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会社法

決算について知っておくべきことは?
決算とは?

 事業年度内の収支の総計算をし、事業年度末日における株式会社の財務内容を確定させることを決算といいます。
 株式会社は、各事業年度の終了後に、貸借対照表、損益計算書などの計算書類やこれらの付属明細書を作成して、定時株主総会の承認を得たうえで、貸借対照表を公告します。これら一連の行為が決算です。

計算書類の作成

 決算のために作成する会社の業績や財産状態を明らかにした書類を計算書類といいます。
 貸借対照表、損益計算書などの計算書類やこれらの付属明細書は、株式会社では代表取締役が、委員会設置会社では執行役あるいは代表執行役が作成します。委員会設置会社ではなく、代表取締役など株式会社を代表する者を定めていない場合は、取締役が会社を代表するので、取締役が作成権者となります。
 会計参与を置いた場合、取締役は、会計参与と共同して計算書類を作成します。

計算書類の監査

 貸借対照表、損益計算書などの計算書類やこれらの付属明細書の監査に関する機関には、監査役・監査役会、会計監査人と、委員会設置会社における監査委員会があります。これらの機関を置かない株式会社においては、監査を受けずに株主総会の承認を受けることになります。
 監査役設置会社においては、貸借対照表、損益計算書などの計算書類やこれらの付属明細書は、監査役の監査を受けなければなりません。また、会計監査人設置会社においては、監査役(委員会設置会社においては監査委員会)および会計監査人の監査を受けなければなりません。監査役会設置会社においては、監査役会が監査報告の作成を行ないます。

取締役会の承認と株主への提供

 取締役会設置会社においては、貸借対照表、損益計算書などの計算書類やこれらの付属明細書は、取締役会の承認を受けなければなりません。監査役・監査役会、会計監査人や監査委員会の監査を受けた場合は、これらの監査を受けたものについて、取締役会の承認を受けなければなりません。
 そして、取締役設置会社においては、定時株主総会の通知に際して、株主に対し、取締役会で承認を受けた貸借対照表、損益計算書などの計算書類を提供しなければなりません。

計算書類の備置き

 株式会社は、各事業年度の貸借対照表、損益計算書などの計算書類やこれらの付属明細書を、定時株主総会の日の1週間(取締役会設置会社においては2週間)前の日から5年間、本店(支店では3年間)に備え置かなければなりません。株主および債権者は、株式会社の営業時間内において、閲覧等をすることができます。

定時株主総会への提出・承認

 取締役は、貸借対照表、損益計算書などの計算書類を定時株主総会に提出し、または提供しなければなりません。監査や取締役会の承認を得たものについては、その貸借対照表、損益計算書などの計算書類を定時株主総会に提出し、または提供しなければなりません。
 そして、定時株主総会に提出または提供された貸借対照表、損益計算書などの計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければなりません。

貸借対照表の公告

 株式会社は、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表および損益計算書)を公告しなければなりません。
 公告方法には、(1)官報に掲載する方法、(2)時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、(3)電子公告があります。




著者
水野 賢一(弁護士)
2011年1月現在の法令等にもとづいています。