものである。
したがって、とくに社外に重点を置き、会社の第一印象をよくするよう配慮しなければならない。
<< 事前準備 >>
(1)規模と参加対象の設定
法人成り発表会は、いわばこれから大海に漕ぎ出す船の進水式であるから、今後の社運の隆盛をイメージさせるにふさわしいものとする。
招待者は会社の規模により異なるが、主な取引先、同業者、関連会社、金融機関、新たに営業分野を拡大する場合はその関係者、主な株主、地域社会(近隣の個人、法人、地元商店会、町内会等)の方々などを招待する。
(2)企画委員会の設置、および担当者の選定
発表会の成否は、今後の社運を左右するものだけに、準トップクラスを長とする企画委員会を設置し、企画を綿密に練り、周到な準備と運営を行う。企画委員会には、企画委員長のもとに、設備・設営係、受付係、手荷物係、宴会進行係、記念品係、車両係などを設ける。
担当者は、法人成りに伴う社内ルールづくりや社内外の対応などで大変忙しく、かつ十分な準備期間が取れないので、全社対応でとくに有能な者を選定し、係分担を明確に決める。
係分担で大切なことは、係間でのモレや重複がないようにすることである。お互いにこの仕事は他の係でやるだろうと思い込んで、どの係も手をつけなかったり、逆に同じことを重複してやったりするのは、ままあることである。これを防ぐためには、係間での連絡を密にするほか、随時、係の責任者による合同連絡会議を行うようにする。
(3)配付資料等の作成
発表会の出席者に会社の法人成り以前の状況や、法人成り後の会社の規模、陣容、経営理念などを知ってもらうための資料を準備する。この資料は発表会出席者に配付するだけでなく、招待しなかった関係者等に郵送する挨拶状の添付資料にもなる。
資料には、最低次のようなことを盛り込む。
・社長挨拶
・法人成りまで(個人企業時代)の沿革
・会社の事業内容と企業理念
・会社の概要(組織・人員、資本金、取引銀行等)
<< 当日の運営 >>
(1)式次第のモデル
式次第は、発表式典と祝賀パーティーを別々にやるか、併せてやるかによって異なってくるが、それぞれの例を次に示す。
<式典とパーティーを別々に行う場合>
●発表会式典
(司会は部長職以上の者が行う)
・開会の辞
・発起人経過報告
・社長挨拶
・社章(社歌)の発表
・幹部役員紹介
・来賓祝辞(祝電披露)
・万歳三唱
・閉会の辞
●祝賀パーティー
・開会の辞
・社長挨拶
・来賓祝辞1
・乾杯(社歌発表)
・祝宴
・アトラクション
・来賓祝辞2(祝電披露)
・万歳三唱
・閉会の辞
<式典とパーティーを同一会場で併せて行う場合>
・開会の辞
・発起人経過報告
・社長挨拶
・来賓祝辞1
・乾杯
・幹部役員紹介
・祝宴
・アトラクション
・来賓祝辞2(祝電披露)
・万歳三唱
・閉会の辞
・散会
(2)祝賀パーティー会場のレイアウトモデル
(3)司会の進め方
司会は、式典・祝賀会を成功させるうえで極めて重要な役割を果たす。法人成り発表会の場合は、総務部長が担当するのが一般的である。
次に司会の進め方のモデルを示す。
(司会者) 「皆様、大変お待たせいたしました。ただいまより、○○株式会社創立記念式典を執り行わさせていただきます。
私は、本日の司会進行役を務めさせていただきます、総務部長の○○でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。
それでは早速でございますが、このたびの会社設立にご尽力をいただいた○○様から、発起人を代表して経過のご説明をお願いいたします。(状況により経過報告は社長挨拶の中で行ってもよい)」
……発起人経過報告……
(司会者) 「ありがとうございました。続きまして、社長の××よりご挨拶を申し上げます」
……社長挨拶……
(司会者) 「ありがとうございました。社長××の挨拶でございました。
それでは続きまして、当業界の連合会会長であらせられる○○会社の△△社長様から、ご挨拶を賜りたいと思います。△△様よろしくお願いいたします」
……△△社長祝辞……
