記者クラブでの発表や「お知らせ」として配信する手もある

「一斉発表」の方法には、次の5つがあります。
［1］全メディアへプレスリリースを一斉配布・配信する
発表案件のテーマによって、それに興味を抱きそうなメディア（記者）に一斉配信すること。配信方法は、FAX、メール、郵送に加えて手渡しが有効。しかし小さな会社は、当初まだメディアの人脈もないため、配布・配信先がわからないのはやむを得ないところ。そこで、本書の巻末付録やPR手帳（日本PR協会発行）、マスコミ電話帳（宣伝会議発行）等から関係メディアを探し、「メディアリスト」をつくる必要があります。PR会社（巻末付録）や配信代行会社（後述）に有料で頼むことも可能です。

［2］記者クラブでの発表＋全メディアに配信する
記者クラブに対して発表し、クラブ以外のメディアにも、同日に［1］を行ない、より多くの報道を狙います。記者クラブでは、レクチャー付き＝発表者＋プレスリリース配布か、それとも単に資料（プレスリリース）配布か、いずれかの方法によって行ないます。

［3］全メディアを一堂に集めて発表＋配信する
一度に関係全メディアを集めたい場合や商品展示、デモが必要なケースで、自社、展示会場やホテル、貸し会議室などで開催します。

［4］「お知らせ」（ニューズレター）として全メディアへ配布・配信する
「お知らせ」は、ニュース性はなくとも報せておく価値のある情報をまとめて、メディアや関係先に配布・配信しておくもの。発表のタイミングを逸して、ニュースにはならないが話題性はあるものや、時期をずらすことによって、新たな付加価値をつけたり、切り口を変えて出したりできる場合には、「お知らせ」を活用すると露出可能性が広がります。「ニューズレター」は、プレスリリースのように、1テーマ1プレスリリースに限定せずに、いくつかのテーマをまとめた1つの読み物としての位置づけなのです。「プレスリリース」を「お知らせ」と書き直して配信することもできます。また、自社ホームページには発信実績としてアップしておきましょう。
 
［5］無料配信サイトやインフルエンサー（影響力ある人）等へも配布・配信する
プレスリリースは、可能性のある配布先があれば、積極的に幅広く流すこと。それを続ける努力が功を奏する時がいずれくるよう念じましょう。



■記者クラブとは何か？　
記者クラブで発表（プレスリリース）したい場合、事前に記者クラブへ「発表申込み」を行なう必要があるので、その仕組みと申込み方法などを解説しましょう。記者クラブとは、メディア各社の会員制親睦組織。記者側は、取材の最前線基地として発表を受け入れる場であり、企業側は、担当記者に一挙に発表できる場、メディアとの接点の1つです。

首都圏では官公庁系と民間系クラブがあり、さらに一般紙と業界紙・専門紙に分かれます。自社の業種・分野からどのクラブに該当するか問い合わせ、一度訪問してその仕組みを学んでください。地方では、県庁に「県政記者クラブ」、市役所に「市政記者クラブ」があり、主要都市の商工会議所にある「経済記者クラブ」にて発表可能。商工会議所がない都市では、「県政」や「市政」で企業物に対応しています。テーマさえきちんとしていれば小さな会社でも発表できますので、積極的に発表してください。地元優先ですから、記事になりやすいのです。テーマによっては、「県政」や「市政」で、また、首都圏と地方の記者クラブでも同時に発表できます。
 
【記者クラブの利点】 したがって、どしどし発表ネタをつくり、積極的にクラブへの発表を心がけてください。
 
【発表申込法】
クラブには2～3か月ごとの輪番制で2～3社ずつ幹事社が決まっていて、発表申込みを受理するかどうかの諾否判断を行ないます。発表申込みのタイミングは、通常、発表日の48時間前までですが、クラブによって異なるので確かめること。資料（プレスリリース）配布だけの場合には、前日の電話だけで受けつけるクラブもあります。申込み項目は、(1)発表テーマ、(2)日時、(3)場所、(4)レクチャー（発表者）付きか、単に資料（プレスリリース）配布か等。申込用紙があればそれに記入します。申込み後、主要記者には個別にコンタクトして参加をお願いし、プレスリリース後にも個別コンタクトして、個別取材へとつなげるよう全力をあげてください。
 
【記者クラブでの発表の留意点】
＜記者クラブへ一斉発表決定後の申込方法＞

山見 博康(戦略広報PR・危機対応コンサルタント)