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ポイント解説

建物の賃貸借に関する契約書

期限付建物賃貸借契約書(1)

収入印紙

  期限付建物賃貸借契約書  

  甲野太郎を賃貸人とし、乙山次郎を賃借人として、賃貸人・賃借人間において次のとおり期限付建物賃貸借契約を締結した。
第1条 (事情・目的建物)賃貸人は、その所有して生活の本拠として使用している下記物件(以下「目的建物」という。)について、賃貸人が勤務先の株式会社○○○の人事異動により、平成○年○月○日から○年間の予定で同社札幌支店に転勤となり、家族とともに札幌に移住するため、上記○年間目的建物を生活の本拠として使用できず、かつ、上記転勤終了後は、目的建物を生活の本拠として使用するため、上記転勤の期間中に限り、目的建物を賃借人に賃貸することとし、賃借人は、上記事情を諒承し、上記転勤の期間中に限り、これを賃借することを約した。
 
  所    在
家屋番号
種    類
構    造
床 面 積
○○区△△○丁目○番地
○番
居宅
木造瓦葺2階建
1階○○.△△平方メートル
2階○○.△△平方メートル
第2条 (賃貸借期間)前条に定めた事情により、賃貸借の期間は、平成○年○月○日から、平成○年○月○日までの○年間とし、本契約には借地借家法26条及び28条の適用はなく、更新はしないものとする。
第3条 (使用目的)賃借人は、目的建物を居宅として使用する。
第4条 (賃料)賃料は、1か月金○○万円とし、賃借人は、毎月末日までに翌月分を賃貸人名義の○○銀行△△支店・普通預金・口座番号○○○○○○○に振込送金して支払う。
第5条 (敷金)賃借人は、賃貸人に対し、敷金として金○○万円也を預託した。
2  敷金に利息はつけないものとし、賃借人が賃料・損害金等の支払いを怠ったときは、賃貸人は敷金を持って弁済に充当することができる。上記充当は、目的建物の明渡しまでは賃貸人の任意とし、賃借人からこれを請求することはできない。
3  賃貸人は、賃貸借契約が終了し、賃借人から目的建物の明渡しを受けたときは、前項の清算をした敷金の残金を賃借人に返還する。
第6条 (賃借人の費用負担)次の各費用は、賃借人が負担するものとする。
目的建物の通常の小修繕費
電気・ガス・水道・衛生費その他の経費
賃借人およびその家族・使用人等の責に帰すべき事由による目的建物損壊等の修繕費
第7条 (賃貸人の費用負担)目的建物に関する公租公課および目的建物の主要構造部分についての修繕費は、賃貸人が負担するものとする。
第8条 (禁止事項)賃借人は、賃貸人の事前の書面による承諾を得なければ、次の各行為をすることができない。
賃借権の全部または一部を譲渡または転貸すること
目的建物に造作を加え、または模様替えその他一切の工作をすること
使用目的を変更すること
第9条 (契約解除)賃借人が次の一つに該当した場合、賃貸人は、催告なくして直ちに本契約を解除することができる。
3か月以上、賃料の支払いを怠ったとき
目的建物を著しく汚染し、または近隣に迷惑を及ぼしたとき
賃料の支払いを何度も遅延し、また家族以外の者を同居させるなどして、賃貸人との信頼関係を著しく破壊したとき
長期間不在となるなど賃貸借継続の意思が認められなくなったとき
前条その他本契約に違反したとき
第10条 (当然の終了)目的建物が、天災・火災その他の災害により通常の用に供することができなくなったときは、本契約は当然に終了する。
第11条 (明渡し)本契約が、期間満了・解除・解約その他の事由により終了したときは、賃借人は、直ちに目的建物を原状に復して、賃貸人に明渡す。
2  明渡しに際して、賃借人は賃貸人に対し、造作買取請求権を放棄し、かつ、立退料等一切の金銭上の請求をしない。
3  賃借人は、明渡し後目的建物に残置した物品の所有権を放棄し、賃貸人が適宜処分することを認める。
第12条 (損害金)賃借人が本契約終了と同時に目的建物を明渡さないときは、賃貸人は、賃借人に対し、本契約終了の翌日から明渡し済みまで、月額金○○万円也の割合による損害金を請求することができる。
第13条 (合意管轄)本契約に関する紛争については、賃貸人の居住地の地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする。
第14条 (公正証書の作成)賃借人は、本契約を強制執行認諾文言付公正証書とすることに同意し、公正証書作成のための委任状および印鑑証明書各1通を賃貸人に交付した。
  以上のとおり、期限付建物賃貸借契約が成立したので、これを証するため、本契約書を2通作成し、甲乙各署名押印のうえ、各1通を所持する。


  平成○年○月○日

東京都○○区△△○丁目○番○号
賃貸人甲野 太郎

埼玉県○○市○○町○丁目○番
賃借人乙山 次郎



著者
水野賢一(弁護士)