ビジネスわかったランド (総務・庶務)

広報・PR

小さな会社でもできるプレスリリースの具体的なつくり方
テンプレート、タイトル、リード、本文のコツ
 
■「テンプレート」枠を確定させる
  • ・ヘッダー:(1)ロゴ(カラー)、(2)「プレスリリース」の字体
  • ・フッター:ページ数+α
この統一は、一目で「社・組織名」がわかるブランド化の第一歩です。

<テンプレート部分+宛先+発信者+日付>


■タイトルをつけるコツ 
記者の目は、まずタイトルにいきます。タイトルで興味を惹かなければ、それ以上読んでくれず、くずかご行きの運命。とにかく記者に興味をもってもらう工夫、知恵がいるのです。これは、クリエイティブの人たちが広告のキャッチフレーズやコピーを考える過程と同じです。
  1. 「最新の」「はじめて」「一番」などニュースネタのキーワードを使う
    心を打つことばで興味を惹く
  2. 最も主張したいことをキャッチワードで。サブタイトルとのバランス!
    「高級品だが低価格」「1年間メンテフリーの」「3割引き」
  3. サブタイトルを有効に、効果的に
    数字を入れるとインパクトが強くなる。「入場者○○人超える」「日本初の○○5冠達成」「史上最高○○億円売上見込み」
  4. 旬の言葉、流行語、流行りのキーワードを入れると目を惹きやすい
  5. 「体言止め」(名詞で止める)が多い。短文でも可
  6. 字体を変える、枠で囲む、下線を引く、色をつける等、パソコンを駆使して目立たせる
  7. 数字で強調
    注意すべきは、タイトルのキャッチフレーズは「自画自賛」が多いこと。世界一、業界初、日本一などを使えば、必ずその証=バックデータ、つまり、裏づけになる証を本文か資料につけることを忘れないでください。

■リード部分の書き方
●基本
リード文は、タイトルに次いで最も重要な数行です。そこで、最も大切なスペースに、最も伝えるべきことを、最も適切な言葉で、最も少ない単語で、本文に記述する「6W5H」のうちから、必要な内容(プレスリリースの骨子)を簡潔にいい切ること。簡略化(株式会社=(株)または不要)し、代名詞を有効に使って短くし、内容が斜め読みでもわかるようにすることが記者の立場に立った書き方です。要は、わかりきっている余計なことを読ませて記者の時間や労力を奪ってはなりません。記者の手間を省くことがすべての要諦です。
 
●主語の書き方
・「キャッチフレーズ」をつくる
まだ知名度がない小企業は、これから売りにしたいキャッチワードを使って、会社を簡潔な言葉で表わすキャッチフレーズをつくりましょう。たとえば、以下の通りです。
  • ▽イイモノを全国へ世界へ! オンリーワンの作業用品会社を目指す「ハミューレ(株)」
  • ▽安全廉価! 業務用三輪電気自動車で世界を変える「(株)日本エレクトライク」
  • ▽缶詰バー「mr.kanso」チェーン全国1,000店舗を目指す「(有)クリーン・ブラザーズ」
 
・主語の書き方
「株式会社大和製作所」という社名を例にとると、
  1. 「当社は、……」:社名は右上に記載するので、この3文字が最も簡潔
  2. 「大和製作所は……」:右上に「株式会社大和製作所」と記すので、本文では(株)も株式会社も不要
  3. 「株式会社大和製作所 or (株)大和製作所は、……」
  4. 「株式会社大和製作所 or (株)大和製作所(香川、社長藤井薫)は、……」
  5. 「株式会社大和製作所(香川県綾歌郡代表取締役社長藤井薫)は……」
  6. 「キャッチフレーズ+1……」
  7. 「キャッチフレーズ+2……」

社名の前に、6のように簡潔な「キャッチフレーズ」をつけることは、まだ社名が浸透していない小さな会社の場合、特にどんな会社かを最初に印象づける有力な方法としてお勧めです。まず所在地や社長名を知らせ、印象づけたいのであれば、右上に記載する社名のあとに入れましょう。最後の「お問合せ先」に住所が入るので、リード部には不要。最も大事なスペースは、より重要な言葉に使用すること。それは、記者に必要なことだけを読んでもらう配慮です。記者の時間を省くこと。スペースはお金ですから有効に使用すべきです。

