ビジネスわかったランド (会社行事)
販売促進
懸賞付消費者コンテスト
<< 懸賞付消費者コンテストの目的 >>
(1)自社商品の販路拡大と新顧客層の開拓
イ.自社の商品の売上を伸ばし、さらに新しい顧客を開拓する目的で行う。
ロ.商品は、その種類によって使用される層が限定されているものがある。年代別、性別、居住地別および地域別などである。これらの限られた層以外にも、利用価値をPRして新しい顧客層をつくり出していこうというのがねらいである。
(2)市場における優位性の確保
イ.1つの商品には、たいていの場合、数社の類似商品が市場に出ている。そのなかで、自社の商品の優れているところをPRして、購買意欲を高めようというねらいがある。
ロ.マーケット・シェアの拡大のため行う。イ.とも関連するが、商品の差別化が非常にむずかしくなっている。開発のための技術が飽和状態になっており、どこの会社の商品も似たようなものになっている。そんなところに、競合他社が新しい商品を出して、強力な販売力で参入してきた場合、マーケット・シェアの縮小、あるいは逆転ということも起こる。マーケット・シェアを維持・拡大することは、会社にとって死活問題である。
(3)新商品の販売を成功させるため
これまで多大の費用とリスクを負って開発してきた新商品である。成功させなければ、これまでの努力が水の泡となり、会社にとっては莫大な負担となる。そこで、会社が、それまで市場に出ていない新商品を発売しようとするときに、懸賞付で行うと効果的である。
イ.消費者への知名度を浸透させるため
消費者は、新商品がどんなものであるかを知らない状態である。テレビ、マスコミなどのメディアを通じてPRしていくことになるが、懸賞付ということは、消費者の心理に訴求する効果が大きい。
ロ.他社の追随に対して優位に立つため
1つの新商品が出たときには、いずれ類似商品が出てくる。このときに備えて、シェアを確保しておくという目的である。
<< 事前準備 >>
(1)準備委員会の設置
イ.プロジェクト・チームの編成
・全社をあげての企画となるので、できるだけ多くの関係部門からの人選が望まれる。営業部はもちろんであるが、製造部(メーカーの場合)、総務部、経理部、企画部および広報部など幅広く集めることである。
・チームのリーダーについては、コンテストの内容にもよるが、販売だから営業部という発想は好ましくない場合がある。ときには会社全体を統括している企画部などが、その役になるとよいケースもある。いずれにしてもマーケット・シェアの拡大という経営戦略にかかわることを念頭におく。
・チームのメンバーとなった人については、企画が完了するまでは、現在やっている仕事から離れて、プロジェクト・チームの業務に専念できるようにしなければならない。
ロ.プロジェクト・チームの目標の明確化
企画を成功させるためには、目標を明確にして、全員が共通意識をもって各自の業務を遂行することが重要である。いろいろな部門からの参加者で構成されているのだから、それぞれの考え方も異なっているはずである。目標をハッキリと示して強い意思で全員を引っぱっていく力が、リーダーにはとくに要求される。
目標としては、具体的には次のようなものがある。
・商品Aのマーケット・シェアを60%にまで拡大する
・商品Bの売上高を20%増大させる
・○○地域における当社の売上を倍増する
(2)規模・内容の検討と決定
イ.法的制度の検討
景品付きということになると、公正取引維持の目的で制約が加えられる。不当景品類及び不当表示防止法(景表法)などによる過大な景品の禁止などである。これに抵触しないように、十分に調査しておく。専門家に相談することも必要となる。
a.懸賞付販売の規制
懸賞(くじやその他の偶然を利用して当選を決める方法)による場合は、商品の取引価額とその商品に付ける景品の最高額との間に次のような制限が設けられている(食品の一部等では、規制を緩和)。
ここでいう取引価額とは、抽選の機会を1回得るのに必要な価額のことであり、通常は商品の単価を指す。
b.オマケ付販売の規制
一般消費者に対しa.のような懸賞によらないで、モレなく景品をつける(いわゆるベタ付景品または総付景品)場合には、取引価額と景品の最高額との間に次のような制限が設けられている(食品の一部等では、規制を緩和)。
