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人事関係

入社式・新入社員歓迎会
<< 入社式、新入社員歓迎会の目的 >>

入社式は、社会人として第一歩を踏み出そうとしている新入社員にとって、その出発の区切りとなる大切な行事である。入社式、そしてその後に続く新入社員歓迎会のでき次第で、会社に対するイメージが大きく変化するといっても過言ではない。トップの素晴らしい挨拶に感銘を受けて、いっそうの熱意で仕事に取り組むようになる場合もあれば、逆に不用意な一言が、せっかくの有望な人材の芽をみすみす摘んでしまうような結果に終わることもある。
また、同時に現社員、取引先企業なども入社式には目を光らせている。今期の自社の企業姿勢が式の中身に如実に現われるからである。したがって、新入社員の将来、ひいては自社の将来を考えた場合、これらの行事には細心の配慮が要求される。ことさら大袈裟にする必要はないが、少なくとも新入社員全員の士気を高め、かつ企業の意気込みが伝わるような内容にすべきである。

<< 入社式の事前準備 >>

(1)準備委員会の設置
総務・人事セクションの社員が準備全般を担当する。通常、部長クラスが委員長となり、その下に数人で委員会を構成するが、幅広い年齢から委員を集めると片寄らない柔軟な運営ができる。

(2)規模、内容、出席者の検討と決定
入社式は、原則として本社で一括して行う。全国に支店、営業所が点在する企業の場合、現地採用、現地勤務となる新人も出てくるが、団結心を高め、会社の全体像を知ってもらうためにも、理想としては新入社員全員を一堂に集めて式を開く。
日程は、新年度が始まる4月1日が一般的。3月中は新入社員の卒業式などが絡んでくるのでなるべく避ける。どうしても3月中にやらなくてはならないときには、日程の調整を十分に図ったうえで全員が出席できる日時を選ぶ。
会場は、社内に適当な場所があればそこで開催する。多人数が集まり社内では収容できない場合にはホール、会館、商工会議所などを借りることになるが、入社式が集中する時期でもあるので早めに予約をしておく。
来賓に誰を招くか、新入社員の父兄は呼ぶのか、また会社側からどの程度の社員を参加させるかなどは、会場の広さ、人事、経営戦略上の判断などの違いによって異なるので一概にはいえない。十分な検討、打合せが必要である。
入社式事前準備フローチャート


(3)式運営に関する準備
入社式には、社長挨拶をはじめいろいろな祝辞、挨拶が入る。どのような形で誰に依頼するのか事前にしっかりと決めておき、本人との打合せを行う。とくに新入社員に答辞を読ませる場合には、人選から原稿作成の指導まで細心の注意が必要である。
式に臨むに当たって、新入社員には当日の服装、予定表、社歌などを記したスケジュール表を事前に渡しておく。社長の挨拶は、前もって原稿を作成しておくことになるが、あまり堅苦しくならないように工夫し、新入社員の感情に訴え、やる気を起こさせるような内容とする。
式に新入社員の父兄を招く場合には、会社施設の見学を組み込む。

(4)予算設定のポイント
入社式は社内で行う場合が多いので、それほど予算はかからない。主に、会場設営のための費用と、入社記念に渡す記念品代くらいである。記念品には、これから仕事で使えるような文房具などを贈ると、もらったほうも重宝する。

(5)関係者への連絡とモデル案内文
新入社員へは人事担当者が、来賓へは準備委員会が案内状を出す。内容に食違いが出ないよう、打合せは綿密に行う。取引先など重要な来賓には、他社の入社式への参加予定を先に入れられてしまうのを防ぐためにも早めに出席を打診する。自社の出席者に対しても出席依頼状を配付し、周知徹底を図る。



<< 入社式当日の運営 >>

(1)式次第
新入社員の入社式次第は、ほぼ以下のようになる。これは、来賓を招待する場合のモデルである。
・開式の言葉
・新入社員の入場
・社歌の斉唱
・社長挨拶
・辞令交付
・来賓の祝辞
・社員歓迎の言葉
・新入社員答辞
・閉式の言葉

(2)会場レイアウト
入社式の会場を飾り付けるのに必要なものとしては、国旗および社旗、生花、紅白のまん幕などである。また、出席者のための椅子、司会者の演台とマイクも整然と配置する。マイクはできればスタンドマイクがよい。
入社式会場レイアウトモデル


(3)当日の運営ポイント
運営上の主なポイントは、次のとおり。
・会場内への入場は、会社役員・社員→社長・来賓・父兄→新入社員の順で行う
・新入社員への辞令交付は少数の場合は1人ひとり、多数の場合は代表者に手渡す
・司会者は、拍手が入る場合には率先して拍手を行い、出席者全員をリードする
・父兄・来賓の挨拶のときには全員が起立して話を聞く
・式終了後には役員などを交えて、新入社員全員の記念撮影を行う

