ビジネスわかったランド (会社行事)

定例行事

会社方針発表会
<< 会社方針発表会の目的 >>

会社方針発表会とは、社長が全社員に対して、会社の方針を述べるものである。これによって、社員に会社方針の一層の理解を求めるとともに、全社員の意思の統一を図り、経営目標を確実に伝達しようというわけである。
この会社方針発表会には、社員に対して行われる場合と、取引会社等会社外部に対して行われる場合とがある。
その目的を具体的に示すと、次のようになる。
イ.新年度の会社方針を全社員に周知徹底させ、社員がそれを十分に理解し、積極的に協力できるようにすることが重要。それには、経営全般にまたがる基本方針と、それに基づいて各部門が作成した部門方針を解説した文書を配付する必要がある。
社員は、これをさらに口頭で聞くことにより、その理解が深まることになる。
ロ.全社員が一堂に集まるこの機会に、社員相互の懇親を深め、士気の高揚を図り、仕事に対する意欲を高める。
ハ.成績優秀表彰対象者を全社員に発表する。
ニ.会社外部の人々に全社員の決意を理解してもらうことにより、その協力を求める。

<< 会社方針作成手続きチェックリスト >>

□社外情勢に関する資料や情報が整理できているか(景気動向、業界動向など)
□社内状況に関する資料や情報が整理できているか(製品力、販売力、生産力、経費負担力、技術力、資金力、人材など)
□準備委員会の構成メンバーは決定したか
□トップの基本方針の原案はできたか
□各部門の業務計画案は提出されたか
□準備委員会での調整作業は終了したか
□役員会に提出、了承されたか
□わかりやすい説明方法を工夫したか
□配付する資料は決まったか

<< 事前準備 >>

(1)内容の検討と決定
会社方針発表会を開催するに当たっては、次のことに留意する。
イ.実施時期については、年度末から新年度を迎えて行うケースが多い。
ロ.社員全員が一堂に集まることのできる会場を用意する必要がある。特定の者だけを集めたのでは、全社的な士気は高揚しがたい。
ハ.参加者は社長以下全員。パート、アルバイト社員も出席するほうが望ましく、その場合には、出勤扱いとすべきである。
また、入社予定者やその父母、あるいは永年勤続定年退職者を招集することも考えられる。
ニ.開会時間は、平日午前10時頃から2時間程度がよい。
ホ.社外向け会社方針発表会の場合には、懇親会の実施を検討する。

(2)スケジュール表の作成と役割分担
イ.総務部長を責任者として準備委員会を設置する。
ロ.基本計画を立案し、役員会へ報告する。
ハ.会の式次第等を決定する。
ニ.日程を決定する。
ホ.開催場所を決定する。
ヘ.招待客のリストを決定する。
ト.招待状を作成する。
チ.招待状を発送する。
リ.出欠の確認と出席者リストおよび名札の作成と胸飾りの手配を行う。
ヌ.「会社方針」の原稿をとりまとめる。
ル.「会社方針」の印刷の見積りをとり、決定する。
ヲ.「会社方針」を印刷所に発注する。納品日は必ず確認する。
ワ.「会社方針」の配付リストを作成する。
カ.来賓挨拶の依頼をする。
ヨ.表彰者のリストアップをする。
タ.表彰状を作成する。
レ.表彰社員に贈る記念品の準備をする。
ソ.被表彰社員代表の謝辞の内容について打合せを行う。



(3)予算設定のポイントと予算書
予算枠の有無にかかわらず、たたき台にする予算見積りの原案を作成することから始める。次に予算調整を行い、予算書を作成する。
会社方針発表会予算書モデル


(4)関係者への準備要請と連絡文モデル
全社員を対象とした会社行事であるから、欠席者が出ることは極力避けなければならない。したがって、開催日時は明確に、しかも余裕をもって、関係者へ伝える必要がある。
また、会社方針を参加者に十分理解してもらうためには豊富な資料や説明の工夫が必要である。
これらのことを考えると、少なくとも1か月前には準備にとりかかる必要がある。