c.税務上、問題となる点はないかどうかをチェックする。
d.当然、広告などのPRが必要となるが、これについても、誇大広告の規定に触れないかどうかを調べる。
e.地域を限定して行うときには、その地域だけの条例などがあることも予想されるので、これについてもチェックが必要となる。
ロ.規模または性格の検討と決定
・特定の商品についてのみ行うのか
・会社の全商品について行うのか
・地域を限定するのか、または全国展開するのか
ハ.応募・コンテスト方法の決定
・商品にシール、ハガキなどを添付しておき、それを返送してもらう方法が一般的に行われている。
・他の方法としては、商品の一部(フタ、化粧箱等)を送付してもらうという例もある。商品の性格によって、最もふさわしい方法を採用する。
・コンテスト方法は、会社で抽選会を行い、それによって決定する。公開することが望ましいが、多数の消費者が相手なのでちょっとむずかしい。しかし、会場などを借りて、出席希望者を集めて実施することもできる。この場合には、抽選会だけではなくて、アトラクションやショーなども併せて行うのがよい。
ニ.告知方法
主要な新聞への掲載、テレビのコマーシャル放映、小売店の店頭での提示および会社における当選者の氏名張出しなどがある。ただし、この方法は、かなり限られた高順位当選者が対象となる。当選者が多数になるときは、商品の発送をもって発表にかえるという方法をとらざるを得ない。
(3)スケジュール表の作成と業務分担
かなり時間の限られた行事となるため、スケジュール表は綿密に作成しなければならない。とくに重要なことは、期限の厳守である。メンバーの一人ひとりが、期限内に確実に自分の分担をこなしていくことが必要である。
スケジュール表は、次のように作成する。
スケジュール表モデル
(4)予算設定のポイントと予算書
イ.会社の予算との適合性
・このようなキャンペーンは年に何回行うかという年間計画に従って、会社の予算計画に盛り込まれているはずである。この予算額を前提として、回数および規模に従って適切に予算配分する。まず総額を決める。
・全社的な行事であるので、各部門に費用を分担させることは避けたい。
ロ.重点的に予算を配分する項目を選定する
行事の内容からみて、次の項目にはとくに重点的に経費を使う。
・広告宣伝費
・賞品等の費用
ハ.予算書を作成する
(5)関係者への連絡等
イ.社内関係者への連絡
・全社的な行事であるので、社内の全部門へ連絡する。
・社員に対して、催しを実施することを周知徹底させるとともに、PRも依頼する。知人、友人および親戚などへである。そのためには、チラシなどができあがった時点で、社員へも配り、協力を依頼する。
ロ.社外関係者への連絡
主として販売を中心になって担当する問屋および小売店が対象である。この場合には、案内状(次ページ参照)を早めに出すとともに、次のような配慮も必要である。
・チラシなどの早期配付
・店頭広告などをタイミングよく行うように依頼
・とくに業績のよい小売店などには、何らかのインセンティブを与える配慮が必要
・小売店に対する広告方法の指導。問屋であれば営業マンが巡回し、メーカーであれば問屋の営業マンに同行して指導
・何が目的のキャンペーンであるかを知らしめる
・広告として、チラシ、ポスターなどのほかに、どのようなことをやっているかを連絡する。これによって、PRについて波及効果が生ずる。「テレビでも宣伝している、あの商品です」というようにである
・できるだけ小売店などを通じて消費者へも事前に情報が伝わるようにしておきたい。消費者が楽しみにして待つような状態をつくり出すのである。来店者にチラシを配ってもらうなどの方法がある
(6)賞品、賞金、記念品等の手配
賞品、記念品を何にするか、賞金の金額をどれくらいにするかは、プロジェクト・チームのメンバーが協議して決めていく。大がかりなキャンペーンの場合は、社内公募なども考える。問屋や小売店の意見を聞くことも考えておく。
次に、賞品等の選定に当たって注意すべき点を、チェックリストの形で示しておく。
□消費者の目を引きつけるのに十分なものであるか