<< 新入社員歓迎会の事前準備 >>

(1)準備委員会の設置
入社式に引き続いて行う場合は、入社式準備委員会が兼ねる。そのほうが入社式からの一連の流れのなかで組み立てられるからである。

(2)規模、内容、出席者の検討と決定
全社行事としてではなく部署別に開く場合もあるが、通常は入社式当日に一度全体で開き、日を改め配属先ごとに個別に行う。
入社式に続いて行う場合には、社内の適当な場所で立食パーティーという形式が一般的だが、テーブルマナーを教えるという意味合いも含め、ホテルで開くケースもあるようである。
歓迎会に父兄、役員などを招く場合には、当然のことながらどこまでを招くのかを事前に決めておき、案内を出す。

(3)歓迎会運営の注意点
新入社員は緊張し、あまり食べ物は口に入らない。料理は、ぜひとも量より質を重点に選びたい。
また、楽しく歓迎会を行うためにも、先輩社員は新入社員に、酒、カラオケ、芸などを強要しないようにする。

(4)予算設定のポイント
社内で開催する場合には、立食パーティーが主となるため費用は少なくて済む。飲食費の実費くらいのものである。ホテルなどを利用する場合には、ホテル側の係と相談する。

(5)関係者への案内
出席者の範囲を決めたら対象となる人には早めに連絡する。新入社員に対しては、入社式当日に配るスケジュール表にも明記しておき、まごつかせないようにする。

<< 新入社員歓迎会の運営 >>

(1)式次第と運営
入社式に引き続いて行う場合の式次第は、次のような形式が一般的である。
・開会の挨拶
・歓迎の言葉
・乾杯
・新入社員、先輩社員の自己紹介
・懇談
・閉会の言葉
進行係は、新入社員がリラックスした雰囲気で参加できるような運営を心掛ける。役員が参加する場合には、堅苦しい挨拶は抜きにして、かわりに乾杯の音頭をとってもらうようにする。新入社員に自己紹介させる際にも堅苦しさを取り除き、ユーモアあふれる会話ができるような雰囲気づくりに努める。

(2)会場レイアウト
新入社員歓迎会場レイアウトモデル


<< 入社式、新入社員歓迎会チェックリスト >>

入社式、新入社員歓迎会のチェック項目は、次のとおり。
□準備委員会のメンバーは、各部署からまんべんなく選ばれているか
□出席予定者の範囲は決定したか
□各事業所・支店単位、または本社で一括して行うのかが決まっているか
□3月に実施する場合、新入社員の都合を確かめておいたか
□社内で行う場合、会場としてどの部屋を使うか決めてあるか
□出席予定者の規模から考えて、その会場の収容能力は適切か
□外部の会場を使う場合、会場を早めに押さえるよう考えているか
□来賓を招く場合、誰を招待するのか人選してあるか
□式辞を述べる人は決まっているか
□来賓に祝辞を依頼する場合、誰にするか決めたか
□祝辞の内容と時間はどの程度にしてもらうのか伝えてあるか
□新入社員に答辞(挨拶)をさせる場合、代表者にその旨を言ってあるか
□式当日のスケジュール表の手配は済んでいるか
□スケジュール表は関係者全員に配り終えたか
□社長(会社代表者)の式辞は、必要以上に堅すぎないか
□新入社員の父兄を招待する場合の段取りはできているか
□当日、新入社員に手渡す記念品は手配済みか
□新入社員に配付する入社関係書類は揃っているか 
□式終了後に行う記念撮影のカメラマンは手配してあるか
□式が午前と午後にまたがる場合、昼食の手配はしてあるか
□式終了後、新入社員歓迎会を行う場合、会場は決まっているか
□社外で行う場合、移動の交通手段は考えてあるか
□飲み物、食べ物の手配は済んでいるか
□社員の出席範囲をどこまでにするのか決めてあるか
□社員に挨拶、アトラクションをさせる場合、その依頼は終わったか
□新入社員に自己紹介をさせる場合、その時間をみているか
□宴会といっても節度ある行動を心掛けるよう社員に伝えてあるか
□酒宴中心に片寄りすぎたものにならないようにしているか
□費用は全額会社負担とするのか。役職者、社員で負担する場合、その負担割合は合理的に決められたものか
□全体的に新入社員と既存社員の和やかな顔合せになりそうな内容か

著者
橋口 寿人(経営評論家)