ビジネスわかったランド (会社行事)

定例行事

仕事納め
<< 仕事納めの目的 >>

仕事納めは、年末の最終日、官庁では12月28日、民間でもほぼそれに前後して行われる。一般には、新年を迎える準備と納会を合わせて仕事納めといっている。年が改まるからといって業務が変わるわけではないが、物事の1つの区切りとしてぜひ実行したいものである。
仕事納めの目的としては、以下のことが考えられる。
イ.新しい年を迎える準備
ロ.1年のけじめ
ハ.会社から社員に対する、ねぎらいと感謝の表現
ニ.社員にとっては、1年を反省する機会

<< 事前準備 >>

(1)準備委員会の設置
イ.準備委員会の役割
準備委員会は、新年を迎えるための準備・整理の実施と、その後に行われる納会との2つを準備することになる。
ロ.準備委員会の規模
仕事納めは、全社的に行われる場合と、各部署ごとに行う場合があるので、準備委員会の規模もそれによって異なる。会社の規模にもよるが、年末の多忙な折でもあるので多数選出することはできない。したがって、各部署から1~2名ということになる。
ハ.準備委員
準備委員は、できる限り、年末に多忙でない人を選出する。とくに、年末の挨拶回りをしなくてはならない者には割り当てないようにしたい。
ニ.準備委員会の開催と内容
準備委員会は、1か月前にミーティングを開き、そこで各自の役割分担とスケジュールを決めておく。このとき、忘年会の準備委員会、新年会の準備委員会との調整をとっておきロスのないように配慮する。年末年始行事実行委員会なるもので一本化する方法も一考に値する。

(2)内容の検討と決定
新年を迎える準備と納会の実行のそれぞれを検討・決定する。
イ.日程
年末最終稼働日とする。最終稼動日は、いうまでもなく、各社ごとに就業規則等によって定められている。
ロ.時間
行事の次第によって異なるが、次の3つのパターンが考えられる。
・午前中は通常業務、午後からは新年を迎えるための整理整頓、その後、納会というパターン
・朝から大掃除、その後納会という大掃除・納会パターン
・朝から大掃除、その後納会を兼ねて忘年会という、大掃除・忘年会パターン
ハ.納会の場所
行事の規模によって異なるが、年末の多忙なときでもあるので、忘年会を兼ねる以外それほど大掛かりにする必要はない。また外部の会場を借りる必要もない。
・全社的に行う場合は、会議室・食堂など全員が集まれる所を選定する
・各部署単位の場合は、それぞれの部署で行う 

(3)新年を迎えるための準備
年明けから気持ちよくスムーズに仕事ができるように、各自が整理整頓をする。また、年始の準備をしておかないと年明け早々トラブルを引き起こしかねない。
イ.文書類の整理・破棄
会社で扱う文書類のなかには、法令で保存年限が定められているものがある。それらは基準どおりにきちんと保存することが必要だが、他の文書類については、一般に、保存してある文書類で活用の可能性のあるのは25%程度にとどまるともいわれている。さらに、保管スペース不足を考慮しても、次に掲げたものについては、重要なもの以外は極力破棄する。
・一般書類(破棄するときは、機密保持に十分な注意を払うこと)
・新聞の切り抜きなど
・雑誌・定期刊行物(その年以前のものは、思い切って処分する)
・パンフレット(1部のみ残して、あとは処分する)
・マニュアル類
・計画表、連絡簿
・ロッカーの中の私物(私物をため込んでおく場所ではないので、持ち帰らせるか、宅配便で送らせる)
・文房具
・什器、備品(こわれているものの処分、修理依頼)
・フロッピー類(タイトルなど整理しておく)
・カレンダー類
・スローガンなどの貼り紙
ロ.迎春用品の準備
・鏡餅、松飾りなどの正月用品
・カレンダー
・部内の新年会用の飲み物、つまみ類
・年始回り用の名刺
・スローガンなどは、新たに書きかえる
・新年の挨拶用品
・緊急連絡網

(4)納会の準備
仕事納めにおける納会は、忘年会を兼ねている場合以外は、ごく簡単なものにすベきである。この時期、普通は忘年会もすでに終えており、年末で各自プライベートでも忙しい折だからである。
イ.費用は全額会社もちが望ましい。ただし、2次会などは、個人負担であることはいうまでもない。
ロ.飲み物、つまみはごく簡単に、アルコール類もごく少量にする。たとえば、ジュース、ビール、ポテトチップス、サンドイッチなどでよい。
ハ.時間……1年のけじめであるので、時間は、厳守したい。開始時間は、定時終業時間を2時間ほど早めに切り上げて行うのが一般的。外回りをしている従業員にはとくにこのことを徹底させておく。くれぐれも整理整頓が終了次第開始などといったあいまいな連絡をせず、「何時から始めるので何時何分には、必ず集合するように」というようにする。納会の終了時間もはっきりとさせる。各自それぞれ年末で多忙なので、この点も厳守したい。
ニ.食器など……使用する食器などは、紙コップ、紙皿を使うのもよいが、乾杯のコップくらいは、ガラスのコップを使いたい。が、そのときはコップ洗いの要員をあらかじめ指名しておく必要がある。
ホ.その他……新年からのスローガンを記したパネルなどがあるとよい。また、従業員からのアンケート等により社内10大ニュースなどをやってみるのもよい。
ヘ.対外的配慮……取引先には、前もって仕事納めの日程を知らせておく。どんな飛び入りがあるかわからないので食器などは余分に用意しておく。

