ビジネスわかったランド (総務・庶務)

広報・PR

自社から取材要請するときの具体的な方法
適切なメディア・記者にアプローチする
 
■取材要請にも2通りの場面がある
個別に取材要請するとは、基本的にはメディア1社の独自取材で、次の2つのパターンがあります。
「メディアに取り上げられる方法」の表でいえば以下の通り。
  • A.会社より特定メディア(記者)に「特ダネ」として情報提供する
  • D.一斉発表=プレスリリース後に、個別にコンタクトして取材要請する
記者にとってAとDは天と地のように違います。それに心を配って応対してください。

Aの場合、「オンリー・ユー情報」となれば、かなりの確率で記事にしてくれます。 プレスリリースは不要ですが、同じような内容でまとめておくこと。Dの場合、いったんプレスリリースを配信したあとに、Aを行ないます。配信先全部に対しては、物理的にできるわけではないので、ぜひ原稿にしてほしいか、少なくとも関心をもってもらいたいメディアに電話します。すでに知っている記者がいれば、「本日こういうプレスリリースを流したのですが……」と、直接電話するのです。
 
■適切なメディア(記者)を選ぶ
いいネタがあれば、ネタの価値とターゲットによって適切なメディア(記者)を選ぶことが大切です。メディアは報せる武器で多種多様!

Aの場合:1メディア、または1記者を選ぶ必要があります。
  1. 戦略的に狙いたいメディアの記者を知っている場合はベスト
  2. 適切な担当記者を知らない場合には、一般紙は経済部、地方の場合は報道部または政経部、業界紙は編集部に電話し、担当記者を紹介してもらう。その担当記者は新たな人脈になるので貴重な宝として大切に!
  3. 特ダネは、会社にとっては重要な戦略商品と同じで、記者人脈拡大の弾丸。この弾丸を活用して、これまでつき合いのなかったメディアに取材要請を行なうことができる。そうして恋人を増やそう
Dの場合:基本的にAと同様。異なるのは、プレスリリースしている点だけですが、最初に「この案件はプレスリリースしているのですが……」と断り、「ぜひ御社にプレスリリースに書いていない面白い情報を提供したいのですが……」や「プレスリリースした案件で申し訳ありませんが、これからの個別取材でほかと異なった情報を差し上げる用意があります……」という姿勢で臨むことです。

ただし、最初に「プレスリリースした案件」と言った段階で、記者の興味は半減していることを感じるでしょう。その辺に配慮して話をするよう心がけること! そこで、最初プレスリリースしたことをいわないで、最後のほうで「実はこうなんです」と言う方法もありますが、いずれにしても「プレスリリース案件」だということを明らかにする必要があります。さもなくば、だますことにもなります。
 
■ケーススタディ:Aの場合
K社岡野君。このほど、業界初の新商品を開発したので、有力メディアに個別に取材してもらいたいが、知っている記者がいません。こんな場合、実際のアクションは次のステップになりましょう。
  1. T社編集局(経済部)に電話して、「私は、IT関係部品メーカーK社広報担当の岡野です。この度、業界初の新商品を開発したのですが、この業界担当の方はおられますか?」
    「私が、担当デスクの石金ですが、どんな話ですか?」
    「○○を開発し、近々販売開始予定ですが、もしご興味あれば取材されませんか? 当社としては、“ぜひ御社(だけ)に”と思っているのですが……」(と「オンリー・ユー!」がわかるように)
    「その特徴は? 他社との差別点は何ですか?」
    「実はそれには3つあり、……です」(この数分が勝負。即答のこと)
    「面白そうですので担当記者から電話させます。連絡先を教えてください」、または「ここに電話し担当のS君に、私からの紹介ということで、話してください」のいずれかでしょう
  2. S記者にコンタクト成功
  3. S記者に説明。興味ありとのことで面談日時場所を設定する
  4. 当日、S記者と社長(+同席者)との面談
  5. S記者は原稿を書き、デスク(上司)に上げる
  6. 報道記事として掲載
このように記者の興味を惹く案件であれば、面識のない記者でも喜んで取材してくれます。なぜなら、特(得)ダネだからです。
 
■ケーススタディ:Dの場合
プレスリリース後に、Aと同じことを行なうことで、取材のお願いをすることになります。その時には、「御社だけの特ダネ」とは言えませんが、「プレスリリースをお送りしたのですが、ご覧になったでしょうか?(御社だけにぜひという気持ちで)少しでもご興味をもっていただければ、もっと詳しい情報を差し上げたいのですが……」と誘うことは可能です。アプローチに成功し、電話に出てくれた場合には、「○日にプレスリリースしたので読まれたかもしれませんが……」と前置きし、以下のように対応します。
  1. 「読んだ」となれば、話は早い。「より詳しいお話を御社だけに……」と、率直に個別取材をお願いする
  2. 「読んでない」となれば、「いますぐFAXかメールをしますので、ぜひご覧になってください」と頼み、すぐ送る。直後に電話で確認して、取材をお願いす る。ただし、FAXの前に「どんな内容か、簡単に話してほしい」と言われることもあるので、そのときは、USP(特長)・UDP(差別点)を強調しつつ、 想いの丈を吐露する。すると、2通りの反応となる。
    ・1つ目:「面白そうだから、FAX(メール)してほしい。取材したい場合はこちらから連絡する……」。これはラッキー!
    ・2つ目:「それはもう結構です……」。その場合は(1)どこが不十分かを尋ね、次の糧にする、(2)諦めて、ほかの興味をもってくれそうなメディア(記者)にあたる

このように、特ダネ情報として1社に取材要請する場合と、プレスリリース後により詳しい情報提供することによって、横並びの情報価値しかなかったネタに付加価値を加え、特ダネ情報に近いニュースネタへと昇格させるのです。そうした情熱費を払えば、記者も独自の取材記事として、意欲的に取り上げてくれるケースも出てくるのです。

<取材要請の方法>