<< 当日の運営 >>

(1)発表会モデル
式次第は、第1部「会社方針発表会」、第2部「懇親会」というふうに、2部形式にするのが一般的である。
式次第のモデルは、次のとおり。
●第1部「会社方針発表会」
・開会の挨拶
・社歌斉唱
・会社方針発表(社長)
・実践計画発表(各部門幹部)
・表彰式
・来賓挨拶
・決意表明、万歳三唱
・閉会の挨拶
●第2部「懇親会」

(2)発表会の運営チェックリスト
□当日の分担を取り決めたか
□第1部司会
□写真撮影
□受付(出席者照会)
□クローク
□誘導・案内
□お土産手渡し(来賓用)
□会場の設営(椅子、テーブル、演台、生花、社旗、横断幕など)は、万全か
□看板、案内板は準備したか
□来賓に挨拶を依頼したか
□配付する資料は会場に届いているか
□ビデオ、写真撮影の手配をしたか
□マイク等放送設備の設置、点検をしたか
□来賓のお土産・お車代の用意をしたか
□出席者の席次を決めたか
□懇親会での料理・飲み物の手配は済んでいるか

(3)会場レイアウトと飾付けモデル
会社方針発表会の場合、とくに決まったスタイルがあるわけではない。一般には、演台、式次第、生花のほかに、新年度のスローガンやチャレンジ目標があれば、それを簡潔に書いた横断幕や垂れ幕を有効に使うとよい。
また、業績の推移や前年度のトピックスをビジュアルに見せるために、OHPで視覚に訴えるのも効果的である。
会社方針発表会会場レイアウトモデル

懇親会会場レイアウトモデル


<< 後始末とフォローアップ >>

会場の後片付けについても、あらかじめ分担を決めておく。とくに借り受けた道具・機材等については、それが紛失したり破損したりしないように、分担者が責任をもって当たらなければならない。また、会場の後片付けは手早く行う。懇親会が予定されているような場合には、後片付けのため、懇親会に参加ができない者が出ないよう注意する必要がある。
さらに、どうしても懇親会に参加できない来賓に対しては失礼のないよう、お土産を渡し、車の用意をして見送る。くれぐれも、見送りのないままいつの間にか帰ってしまったということのないように注意しなければならない。
後始末チェックリストは、次のとおり。
□椅子、テーブル、演台等は所定の場所にしまったか
□社旗、横断幕、紅白幕等飾り付けたものはとりはずしたか
□看板、案内表示をとりはずしたか
□受付、会場に忘れ物はないか
□借り入れた道具、機材等については返却の手配をしたか
□会場使用料等の支払いの手配は済んだか
□来賓見送りの手配は済ませたか
□会場が異なる場合、懇親会会場までの交通手段は確保してあるのか
□飲食代の料金の支払いは済んだか

<< 取引銀行、協力会社等へ会社方針を発表する場合の心得 >>

取引銀行や協力会社へ会社方針を発表するのは、会社の経営が行き詰まったり、会社を取り巻く環境の変化に合わせてその方針を転換し、一層の協力を求めるという場合が多いと思われる。このような場合には、会社の実態を飾らずに正直に話し、出席者が意気に感じて協力してくれるようにする必要がある。
ただ、強い意思を示すことは重要なことであるが、それが誰の意見も聞かないかたくなな態度であってはならず、謙虚に耳を傾けるようにする。常に出席者と対等の立場で、相談に乗ってもらう態度を示す必要がある。

<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>

準備委員会の構成メンバーは、会の成功と労をねぎらう意味で反省会を開き、要した費用総額の報告書を作成し、総務に提出する。
来賓や協力会社を招待して会社方針発表会を行った場合には、税務上、交際費として取り扱われる。

著者
橋口 寿人(経営評論家)