ビジネスわかったランド (総務・庶務)

広報・PR

新規顧客向け・媒体活用型[フリーペーパー]
『Hot Pepper』『ぱど』など、クーポン付きが主流

フリーペーパー=クーポン付き情報誌!?

フリーペーパーは、広告収入をもとに定期的に制作する印刷媒体で、特定の読者層に無料で配布します。
ちなみに、「フリーペーパー」は和製英語です。
英語では「free daily newspaper」「freesheet」などと称します。

このフリーペーパーは本来、広告だけを掲載した「集合チラシ」とは一線を画す媒体として、地域情報や生活情報の記事を掲載していました。
しかし、近年はフリーペーパーという表現の普及とともに、これらの情報を全面に出す割合は以前より少なくなってきています。
フリーペーパーの配布方法としては、新聞折込、ポスティング、オフィス配送、街頭ラック設置、街頭手渡しなどが挙げられます。

最近のフリーペーパーの多くは「クーポン付き情報誌」です。
『ぱど』や『Hot Pepper』がおなじみですが、各店舗の割引特典や、サービス特典が付いています。
フリーペーパーには下記の表のような種類があります。

フリーペーパーは、地域性、対象者層、配布部数の実態、熟読率に大きく影響される販促媒体といえます。
ですから、同じフリーペーパーでも発行している地域によって、集客効果が違ってきます。

たとえば、こんなエピソードがあります。
あるエステサロンチェーンでは、新規出店する際の一番の指標を、立地条件などのロケーションに置きませんでした。
「集客できる媒体があるかどうか?」を調査し、販促効果の高いフリーペーパーが定着しているエリアに出店するようにしました。
エステサロンは、広告に頼らざるを得ない業種です。
販促効果の高い媒体があるかどうかによって、集客が左右されるという側面が大きいからです。
フリーペーパーが、新規出店時のエリアの選択という経営戦略上においても大きな影響力をもつことを示すエピソードではないでしょうか?

フリーペーパーの中でも、クーポン付き情報誌を販促媒体に活用する場合には注意が必要です。
それは、クーポンだけが目当ての“浮遊客”がいることです。
浮遊客が来店しても、必ずしもリピートにつながりません。
浮遊客は、お店を選ぶ基本的な判断基準が、価格である可能性が高いからです。

実際、美容室やネイルサロンでは、クーポン付き情報誌がきっかけで来店した顧客のリピート率が10%以下というところも少なくないようです。
このような場合、価格を訴求するのではなく、最初からリピートを目的としたお店の明確なコンセプトを打ち出し、それにターゲットが共感できるように広告の表現を工夫することが大切です。  
■フリーペーパーの種類
種類 概要 媒体例
コミュニティペーパー 地域生活情報紙で、わが国で約1000紙あるといわれる。新聞販売店、新聞社系が多いが、独立系も多々ある。発行部数規模は数百部のものから数十万部のものまでまちまち。小規模のものについては、ミニコミ紙と呼ばれることがある
ターゲット・メディア フリーペーパーはもともとターゲット媒体だが、読者ターゲットを特定の読者に絞り込んだもの 『シティリビング』(OLが対象)
『ahead』(30~40歳のビジネスマンとパートナーが対象)
『あんふぁん』(幼稚園児→母親が対象)
『定年時代』(シニアが対象)
『R25』(「M1層」と呼ばれる20~34歳の男性が対象)
『5l(ファイブエル)』(シニアが対象)
『ぶらあぼ』(クラシック音楽好きが対象)
ニュースペーパー 地域のニュースを掲載しているほぼ日刊のフリーペーパー 『滋賀報知新聞特報』
『経済の伝書鳩』(北海道北見市)
タウンペーパー・マガジン 商店街単位や、複数街区をカバーするものなど、歴史も古い 『日本橋』(東京都中央区日本橋地区の話題・情報、エッセイなどの読み物中心)
『すすきの新聞』(居酒屋、新店、耳寄り情報を網羅した札幌すすきの総合情報誌)
『Ginza Net Times』(銀座エリアで働く人、ライフスタイルにこだわりをもつ30~40代向け)
月刊『わたしの世田谷』(30代以上の女性向け、東京都世田谷区中心に配布)
広告紙誌 基本的には編集記事がほとんどない広告(クーポンを含む)だけの紙誌 『ぱど』(20~40代の家庭にいる人、主に主婦層を対象に、全国約200地域、隔週発行)
『Hot Pepper』(20~30代OLを対象に、全国約50地域、月末金曜日発行)
『Coupon Land』(20代女性を対象に、山手線主要エリア=渋谷・新宿・池袋・有楽町・東京・新橋が中心、毎月20日発行)
広報・PR紙誌・通販などのカタログ・会員紙誌など 複数の広告を掲載するオープン型の広告媒体 『ハマジン』(横浜市とサンケイリビング新聞社という行政と民間企業の協働編集。神奈川県横浜市内に在住・在勤の30~40代のビジネスパーソンを対象に、隔月発行)
『QOORAN(クーラン)』(明治大学商学部ゼミと千代田区地域活性化事業のタイアップ、千代田区を中心に約3万部発行)

 

著者
岩本俊幸(株式会社イズ・アソシエイツ 代表取締役)