ビジネスわかったランド (総務・庶務)

広報・PR

新規顧客向け・媒体活用型[屋外広告]
ネオンサイン、突き出し看板……不特定多数にアピール

ビルの側面、空中など、使用場所はいろいろ

屋外広告は、街を通行する歩行者やドライバーなど、対象者を問わない幅広い層にアピールするための広告媒体です。
この媒体の特性は、長期間に設置する場合はもちろん、短期間に集中して設置する場合でも、一定期間の継続的な露出で、商品・サービスの訴求ポイントを繰り返しアピールできるという点です。
訴求する商品・サービスの内容によって、アピールする対象地域を選択し、より多くの人の目に触れる機会をつくらなければなりません。

代表的な種類として、ネオンサイン、ビルボード、突き出し看板、懸垂幕、のぼり、野立看板、ポスターボード、アドバルーン、LEDボード、大型ビジョンなどが挙げられます。主なものを見ていきましょう。

(1) ネオンサイン
ビルの壁面や屋上に設置するネオン管などを使用した看板です。
主に、都市部の人通りや交通量の多い大規模駅周辺、幹線道路沿いのビルの屋上や外壁に設置します。
業種に限らず、幅広く利用されます。
ただし、歓楽街の代名詞として「ネオン街」という言葉が存在するように、キャバレーやクラブ、パチンコ店で使われることが多いです。

(2) ビルボード
ビルの壁面や屋上に設置する、木製や金属に広告を塗装・掲示する看板です。
日本では、都市部のビルやマンションの屋上で多く見かけます。
高速道路など、車を運転している最中の視認性の高い場所も同様です。
海外では、街中でも多く使われています。
主に立体物を併用し、実際に何かが起こっているようなリアリティをもたせています。

たとえば、『Hubba Bubba』というメーカーのガムの広告では、巨大な男の子がフーセンガムを割ってしまった様子がリアルに表現されています。
このように、人目を引く面白い内容のものが海外には数多くあります。
屋上看板は、高い所に設置するので遠くからでもよく見えますが、逆に近づきすぎると消費者の視界に入らなくなります。
日本では、単純な内容で、会社ロゴや商品名だけという形が多いです。

(3) 突き出し看板
ビルや電柱から突き出して掲出する看板です。「突き出しサイン」ともいいます。
店舗から街頭へ突き出している小型の看板を指します。袖看板がタテ長なのに対し、突き出し看板はヨコ長になっています。
建物の壁面から突き出して取り付ける看板ですから、お店や会社の前に看板を設置する空きスペースがとれないときによく利用されます。

大型のビルに、各階のテナントの看板が上から下まで連なっているものが代表的です。
看板の中に照明器具を入れて、内照式になっているものが多いです。
突き出し看板は、お店や会社の前を移動している人に対して正面を向いています。
しかし、人間の背丈よりも高いところにあるため、視認性は低くないものの、スタンド看板に劣ります。

(4) 懸垂幕
ビルの壁面に垂らして掲出する布製の広告幕です。
テント生地や厚めの丈夫な生地を屋上やベランダから吊り下げます。
一般的に、縦長のものを「垂れ幕」といい、横長のものを「横断幕」といいます。

百貨店の短期のイベントや、マンションの入居者募集に使用されることが多いです。
百貨店の場合、懸垂幕にあらかじめ専用の取付け器具が付けられ、イベントの期間を過ぎると取り外す、または取り替えるようになっています。

(5) のぼり
旗ざおなどに取り付け、歩道上や電柱、街灯柱に掲出するものです。
飲食店、不動産、小売店、自動車関連の業種で、顧客を呼び込むための必須アイテムとしてロードサイドでよく使われます。また、イベントやキャンペーンを盛り上げる場合にも適しています。

交換がしやすいので、季節ごとにサービスの内容、新しいメニューなどをローテションし、効果的にアピールすることができます。小型のサイズであれば、店内に設置して、POPに近い役割をもたせることもできます。