(5)スケジュール表の作成
イ.スケジュール表の作成ポイント
 スケジュールを立てるときのポイントは、年末であるということに常に留意しておくことである。何をするにしても、誰もが忙しく、社内、社外での協力はある程度の余裕をもたせないと望めない。
・忘年会の準備委員会との連携……できれば、忘年会の準備委員と仕事納めの準備委員とは、同一メンバーが望ましい。
・新年会、賀詞交換会の準備委員会との連携。
・大掃除とのスケジュール調整……大掃除を兼ねる場合はよいが、そうでない場合には二度手間にならないようにする。
・各部署の長には、事前にスケジュールの素案を配付して、了承を得ておく。
・納会終了後の段取りは、綿密に……翌日から、年末休みに入るのでその点をよく踏まえておく。
ロ.新年の準備、整理整頓
仕事納めにおける整理整頓は、大掃除を兼ねる場合はともかく、大掛かりなものにならないようにする。当日は、あくまで個人レベルの整理整頓にとどめるべきである。仕事納めの日に多くのことをすることのないようにする。
・各種の廃品、廃棄物が出るのでその手配をする。業者への手配は早めに行う。
・年末であるから、ゴミ収集の最終日を確認。新年に前年のゴミを残すことのないようにする。
・新年からのスローガンパネルを業者に依頼する場合は、早めに発注しておく。
ハ.納会
・全社的に行う場合は、場所の設営が大掛かりになるので、そのための人員は早めに確保する。
・社内には、2週間前には掲示する。
・得意先などにも早めに連絡する。
・社長その他挨拶を依頼する人には、挨拶時間、趣旨を十分に説明して早めに依頼をする。
・各部署別に行う場合は、社長の巡回予定を忘れずにつくる。

(6)業務分担
実行委員を以下の3つのグループに分ける。なお、後片付けは、全員で行うのが望ましい。
・整理整頓グループ
・新年準備グループ
・納会グループ

(7)予算設定のポイント
忘年会を兼ねる場合や、小宴会形式で行う場合は、事前に予算を計上しておく。各部署ごとにごく簡単に済ませた場合には、費用も大してかからないから予算計上の必要はない。

(8)関係者への連絡とモデル案内文
イ.関係者への連絡
関係者への連絡は、遅くとも2週間前には済ませておくべきである。仕入先、得意先には、できれば文書で連絡する。とくに一般より早く仕事納めをする場合は、必ず文書を送付しておく。
ロ.モデル案内文

社外案内用モデル


<< 納会・宴席の準備チェックリスト >>

前日までに、次のような項目をチェックし、準備モレがないかどうかを点検しておく。
□会場の設営
□マイク、音響機器
□写真
□スローガンパネル
□式次第貼り紙
□社長挨拶の依頼確認
□その他挨拶の依頼確認
□乾杯の音頭の依頼確認
□手締めの依頼確認
□飲み物の準備
□おつまみの準備
□終了時における片付け係の確認
□納会中の外部から連絡受付の確認

<< 当日の運営 >>

(1)当日の式次第
納会の式次第は、次のようなものを参考に検討する。
・開会の辞(実行委員長)
・社長挨拶(社長)
・顧問挨拶(顧問)
・その他挨拶(専務)
・乾杯(常務)
・会食
・手締め(営業部長)
・閉会の辞(実行副委員長)
・散会 
(注)社歌があれば歌う。時間は、1時間~1時間半でまとめること。
会場レイアウトモデル(立食式の場合)


(2)納会のチェックポイント
イ.宴席は、1人でも多く参加できるように立食形式がよい。
ロ.飲食物は、ごく簡単なものでよい。年の瀬で各自忙しいときでもあり、また、翌日から休暇に入ることから、後片付けがしやすいようにするためである。
ハ 挨拶の時間は、1人で長くならないようにする。目安としては、社長が10分、その他が5分くらいまでが適当である。
ニ.挨拶では、ねぎらい、反省、来年への抱負を述べるのがよい。小言、愚痴は、禁物である。
ホ.乾杯で音頭をとる人は元気よく発声し、乾杯の音頭に合わせて全員いきいきと「乾杯」する。
ヘ.終了時間は厳守すること。
ト.締めくくりは、手締めがよい。手締めの音頭は、元気よく行う。
チ.後片付けは手際よく行い、新年にゴミをもち越さない。

<< 後始末とフォローアップ >>

翌日から休暇に入るわけだから、後始末は全員で手早く行いたい。新年に、同一会場で仕事始めの会を行う場合は、とくに念入りに掃除しておくこと。パネルなどは、仕事始め用のものと取りかえておくとよい。

<< 支出費用の経理処理と税務取扱い >>

社内だけの人員でやった場合は、福利厚生費となる。社外から招待した場合は、招待客の頭割り分が接待・交際費となる。

著者
橋口 寿人(経営評論家)