(司会者) 「業界を代表して△△連合会会長様のご祝辞でございました。ありがとうございました。
続きまして、乾杯に移らせていただきます。乾杯のご発声を、当社の前身でありました××商店時代からごひいきをいただいております、○○会社の◇◇社長様にお願いいたしたいと思います。◇◇様よろしくお願いいたします」
……乾杯……
(司会者) 「それではここで、社長から当社の幹部を紹介させていただきます」
……幹部紹介……
(司会者) 「ありがとうございました。どうぞ今後ともよろしくお引回しのほど、お願いいたします。
それでは、これから懇談に移らせていただきます。誠に粗酒・粗飯ではございますが、時間の許す限りごゆっくりご歓談下さいませ」
……懇談・アトラクション(状況により出演者を紹介)……
(司会者) 「ご歓談中ではございますが、ここでご来賓の方のご祝辞をいただきたいと思います。それでは業界の大先輩であられる◎◎会社の□□会長様、よろしくお願いいたします」
……□□会長祝辞……
(司会者) 「◎◎会社の□□会長様でございました。温かい励ましのお言葉ありがとうございました。
ここで、たくさんの祝電を頂戴しておりますので、ご披露させていただきます」
……祝電披露……
(多数の場合は、適宜電文の内容を省略する)
(司会者) 「ご歓談中、誠に恐縮でございますが、時間の関係もございますので、このあたりで中締めといたしまして、万歳三唱をさせていただきたいと思います。万歳三唱の音頭は、地元商店会の△△会長様にお願いいたします」
……万歳三唱……
(司会者) 「ありがとうございました。これをもちまして、○○株式会社創立発表会を一応終わらせていただきますが、まだ料理、飲み物もたくさんございますので、お時間のございます方は、引き続きご歓談下さいませ。本日は、ご多用のところ本当にありがとうございました」
<< 後始末とフォローアップ >>
大きな行事を終えるとついほっとしてしまって、とかく後始末をおろそかにしてしまいがちなものである。会社のイメージの向上と発表会開催の効果をより定着させるためにも、招待者へのフォローアップを手際よくスマートに行うことが大切である。
(1)出席者に対して
出席された方に対しては、できるだけ早くお礼状を出す。お礼状に添えてマスコミリリース用の写真や、ご本人が写っている写真を同封すると喜ばれる。
また、VIPに対しては、翌日、幹部が直接お礼に伺う。
(注)礼状は、受けた好意に対する返事であるから、そのお礼の気持ちの表現と相手の期待に対する決意表明程度にとどめ、会社の宣伝や業務上のお願いは、後日、会社が順調に運営されている報告を兼ねて出向いたほうがスマートである。
(2)欠席者に対して
欠席者に対しては、記念品と挨拶状、記念撮影のスナップを送る。VIPの場合は、担当者が持参して手渡すのがベターである。
(3)収支決算書等関係資料の整理
収支が確定したら収支決算書を作成するほか、創立記念日や新商品発表会など、今後の会社行事を行うときの参考となる資料を整理しておく。
・招待者出欠表(代理出席の場合、代理者の役職もわかるようにする)
・祝儀・記念品、祝電をいただいた方のリスト
・スケジュール、役割分担、会場レイアウト等、発表会全般についての評価メモ
<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>
会社が実施する各種の祝賀・記念式典のために支出する交通費や宴会費等の費用は、原則として交際費に含まれる。法人成り発表会の費用は、式典費用と祝賀パーティー費用とに分けることができる。
(1)式典費用の扱い
イ.従業員主体なら福利厚生費に
式典を実施するに際し、従業員におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用は、福利厚生費等として処理することができる。
