ビジネスわかったランド (総務・庶務)

会社法

会社の機関構成にはどんなものがある?
大会社・中小会社、公開会社・非公開会社

 会社法は、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社を大会社と定義しています。この関係で、大会社でない株式会社を中小会社と呼んでいます。
 また、発行する株式に譲渡を制限する定款の定めを設けていない株式会社を公開会社と定義しています。この関係で、譲渡制限を設けている会社を非公開会社と呼んでいます。
 会社法では、このような会社の類型に従って機関構成に関する定めをしています。なお、大・中小と公開・非公開の分類とは別に、委員会設置会社という類型がありますが、委員会設置会社については次項「委員会設置会社とは?」で説明することとして、ここでの大会社には委員会設置会社は含まないものとします。
 また、すべての類型の株式会社で必ず置かなければならない株主総会と取締役については、ここでは説明を除きます。

会社における機関構成の定め

 まず、大会社の公開会社においては、取締役会と監査役会および会計監査人を置かなければなりません。
 次に、大会社の非公開会社においては、取締役会を設置しなければならないとの定めはありませんが、会計監査人を置かなければならず、これにより会計監査人設置会社となるため、監査役を置かなければなりません。もちろん、置かなければならないとされていないものでも、定款の定めによって置くことはできます。
 一方、中小会社の公開会社においては、取締役会を置かなければなりません。そして、取締役会設置会社で会計参与設置会社でない中小会社は、監査役を置かなければなりません。
 非公開の中小会社においては、置かなければならない機関についての定めはありません。しかし、取締役会を置いた場合は、取締役会設置会社として、会計参与設置会社でない場合は、監査役を置かなければなりません。また、非公開会社であっても、会計監査人設置会社においては、監査役を置かなければなりません。



会社の基本形

 置かれる機関の違いによって、意思決定のあり方や業務執行の手続などにも違いがあります。これらの違いを含めて説明することは複雑であり、会社の基本からも離れる恐れがあります。このため、本稿においては、便宜的に会社の基本形を決め、この説明を中心にすることにします。
 大会社においては、公開会社をイメージすることが通常であることから、まず公開会社として、大会社の公開会社に定められている取締役会・監査役会・会計監査人を基本形とします。
 また、中小会社においては、非公開会社をイメージすることが通常であることから、まず非公開会社として、取締役会・監査役を基本形とします。
 ちなみに、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律では、大会社は、監査役会および会計監査人を置く旨の定款の定めがあるものとみなされ、新株式会社の定款には取締役会などを置く旨の定めがあるものとみなされています。


著者
水野 賢一(弁護士)
2011年1月現在の法令等にもとづいています。