□予定される顧客層に合ったものであるか
□ファッション性はあるか(時代遅れのものではないか)
□使い勝手のよいものであるか
□販売しようとしている商品との関連はあるか
□順位に従って、適切な賞品が準備されているか
□賞品としてよい品を安く買うという配慮がなされているか
□季節に合ったものであるか
□毎回、同じような賞品を出していないか
□できるだけ多くの人に賞品がわたるような工夫が考えられているか
□何によってもらったものかわかるような表示が賞品にされているか(キャンペーン名、会社名の印刷など)
□すべてを算入した費用が予算内に収まっているか
□広告などで表示したとおりの賞品であるか
□景表法などの法律に抵触するものではないか
□賞金の場合、金額に妥当性はあるか
他にもいろいろあると思うが、主なものをまとめると上記のようになる。大切なことは、消費者の目を引きつけるのに十分なものであることだが、賞品のイメージが大きくなって、肝心の商品が目立たなくなるようなものでは困る。
<< 当選者の発表、賞品の授与、発送の仕方 >>
(1)抽選会の実施
イ.応募の締切日以降、できるだけ早い日に抽選会を実施する。
ロ.ハガキなど郵送手段による応募の場合は、「当日消印有効」というケースも多いので、若干の余裕期間をおくことが必要である。
ハ.いずれにしても、抽選日はいつ(○月○日)ということを、あらかじめ消費者に知らせるようにしておく。
(2)当選者の発表
イ.いよいよ当選者の発表である。この発表の日も、抽選日と同様、消費者に知らせるようにしておく。
ロ.当選者については、当然本人にわかるようにすることが要求される。テレビによる発表もよいが、それと同時に、文章による抽選結果の表示もやっておく。会社や小売店等に掲示しておくのである。
ハ.当選者が大勢いる場合には、上位当選者のみ詳細を発表して、その他の人には賞品の発送をもって発表にかえる。この場合には、確実に賞品が発送されたかどうか、会社側で十分にチェックし、モレのないようにすることが必要である。当選者本人は、自分が当たっているのかどうか、わからないからである。
ニ.当選者発表の文例については、次のモデルを参照。
(3)賞品の授与、発送の仕方
イ.賞品の授与は、即日現場抽選の場合を除いては、通常メールまたは宅配便などで行われる。
ロ.賞品の発送に当たっては、次の点に注意する。
・抽選会終了後、直ちに行う。
・ていねいな包装、とくにワレモノには要注意。
・挨拶状または感謝状を必ず送付する。郵便法などの規定によって、賞品と同封できないものは、別途郵送する。
<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>
(1)税務取扱い
イ.景品費等は広告宣伝費
メーカーまたは卸売業者が、一般消費者を対象として抽選券付または金品引換付販売の方法により支出した金品の価額および抽選による旅行・観劇等に招待する費用は、交際費に該当せず、全額を広告宣伝費として損金処理することができる。
この扱いは、メーカーや販売業者が一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇等に招待することをあらかじめ広告・宣伝し、それを実行したことにより要した費用、さらには小売業者が、商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用についても適用される。
ロ.会議費
プロジェクト・チームの打合せなどの会議に要した費用。食事代も含まれる。
ハ.旅費・交通費
販売促進のために、営業マンなどが出張した費用等。
(2)予算と実績との対比
イ.予算と実績との対比は必ずやっておくことが必要である。
ロ.これをやることによって、将来同じような行事を行うときに有効に活用できる。
ハ.予算と実績の差異分析も必ずする。予算を超過したもの、および予算より少なかったものの両方とも実施することが必要である。予算より少なかったからいいという考えは誤りである。どこかに読みの甘さがあったのか、またはあえて過大な予算を計上したのかがわからないからである。
著者
橋口 寿人(経営評論家)
