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会社法

計算書類にはどんなものがある?
計算書類は全部で4つ

 計算書類は、会社にどれだけの財産があるのかを示した書類です。
 計算書類については、貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいうと規定されています。そして、法務省令で定めるものは、株主資本等変動計算書および個別注記表とするとされています。
 このことから、株式会社の計算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の4つということになります。また、これらの計算書類に関連するものとして、事業報告と附属明細書があります。

株式会社の財産状況を明らかにする計算書

 貸借対照表は、資産の部負債の部純資産の部に分けて記載することによって、各事業年度の末日における株式会社の財産状況を明らかにする計算書です。
 資産の部は、流動資産、固定資産、繰延資産の項目に区分され、このうちの固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産の項目に細分されます。
 流動資産には、現金及び預金、受取手形、売掛金、商品、製品、前渡金などがあります。有形固定資産には、土地、建物、構築物、機械、船舶、自動車などがあります。無形固定資産には、特許権、借地権、のれんなどがあります。投資その他の資産には、関係会社の株式、出資金、長期貸付金などがあります。
 負債の部は、流動負債、固定負債に区分されます。流動負債には、支払手形、買掛金、前受金、未払費用などがあります。固定負債には、社債、長期借入金などがあります。
 株式会社の純資産の部は、株主資本、評価・換算差額等、新株予約権に区分されます。株主資本に係る項目は、資本金、新株式申込証拠金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式、自己株式申込証拠金に区分しなければなりません。
 このうち、資本剰余金は、資本準備金、その他資本剰余金に細分しなければならず、利益剰余金は、利益準備金その他利益準備金に細分しなければなりません。



株式会社の経営成績を明らかにする計算書

 損益計算書は、1事業年度に発生した収益とそれに対応する費用とを記載することによって、株式会社の経営成績を明らかにする計算書です。
 売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失に区分して表示しなければなりません。
 特別利益は、固定資産売却益、前期損益修正益、負ののれん発生益、その他の項目に細分され、特別損失は、固定資産売却損、減損損失、災害による損失、前期修正益修正損、その他の項目に細分されます。売上高から売上原価を減じた売上純利益を表示し、そこから販売費及び一般管理費を減じた営業利益(損益)金額を表示しなければなりません。
 その他、経常利益(損益)金額、税引前当期純利益(損益)金額、税等、当期純利益(損益)金額を表示しなければなりません。



純資産の部の増減を明らかにする計算書

 株主資本等変動計算書は、1事業年度における純資産の部の増減を明らかにする計算書です。
 区分される項目は、貸借対照表の純資産の部と同じで、株主資本、評価・換算差額等、新株予約権となります。細分項目も、純資産の部の場合と同様のものとなっています。
 これらの区分に従い、その事業年度の前期末残高、当期変動額、当期末残高を明らかにしなければなりません。

株式会社の財産などを正確に判断するための書類

 個別注記表は、株式会社の財産または損益の状態を正確に判断するために、継続企業の前提に関する注記、重要な会計方針に係る事項に関する注記、貸借対照表に関する注記、損益計算書に関する注記、株主資本等変動計算書に関する注記、税効果会計に関する注記など、全部で15項目に関して作成する書類です。
 注記すべき事項については、会社会計規則において詳細に規定されています。

事業報告・附属明細書

 事業報告は、計算書類の内容にはあたらず、株式会社の状況に関する重要な事項などを内容とするものです。計算書類が数値を中心とした内容であるのに対して、事業報告は、文章による説明が中心になります。
 附属明細書には、計算書類の内容を補足するものと、事業報告の内容を補足するものとがあります。計算書類の内容を補足する附属明細書には、(1)有形固定資産および無形固定資産の明細、(2)引当金の明細、(3)販売費及び一般管理費の明細などのほか、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表の内容を補足する重要な事項を表示しなければなりません。また、事業報告の内容を補足する附属明細書は、事業報告の内容を補足する重要な事項をその内容とするものでなければなりません。




著者
水野 賢一(弁護士)
2011年1月現在の法令等にもとづいています。