譲渡担保設定契約公正証書

 

本公証人は、当事者の嘱託により、その法律行為に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。

 

第１条（譲渡担保）

債務者○○株式会社（以下「甲」という）は、債権者○○株式会社（以下「乙」という）に対し、後記の債務を担保するため、甲の所有する後記物件を乙に譲渡し、占有改定の方法により、これを乙に引き渡した。

２　乙は、甲が後記債務を履行したときは、後記物件の所有権を甲に移転する。

３　乙は、甲が後記債務を履行しないときは、後記物件を任意に売却し、後記債務の弁済に充当することができる。この場合において、売却額が残債務額を超えるときはその超過額を乙は甲に返還し、下回るときはその不足額を甲は乙に支払う。

第２条（使用貸借）

乙は甲に対し、後記物件を後記債務の弁済期日まで無償で貸与することとし、甲はこれを借り受けた。

２　甲が後記債務を履行しないときは、乙は前項の使用貸借契約を解除する。この場合、甲は直ちに後記物件を乙に返還し、引き渡さなければならない。

第３条（物件の使用）

甲は後記物件を本来の用法に従って使用する。

２　甲は後記物件を所定の場所で使用し、これを移転してはならない。

３　甲は、本契約締結から、後記債務の弁済期日までの間、善良な管理者の注意をもって物件を管理する。

４　後記物件の使用にあたり必要となる保守、整備、修繕は甲の費用により行なう。

５　甲は保守、整備、修繕にあたり、後記物件に付着させた機器、部品等の所有権を乙に対し主張しない。

６　甲は、後記物件について、保守、整備、修繕の程度を超える改造その他形状、規格、性能等の変更を行なってはならない。

７　後記物件の使用に関連して、甲又は第三者が損害を被ったときは、甲は自己の責任と費用負担でこれを解決し、乙に何らの請求をしないものとする。

第４条（所有権の保全）

乙は、後記物件の点検確認のため、物件の設置場所にいつでも立ち入ることができる。

２　甲は、後記物件が乙の所有物であることを示す表示を、後記債務の弁済期日までの間、物件に貼付する。

３　甲は、本契約に基づく権利を第三者に譲渡してはならず、また、後記物件を第三者に売却、担保提供、転貸等してはならない。

４　第三者からの強制執行、滞納処分による差押え等に対しては、後記物件が乙の所有物であることを主張するとともに、乙に直ちに通知するものとする。

第５条（損害保険）

甲は、本物件に関し、甲の負担により乙の選定する保険会社と乙を被保険者とする損害保険契約を締結する。

２　前項の保険契約に定める保険事故が発生したときは、甲は乙に直ちに通知するとともに、乙の保険金請求に必要となる書類を交付するなど、乙に協力する。乙は支払保険金を受け取ったときは、後記債務の弁済にこれを充当する。

第６条（乙による解除）

甲が次の各号のいずれかに該当したときは、乙は催告をすることなく、直ちに使用貸借契約を解除する。この場合、甲は直ちに後記物件を乙に引き渡す。

(1)　手形又は小切手が不渡りとなったとき

(2)　破産、特別清算、民事再生、会社更生等の申立てを第三者が甲に対してしたとき、又は甲が自らしたとき

(3)　後記物件に対し、第三者から執行手続もしくは保全処分又は租税の滞納処分を受けたとき

(4)　関係官庁から営業停止、許可取消等の処分を受けたとき

(5)　経営状態が著しく悪化していると乙が認めたとき

(6)　本契約に定める条項について重大な違反があったとき

第７条（物件の返還）

第２条及び前条の規定により、甲が乙に後記物件を引き渡す際の費用は、甲が負担する。

第８条（通知義務）

甲は次の各号のいずれかが発生したときは、直ちに乙に書面により通知する。

(1)　会社、会社代表者の住所、氏名、電話番号の変更

(2)　会社の合併、分割

(3)　物件の滅失、毀損、盗難

(4)　第６条第５号を除き、第１号から第６号までに定める事　　由

第９条（事業報告義務）

甲は乙が求めたときは、損益計算書、貸借対照表等の決算書その他事業の概況を説明する資料、及び物件の管理状況を説明する資料を遅滞なく提出する。

第10条（公証人費用）

本契約締結にあたり、公証人に支払う所要の費用については、甲乙は折半によりこれを負担する。

第11条（裁判管轄）

本契約に関する紛争については、○○裁判所を第一審の管轄裁判所とすることに合意した。

第12条（誠実協議）

本契約書に定めのない事項については、民法その他の法律や規則、一般的商慣行に従い、甲乙誠意をもって協議し、解決に努めることとする。

記

債権明細

　　契約年月日　　平成○○年○月○日

　　債権額　　　　金○○○円

　　弁済期　　　　平成○○年○月○日

　　利　息　　　　年利○％

　　遅延損害金　　年利○％

 

物件目録

　　品　名　　　　○○○○

　　数　量　　　　○○○○

　　製造番号　　　○○○○

　　製造年月日　　平成○○年○月○日

以上

本旨外要件

　住　所　　　　　○○県○○市○○町○丁目○番○号

　債権者兼譲渡担保権者　　○○株式会社

　住　所　　　　　○○県○○区○○町○丁目○番○号

　上代表取締役　　○○○○　印

　　　　　　　　　昭和○○年○月○日生

上記の者は印鑑証明証を提出させてその人違いでないことを証明させた。

　住　所　　　　　○○県○○市○○町○丁目○番○号

　債務者兼譲渡担保権設定者　　○○株式会社

　住　所　　　　　○○県○○市○○町○丁目○番○号

　上代表取締役　　○○○○　印

　　　　　　　　　昭和○○年○月○日生

上記の者は印鑑証明書を提出させてその人違いでないことを証明させた。

上記列席者に閲覧させたところ、各自その内容の正確なことを承認し、次に署名・押印する。

○○○○　印

○○○○　印

この証書は、平成○○年○月○日、本公証役場において作成し、次に署名・押印する。

○○県○○市○○町○丁目○番○号

○○法務局所属　　　　　

公証人　　○○○○　印

 

 

この正本は、平成○○年○月○日、債権者○○○○の請求により本職の役場において作成した。

○○法務局所属　　　　　

公証人　　○○○○　印

 

著者
千賀修一（弁護士）