(1)自社商品の販路拡大と新顧客層の開拓
イ.自社の商品の売上を伸ばし、さらに新しい顧客を開拓する目的で行う。
ロ.商品は、その種類によって使用される層が限定されているものがある。年代別、性別、居住地別および地域別などである。これらの限られた層以外にも、利用価値をPRして新しい顧客層をつくり出していこうというのがねらいである。
(2)市場における優位性の確保
イ.1つの商品には、たいていの場合、数社の類似商品が市場に出ている。そのなかで、自社の商品の優れているところをPRして、購買意欲を高めようというねらいがある。
ロ.マーケット・シェアの拡大のため行う。イ.とも関連するが、商品の差別化が非常にむずかしくなっている。開発のための技術が飽和状態になっており、どこの会社の商品も似たようなものになっている。そんなところに、競合他社が新しい商品を出して、強力な販売力で参入してきた場合、マーケット・シェアの縮小、あるいは逆転ということも起こる。マーケット・シェアを維持・拡大することは、会社にとって死活問題である。
(3)新商品の販売を成功させるため
これまで多大の費用とリスクを負って開発してきた新商品である。成功させなければ、これまでの努力が水の泡となり、会社にとっては莫大な負担となる。そこで、会社が、それまで市場に出ていない新商品を発売しようとするときに、懸賞付で行うと効果的である。
イ.消費者への知名度を浸透させるため
消費者は、新商品がどんなものであるかを知らない状態である。テレビ、マスコミなどのメディアを通じてPRしていくことになるが、懸賞付ということは、消費者の心理に訴求する効果が大きい。
ロ.他社の追随に対して優位に立つため
1つの新商品が出たときには、いずれ類似商品が出てくる。このときに備えて、シェアを確保しておくという目的である。
<< 事前準備 >>
(1)準備委員会の設置
イ.プロジェクト・チームの編成
・全社をあげての企画となるので、できるだけ多くの関係部門からの人選が望まれる。営業部はもちろんであるが、製造部(メーカーの場合)、総務部、経理部、企画部および広報部など幅広く集めることである。
・チームのリーダーについては、コンテストの内容にもよるが、販売だから営業部という発想は好ましくない場合がある。ときには会社全体を統括している企画部などが、その役になるとよいケースもある。いずれにしてもマーケット・シェアの拡大という経営戦略にかかわることを念頭におく。
・チームのメンバーとなった人については、企画が完了するまでは、現在やっている仕事から離れて、プロジェクト・チームの業務に専念できるようにしなければならない。
ロ.プロジェクト・チームの目標の明確化
企画を成功させるためには、目標を明確にして、全員が共通意識をもって各自の業務を遂行することが重要である。いろいろな部門からの参加者で構成されているのだから、それぞれの考え方も異なっているはずである。目標をハッキリと示して強い意思で全員を引っぱっていく力が、リーダーにはとくに要求される。
目標としては、具体的には次のようなものがある。
・商品Aのマーケット・シェアを60%にまで拡大する
・商品Bの売上高を20%増大させる
・○○地域における当社の売上を倍増する
(2)規模・内容の検討と決定
イ.法的制度の検討
景品付きということになると、公正取引維持の目的で制約が加えられる。不当景品類及び不当表示防止法(景表法)などによる過大な景品の禁止などである。これに抵触しないように、十分に調査しておく。専門家に相談することも必要となる。
a.懸賞付販売の規制
懸賞(くじやその他の偶然を利用して当選を決める方法)による場合は、商品の取引価額とその商品に付ける景品の最高額との間に次のような制限が設けられている(食品の一部等では、規制を緩和)。
ここでいう取引価額とは、抽選の機会を1回得るのに必要な価額のことであり、通常は商品の単価を指す。
b.オマケ付販売の規制
一般消費者に対しa.のような懸賞によらないで、モレなく景品をつける(いわゆるベタ付景品または総付景品)場合には、取引価額と景品の最高額との間に次のような制限が設けられている(食品の一部等では、規制を緩和)。
