ビジネスわかったランド (総務・庶務)

会社法

会社の資本金はいくら必要か?
資本金に関する定め

 会社設立に際して出資される財産の価額またはその最低額は、定款の絶対的記載事項です。ここで定められた金額が、設立時における資本金に相当するものです。
 会社を設立するときには、事業の基礎として、保有すべき金額を定款の記載において明確にしておくことが必要とされているのです。また、資本金の額は、登記事項です。
 株主が有限責任しか負わないことから、会社の財産的基礎となるものは会社財産だけです。このことから、旧商法では会社の債権者を保護するためには、会社が相当額の資本金を確保しておく必要があると考えられていました。このため、株式会社においては1,000万円、有限会社においては300万円を資本金の最低額と定めていました。

最低資本金制度の廃止

 しかし、資本金の最低額を定めることは、その額に相当する財産が会社に存在することの保証を意味するものではありませんでした。会社は、出資された資本金を元手に事業活動をするため、資本金による預金を自由に使うことができます。そのため、常に資本金額に相当する財産を持っているわけではありません。
 このことから、最低資本金制度による会社債権者の保護については、実効性に疑問が持たれるようになりました。
 また、低迷する経済情勢下による創業支援のためや、少額の資金でも創業可能な事業形態が生まれてきたことなどから、最低資本金制度を廃止する要請が高まってきました。
 こうしたことから、会社法では、最低資本金の条項を設けませんでした。設立時の定款に、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載することだけを定めたのです。



資本金1円会社の設立


 最低資本金制度が廃止されたことから、会社が事業の基礎として保有すべき一定の金額は、1円でもよいことになりました。つまり、資本金1円の会社も認められるということです。
 なお、最低資本金制度廃止による会社の債権者保護の代替措置は設けられませんでしたが、会社の債権者保護の必要性がなくなったわけではありません。


著者
水野 賢一(弁護士)
2011年1月現在の法令等にもとづいています。