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金銭貸借・担保等に関する契約書

譲渡担保設定契約書(3)
在庫商品譲渡担保設定契約書

 譲渡担保権者○○興産株式会社(以下「甲」という)と債務者兼譲渡担保設定者△△商事株式会社(以下「乙」という)は、次のとおり在庫商品を目的とする譲渡担保権の設定契約を締結した。

第1条 (譲渡担保権の設定)乙は、下記債務(以下「本件債務」という)の担保として、甲のため、乙の所有する別紙目録記載の在庫商品(以下「担保物件」という)を甲に譲渡し、占有改定の方法により、本日、甲に引渡を完了した。

甲乙間の平成○年○月○日付「継続的商品取引契約」にもとづき乙が甲に対して現に負担しまたは将来負担する一切の債務

第2条 (担保物件の保管および公示)乙は、担保物件を乙の本店倉庫内において他の商品等と区別して、これを無償で預かり、善良なる管理者の注意をもって保管する。
2 乙は、担保物件が甲の所有にかかることを公示し、第三者においても明らかに認識し得るような措置を講ずるものとする。

第3条 (販売、補完および占有改定)乙は、担保物件の一部を、通常の取引により第三者に販売することができる。その場合その売却分と同種同等の商品を7日以内に補完するものとする。
2 本件譲渡担保権の効力は、前項により補完された商品にもおよぶものとする。
3 第1項により補完された商品の占有は、その補完と同時に占有改定により甲に移転するものとする。

第4条 (乙の債務不履行等)乙につき次の一の事由が生じたときは、乙は第2条第1項の保管権限および第3条第1項の販売権限を失うものとし、乙は、甲の請求に応じ、甲に対し、担保物件をすべて引き渡して返還するものとする。
 (1) 本契約上の債務につき不履行のあったとき
 (2) 乙の振出にかかる手形・小切手につき不渡りが発生したとき
 (3) 乙の債務不履行により、第三者から差押、仮差押等がなされたとき
 (4) 租税公課の滞納処分を受けたとき
 (5) 乙につき、破産、民事再生手続き開始の申立、会社更生、特別清算等の申立のあったとき
2 前項の事由の生じたときは、甲は、担保物件を任意に処分し、その代金をもって第1条記載の債務の弁済に充当することができる。

第5条 (調査権)甲は、いつでも乙に対し、甲が乙の倉庫に立ち入り次の調査を行うことを要求でき、乙はこれに応じなければならない。
 (1) 甲による在庫商品の検査および棚卸
 (2) 在庫の受入、出庫に関する記録の閲覧
 (3) 乙の帳簿等の閲覧

 以上本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有する。


 平成○年○月○日
東京都○○区○○町○丁目○番○号
(甲)譲渡担保権者 ○○興産株式会社
代表取締役○○○○ 印
東京都○○区○○町○丁目○番○号
(乙)譲渡担保権設定者 △△商事株式会社
代表取締役△△△△ 印

(在庫商品目録省略)


著者
北河 隆之(弁護士)