(6) 野立看板
鉄道、道路の沿線に掲出する広告板で、それだけで独立した看板となっています。
建物と離れた場所でも効果を発揮します。
懸垂幕と同様、「一時的なお知らせ」として建物などに立て掛けて使うものを「立看板」といいますが、その性格から「捨て看板」とも呼ばれます。

(7) ポスターボード
1つの絵柄を分割し、部分ごとにポスターに印刷して、それらを貼り合わせて掲出する大型の広告板です。
屋外広告として、イベントの宣伝・告知のほか、商品・サービスの販売促進、交通安全運動の啓蒙などで幅広く使われます。
基本的にポスターは、お店の中で販促イベントを知らせるための掲示物として使われます。
最近では、屋外でも耐性の強い素材やインクの技術が進化し、長期間キレイに掲示できるようになっています。

(8) アドバルーン
広告を吊り下げて空中に揚げる係留型の気球です。
係留型の気球の浮力により、気球自体を20~50メートル程度の高さに揚げて使用します。
たとえば、横1メートル、高さ10メートル程度のバナー(横断幕)に文字を配置した広告を、屋外の不特定多数の人々に、店舗やイベントの場所の目印とともに空中から標示します。

意外にも、アドバルーンは日本発祥の広告手法です。
1913年に化粧品会社が使用したのが最初とされています。
屋外用として、主に郊外の低層階の店舗や、イベント会場、展示会場などで利用されています。

また、屋内の展示場、見本市会場、イベント会場、大型ショッピングセンターなどでは、室内装飾としても用いられています。最近は、話題性を高めるために、自動車や魚、企業のキャラクターの形をしただけの、宣伝文のない変形気球も見られます。

(9) LEDボード
発光ダイオードを利用して、文字、映像をカラー表示する広告板です。
明るく表示するLEDボードは、昼・夜を問わず、通行人の目を引き付けます。
手書きの文字や絵がカラフルに発色する電飾LEDボードを組み込んだディスプレイスタンドや、ポスターをパネルに入れるものなど、さまざまのタイプがあります。

表示内容も多様に変更できます。季節ごとのキャンペーンに適しています。
目立たせたり、見やすくしたりといった工夫によって、集客率、購買率のアップが期待できます。
最近は、省エネタイプのLEDボードが増えてきており、ランニングコストを抑えられるものが主流になってきています。

(10) 大型ビジョン
ブラウン管を使用した大型の映像表示板です。テレビ中継や、TVCM、音声の出力も可能です。
「街の顔」となり得る大型ビジョンは、対象エリアを限定でき、地域に密着することができます。
視聴者の素早い反応が得やすい販促媒体です。
大型ビジョンの魅力は、迫力ある映像と音の演出により、通行人が思わず足を止めて見入ってしまうことです。
圧倒的なインパクトを与えることができます。
地域密着型の特定エリアに集中した展開から、キャンペーンなど全国にまたがってのネットワーク展開、通信衛星やインターネットとの連動による双方向企画など、フレキシブルな可能性に富んだ販促媒体といえるでしょう。

2009年、東京・渋谷にある街頭の大型ビジョン(マイティビジョン渋谷)において、『mabuya(マブヤ)』(株式会社ドリームエッグス)というモバイルと連動した通販番組がスタートしました。
雑誌『Ranzuki』などで活躍中のモデルが、現在流行しているグッズを番組内で紹介し、これを観た若者は、携帯ショッピングサイトから購入することができます。
「マイティビジョン渋谷」周辺の通行量は1日(平日)に約50万人で、信号待ちや待ち合わせの人々の目を引き付けられるスポットです。
「渋谷の若者」という明確なターゲットと、そのターゲットにマッチした商品をアピールし、さらには、その商品を目にしたターゲットが直接商品を携帯電話から購入できるというメリットもあることから、効果的な販売促進活動として注目を集めています。

なお、屋外広告は、安全性・風致・美観のため、都道府県、政令指定都市、中核都市には、「屋外広告物法」(国土交通省)に基づいた条例があります。実施の際には、各条例または専門家に問い合わせるといいでしょう。


 

著者
岩本俊幸(株式会社イズ・アソシエイツ 代表取締役)