<画期的新商品のプレスリリースにおけるリード部分の例>


■本文の書き方
プレスリリースに定型なし! テーマによってレイアウトは異なります。プレスリリースは「自分の作品」「会社の商品」です。内容によって独創的レイアウトを案出し、何が書かれているかを一目瞭然にすることです。
  • 「6W5H」で:わかりやすいストーリーで、伝えたいことから、ピラミッド型で!
  • 「将来の方針」「今後の見通し」=How in the future:発表者の意志を明示し、生命を吹き込むこと。「情」を移入し、「魂」を注入できるのはこの部分。これがないリリースは単なる「お知らせ」に過ぎない
  • ビジュアル:「イラスト」「グラフ」「差別点・比較表」などビジュアルに一覧性で表現。「読んでわかるより見てわかる」を実行
これを伝えたい! との強い意図に沿って、具体的にわかりやすくすることです。個別取材時にもプレスリリースと同じ内容で手元資料にすると、きちんと内容を伝えることができ、数字も間違いないようにお互いに確認できます。

新聞向けは「ニュース性」、雑誌向けは「ストーリー性」、テレビ向けは「映像性」など、媒体別に表現を工夫しましょう。

小さな会社は、これからマスメディア向けのプレスリリースだけではなく、 いろいろな情報をホームページ上に掲載し、 「自社メディア」 として諸情報を発信するのです。ホームページが顧客との「初対面!」となります。その意味でもプレスリリースは、会社の折々の活動紹介といえましょう。「記者は素人、お客様はもっと素人」であることを忘れてはなりません。本当に報せたい人はお客様であることを肝に銘じ、そのお客様にわかってもらうために、記者により明確にわかってもらう気持ちで書くと、自ずと熱が入ります。情熱の強さがまず記者の心を動かし、記事のトーンや語尾が変わり、読者の心に伝わるものです。情報とは「情熱を報せる」「情けに報いる」ともいいます。

<魅力的な一目でわかるプレスリリースを>


■自画自賛したらバックデータを忘れずに
自画自賛とは、日本一、業界初、10%節電、5割セールなどです。その証明になるものは次の通り。
  • ▽権威:権威ある人のお墨つき、メッセージ(大学教授、専門家など)や談話
  • ▽官公庁、大学など公的機関、第三者検査機関の証明
  • ▽著名人・有識者・タレントからのメッセージ
  • ▽公的機関(例:経産省)や団体(例:東京商工会議所)等のトップ
  • ▽著名企業のトップ
  • ▽海外関係は、相手側のトップメッセージ、大使館、領事館等のメッセージ・コメント
  • ▽裏づけあるの数字的データ(グラフ・比較表・差別表)を一覧表で
  • ▽自社の確かな実験データ(上記等の証明があればなおよい)
 
■戦略的表現を工夫しよう
【時期】
たとえば、「4月ごろ発売予定の商品」の場合、どのぐらいの言い方があるでしょうか? 3月後半に、3月末に、4月に、4月ごろ、4月1日から、4月初め、4月初旬、4月中旬までに、春頃等、いろいろな表現方法があります。どれがいいかは戦略によって変わります。
【価格】
価格3万円程度で発売する場合、「もっと低い価格があり得る」感じを与えたければ、「最高3万円の予定」とすれば、読者は2万8,000~9,000円ぐらいと感じるもの。「安さ」を強調しておきたい場合には、「3万円を切るくらい」という表現も。
【数量】
販売数量1万台としても、「必ず達成し、かなり上回るぞ!」というニュアンスの場合、「1万台を確約」と記せば明確だし、「1万台を切らない」とすれば強い決意が読み取れます。「○○を目標に」とすれば、「努力はするが、ほぼ到達はむずかしい」と推測されるでしょう。
【比較】
商品の大きさや長さなどを示す際にも、たやすく比較できるものを考えること。単純な数字比較、またはわかりやすいものとの比較。以下は例。
  • 大きさ:バスケットボールよりも大きい
  • 速さ:イチローより速いぐらいの
  • 正確さ:コンピュータのように
プレスリリースとは、自分の思想(考え)の影絵。外からは、それが真の姿にも映るのです。プレスリリースは、会社が託す商品であり、自分が愛する商品なのです。

<いろいろな表現を工夫しよう>


■資料をできるだけ揃えよう
会社概要のほか、事実関連の数字等をわかりやすくまとめた資料を「ファクトブック」として充実させておくことは、短時間で取材を終わらせ、早く理解したい記者には好都合。営業にも使えて何かと便利です。
項目例:(1)歴史、(2)資本金推移、(3)売上高推移、(4)経常利益推移、(5)従業員数推移、(6)部門別売上高グラフ、(7)主要商品別シェア、(8)主な拠点…。

<ファストブックの項目例>