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知的所有権に関する契約書
ソフトウェア開発の委託契約書
○○株式会社(以下「甲」という)と△△開発株式会社(以下「乙」という)は、コンピュータ・プログラムの開発の委託に関し、次のとおり契約を締結した。
第1条 (目的) 甲は、乙に対し、別紙目録記載のコンピュータシステムのプログラム(以下「本件システム」という)の開発(以下「本件業務」という)を委託し、乙はこれを受託した。
第2条 (期限等) 乙は、甲乙間で別途定めるスケジュールに従い、本件業務を誠実に実施するものとする。
2 本件システムの仕様、設計等の変更、その他の事由により期限までに乙が本件システムを甲に納入できない場合には、甲乙協議の上、期限を変更することができる。
第3条 (委託料)本件業務の委託料は総額金○○○○円とし、甲は乙に対し、次のとおり、乙の指定する銀行口座に振り込んで支払うものとする。
(1) 本契約締結と同時に金○○円
(2) 平成○年○月○日限り金○○円
(3) 本件システムの検収後○○日以内に金○○円
2 本件システムの仕様、設計等の変更がなされた場合、甲乙協議の上、前項記載の委託料の変更を請求することができる。
第4条 (再委託の禁止) 乙は、事前に甲の書面による承諾を得た場合を除き、本件業務の全部または一部を第三者に委託してはならない。
第5条 (資料の保管・管理) 乙は、本件業務に関して甲より提供された一切の資料・情報を善良なる管理者の注意義務をもって保管・管理し、甲の事前の書面による承諾を得ないで複製し、第三者へ交付し、その他本件業務以外の目的に使用してはならない。
第6条 (秘密保持) 乙は、本契約に関連して知り得た甲に関する秘密情報を、本契約の履行中はもちろん、本契約終了後においても、第三者に開示もしくは漏洩してはならない。
2 乙は、本契約の履行に関与する乙の従業員その他の者についても、前項の義務を遵守させなければならない。
第7条 (検収) 甲は、乙から本件システムの納入を受けた後○日以内に検査を行い、瑕疵の発見の有無につき遅滞なく乙に通知する。
2 乙は、前項にもとづき甲から本件システムに瑕疵が存在する旨の通知を受けたときは、本件システムにつき必要な修補を行い、甲乙で別途協議して定める期限までに再度納入するものとする。
3 第1項にもとづき甲が乙に対し瑕疵を発見しなかった旨の通知をした場合は、その通知が乙に到達した時に、また甲が本件システムの納入を受けた後10日以内に第1項の通知を発しない場合は、その期間満了の時に、本件システムの検収が完了したものとみなす。
第8条 (資料等の返還) 乙は、前条の検収後遅滞なく甲から提供された一切の資料を甲に返還するものとする。
第9条 (資料の提供) 甲は、乙が本件業務を遂行するにあたり必要となる一切の資料を乙に対し交付する。
第10条 (危険負担) 本件システムの滅失・毀損・変質その他による危険の負担は、検収完了の時をもって乙から甲に移転するものとする。
第11条 (保証) 乙は、甲に対し、本件システムが別紙仕様書に合致し、甲の利用目的に適合し、良好に稼働し、また本件システムが第三者の著作権その他の権利を侵害していないことを保証する。
2 乙は、本件システムに瑕疵があった場合、検収後○か月間は無償にて修補を行う。
第12条 (第三者の権利侵害) 本件システムに関し第三者との間で紛争が生じたときは、甲乙協議の上、誠意をもってこれを解決するものとし、解決に要する費用は、甲および乙の帰責事由の割合に応じて負担する。
第13条 (知的財産権の帰属) 本件システムに関する知的財産権(著作権法27条、28条の権利を含む)は、委託料の完済とともに、乙から甲に移転するものとする。乙は、甲が請求したときは、本件システムの知的財産権の移転登録手続きに協力する。ただし、登録手続きに要する費用は甲の負担とする。
2 前項にかかわらず、同種のプログラムに共通に利用されるノウハウ、ルーチン、モジュール等に関する権利は乙に留保される。
3 乙は、本件システムの複製・改変について、著作者人格権を行使しないものとする。
第14条 (譲渡禁止) 甲および乙は、事前に相手方の書面による同意を得た場合を除き、本契約にもとづいて発生する一切の権利を第三者に譲渡し、または担保の目的に供してはならない。
第15条 (協議) 本契約に定めのない事項および疑義が生じた事項については、甲乙協議の上、決定する。
以上本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上各1通を保有する。
甲 ○○株式会社
代表取締役 ○○○○ 印
東京都○○区○○町○丁目○番○号
乙 △△開発株式会社
代表取締役 △△△△ 印
著者
北河 隆之(弁護士)