c.税務上、問題となる点はないかどうかをチェックする。
d.当然、広告などのPRが必要となるが、これについても、誇大広告の規定に触れないかどうかを調べる。
e.地域を限定して行うときには、その地域だけの条例などがあることも予想されるので、これについてもチェックが必要となる。
ロ.規模または性格の検討と決定
・特定の商品についてのみ行うのか
・会社の全商品について行うのか
・地域を限定するのか、または全国展開するのか
ハ.応募・コンテスト方法の決定
・商品にシール、ハガキなどを添付しておき、それを返送してもらう方法が一般的に行われている。
・他の方法としては、商品の一部(フタ、化粧箱等)を送付してもらうという例もある。商品の性格によって、最もふさわしい方法を採用する。
・コンテスト方法は、会社で抽選会を行い、それによって決定する。公開することが望ましいが、多数の消費者が相手なのでちょっとむずかしい。しかし、会場などを借りて、出席希望者を集めて実施することもできる。この場合には、抽選会だけではなくて、アトラクションやショーなども併せて行うのがよい。
ニ.告知方法
主要な新聞への掲載、テレビのコマーシャル放映、小売店の店頭での提示および会社における当選者の氏名張出しなどがある。ただし、この方法は、かなり限られた高順位当選者が対象となる。当選者が多数になるときは、商品の発送をもって発表にかえるという方法をとらざるを得ない。
(3)スケジュール表の作成と業務分担
かなり時間の限られた行事となるため、スケジュール表は綿密に作成しなければならない。とくに重要なことは、期限の厳守である。メンバーの一人ひとりが、期限内に確実に自分の分担をこなしていくことが必要である。
スケジュール表は、次のように作成する。
スケジュール表モデル
(4)予算設定のポイントと予算書
イ.会社の予算との適合性
・このようなキャンペーンは年に何回行うかという年間計画に従って、会社の予算計画に盛り込まれているはずである。この予算額を前提として、回数および規模に従って適切に予算配分する。まず総額を決める。
・全社的な行事であるので、各部門に費用を分担させることは避けたい。
ロ.重点的に予算を配分する項目を選定する
行事の内容からみて、次の項目にはとくに重点的に経費を使う。
・広告宣伝費
・賞品等の費用
ハ.予算書を作成する
(5)関係者への連絡等
イ.社内関係者への連絡
・全社的な行事であるので、社内の全部門へ連絡する。
・社員に対して、催しを実施することを周知徹底させるとともに、PRも依頼する。知人、友人および親戚などへである。そのためには、チラシなどができあがった時点で、社員へも配り、協力を依頼する。
ロ.社外関係者への連絡
主として販売を中心になって担当する問屋および小売店が対象である。この場合には、案内状(次ページ参照)を早めに出すとともに、次のような配慮も必要である。
・チラシなどの早期配付
・店頭広告などをタイミングよく行うように依頼
・とくに業績のよい小売店などには、何らかのインセンティブを与える配慮が必要
・小売店に対する広告方法の指導。問屋であれば営業マンが巡回し、メーカーであれば問屋の営業マンに同行して指導
・何が目的のキャンペーンであるかを知らしめる
・広告として、チラシ、ポスターなどのほかに、どのようなことをやっているかを連絡する。これによって、PRについて波及効果が生ずる。「テレビでも宣伝している、あの商品です」というようにである
・できるだけ小売店などを通じて消費者へも事前に情報が伝わるようにしておきたい。消費者が楽しみにして待つような状態をつくり出すのである。来店者にチラシを配ってもらうなどの方法がある
(6)賞品、賞金、記念品等の手配
賞品、記念品を何にするか、賞金の金額をどれくらいにするかは、プロジェクト・チームのメンバーが協議して決めていく。大がかりなキャンペーンの場合は、社内公募なども考える。問屋や小売店の意見を聞くことも考えておく。
次に、賞品等の選定に当たって注意すべき点を、チェックリストの形で示しておく。
□消費者の目を引きつけるのに十分なものであるか
□予定される顧客層に合ったものであるか
□ファッション性はあるか(時代遅れのものではないか)
