ビジネスわかったランド (総務・庶務)

会社法

取締役会の役割とは?
取締役会の設置

 株式会社において、取締役会は、必ず置かなければならない機関ではありません。取締役会を置かなければならないのは、公開会社、監査役設置会社、委員会設置会社です。非公開の大会社や中小会社においては、設置は任意なのです。
 もっとも、非公開会社においても設置されていることが多く、本書においても、設置している株式会社を基本形としています。なお、取締役会は、3人以上のすべての取締役によって組織されます。

取締役会(委員会設置会社を除く)の職務

 取締役会(委員会設置会社を除く)の職務は、(1)取締役会の業務執行の決定、(2)取締役の職務の執行の監督、(3)代表取締役の選定および解職を行なうことです。
 取締役会は、会社の経営に重大な影響を与えることから、次に掲げる事項、その他の重要な業務執行の決定については取締役に委任できず、取締役会の承認が必要です。
(1)重要な財産の処分および譲受け
(2)多額の借財
(3)支配人その他の重要な使用人の選任および解任
(4)支店その他の重要な組織の設置、変更および廃止
(5)社債の募集に関する重要事項
(6)◯業務の適正を確保するための体制の整備
(7)定款の定めによる役員等の会社に対する責任の免除
 なお、取締役会の決議は、決議に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行ないます。



委員会設置会社の取締役会

 委員会設置会社の取締役会は、下記の職務を行ないます。
(1)次に掲げる事項、その他委員会設置会社の業務執行の決定
(a)経営の基本方針
(b)監査委員会の職務の執行のために必要なものとして法務省令で定める事項
(c)執行役相互の関係に関する事項
(d)執行役による取締役会の招集を受ける取締役
(e)業務の適正を確保するための体制の整備
(2)執行役等の職務の執行の監督
 416条1項に定めるほか、個別の条項によって、各委員会の委員の選定や解職、執行役の選任・解任、代表執行役の選定・解職なども取締役会の職務として定められています。
 なお、委員会設置会社の取締役会においては、業務執行の決定の多くを執行役に委任することができます。このような委任をすることによって、取締役会は経営方針の決定、業績の評価や業務執行者の選任および解任だけの職務を行なうこととなります。このため、委員会設置会社は、モニタリング・モデルの機関構成であるといわれています。


著者
水野 賢一(弁護士)
2011年1月現在の法令等にもとづいています。