この「社内において」という言葉だが、これは必ずしも物的施設だけを指すのではなく、役員・従業員に供与される飲食に要する費用の程度を説明したものとされている。したがって、収容力の関係から社内では式典等が実施できない等の理由により社外で実施する場合でも、それにかかる費用の程度が社内で実施するのと同じ程度であればよいといえよう。
通常供与される程度の飲食とは、世間並程度ということで、明確な線が示されているわけではない。が、目安としては、会議に際して供される飲食代について昼食の程度を超えないもの、すなわち幕の内や折詰め弁当と清酒1合、ビール・ジュース1本程度で、1人当りほぼ3,000~5,000円くらいまでなら問題はないとされている。
なお、式典出席の際、従業員が支店や工場等から出てくるための旅費、宿泊費等を会社が負担した場合も、行事費用が交際費に該当しなければ交際費に含める必要はない。
ロ.少数でも得意先分は交際費
しかし、式典を従業員のほか、少数の得意先や仕入先、さらには関係先等を招いて実施した場合、外部の招待者に関する費用、たとえば酒代、料理代、土産代、記念品代、送迎用タクシー代、テーブル・椅子等の器物賃借料等は、交際費とされる。
したがって、この場合は、支出した費用を、従業員と外部招待者の人数割等、合理的に按分し、その根拠資料とともに残しておくことが必要となる。
ハ.得意先等が主体のときは全額交際費に
式典が得意先や仕入先など外部の関係者を対象としており、それに合わせて従業員等が出席するというような場合は、式典の主目的が得意先等の招待にあると判定され、支出した費用の全部が交際費とみなされることが多い。
(2)祝賀パーティー費用の扱い
祝賀パーティー費用は、それが式典と同一の場所で行われたか否かを問わず、すべて交際費として扱われる。もっとも祝賀パーティーといっても、内部の関係者だけで、それも前述した通常の飲食に要する費用の範囲内であれば、福利厚生費で処理することも可能である。
(3)パンフレット等は広告宣伝費で
来訪者に配付するパンフレット等は、それが広く一般にも配付するものであれば、その費用は交際費に含めず、広告宣伝費で処理することができる。
(4)記念品代の扱い
参加者に配る記念品代は、配る相手が社内の役員・従業員か、外部の関係者かによって取扱いが分かれる。
ただし、カレンダー、手帳、パンフレット等、多数の者に配布することを目的とした少額のもので、主として広告宣伝効果を意図するためのものについては、交際費とはならず、広告宣伝費として処理することができる。
イ.社内の役員・従業員への記念品代の扱い
社内の役員・従業員に支給する記念品は、社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつその処分見込額が1万円以下であれば課税対象とはされず、福利厚生費として処理できる。
ところで、処分見込額の目安としては、小売価額の60%程度が妥当といわれている。また、記念品に「○○記念、××株式会社」というように目立つ程度に記入されていれば、処分見込価額がかなり低下するとみられている。
なお、記念品に代えて金銭で支給したときは、すべて従業員等への給与として課税される。
ロ.外部の関係者に配る記念品代の扱い
得意先や仕入先等、外部の関係者に配る記念品代は、すべて交際費として扱われ、記念品を郵送した場合、その送料についても交際費とされる。
(5)コンパニオン費用の扱い
祝賀パーティーにコンパニオンを呼んだ際の費用は、祝賀パーティー費用の一部として、交際費に含めて処理する。
なお、コンパニオンに支払う際は、ホテル等へ他の費用に含めて支払う場合、コンパニオンへ直接あるいは所属の団体へ支払う場合とも、自社としては源泉徴収の必要はない。
(6)出席者から受け取った祝儀・祝金の扱い
出席者から受け取った祝儀は、先方の好意により支出されたもので、式典等の費用の一部を直接的に負担するものではないところから、交際費となる行事等の費用と相殺する処理は認められておらず、雑収入で処理する必要がある。
著者
橋口 寿人(経営評論家)
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