□使い勝手のよいものであるか
□販売しようとしている商品との関連はあるか
□順位に従って、適切な賞品が準備されているか
□賞品としてよい品を安く買うという配慮がなされているか
□季節に合ったものであるか
□毎回、同じような賞品を出していないか
□できるだけ多くの人に賞品がわたるような工夫が考えられているか
□何によってもらったものかわかるような表示が賞品にされているか(キャンペーン名、会社名の印刷など)
□すべてを算入した費用が予算内に収まっているか
□広告などで表示したとおりの賞品であるか
□景表法などの法律に抵触するものではないか
□賞金の場合、金額に妥当性はあるか
他にもいろいろあると思うが、主なものをまとめると上記のようになる。大切なことは、消費者の目を引きつけるのに十分なものであることだが、賞品のイメージが大きくなって、肝心の商品が目立たなくなるようなものでは困る。
<< 当選者の発表、賞品の授与、発送の仕方 >>
(1)抽選会の実施
イ.応募の締切日以降、できるだけ早い日に抽選会を実施する。
ロ.ハガキなど郵送手段による応募の場合は、「当日消印有効」というケースも多いので、若干の余裕期間をおくことが必要である。
ハ.いずれにしても、抽選日はいつ(○月○日)ということを、あらかじめ消費者に知らせるようにしておく。
(2)当選者の発表
イ.いよいよ当選者の発表である。この発表の日も、抽選日と同様、消費者に知らせるようにしておく。
ロ.当選者については、当然本人にわかるようにすることが要求される。テレビによる発表もよいが、それと同時に、文章による抽選結果の表示もやっておく。会社や小売店等に掲示しておくのである。
ハ.当選者が大勢いる場合には、上位当選者のみ詳細を発表して、その他の人には賞品の発送をもって発表にかえる。この場合には、確実に賞品が発送されたかどうか、会社側で十分にチェックし、モレのないようにすることが必要である。当選者本人は、自分が当たっているのかどうか、わからないからである。
ニ.当選者発表の文例については、次のモデルを参照。
(3)賞品の授与、発送の仕方
イ.賞品の授与は、即日現場抽選の場合を除いては、通常メールまたは宅配便などで行われる。
ロ.賞品の発送に当たっては、次の点に注意する。
・抽選会終了後、直ちに行う。
・ていねいな包装、とくにワレモノには要注意。
・挨拶状または感謝状を必ず送付する。郵便法などの規定によって、賞品と同封できないものは、別途郵送する。
<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>
(1)税務取扱い
イ.景品費等は広告宣伝費
メーカーまたは卸売業者が、一般消費者を対象として抽選券付または金品引換付販売の方法により支出した金品の価額および抽選による旅行・観劇等に招待する費用は、交際費に該当せず、全額を広告宣伝費として損金処理することができる。
この扱いは、メーカーや販売業者が一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇等に招待することをあらかじめ広告・宣伝し、それを実行したことにより要した費用、さらには小売業者が、商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用についても適用される。
ロ.会議費
プロジェクト・チームの打合せなどの会議に要した費用。食事代も含まれる。
ハ.旅費・交通費
販売促進のために、営業マンなどが出張した費用等。
(2)予算と実績との対比
イ.予算と実績との対比は必ずやっておくことが必要である。
ロ.これをやることによって、将来同じような行事を行うときに有効に活用できる。
ハ.予算と実績の差異分析も必ずする。予算を超過したもの、および予算より少なかったものの両方とも実施することが必要である。予算より少なかったからいいという考えは誤りである。どこかに読みの甘さがあったのか、またはあえて過大な予算を計上したのかがわからないからである。
著者
橋口 寿人(経営評論家)
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