ビジネスわかったランド (総務・庶務)

会社法

株式会社の設立の方法は?
会社法は、2つの設立法を定めている

 会社法では、株式会社の設立について、(1)発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式のこと)の全部を引き受ける方法と、(2)発起人が設立時発行株式の一部だけを引き受け、残りについて他から引き受ける者の募集をする方法という2つの方法を定めています。発起人とは、会社の設立を企画した人のことです。

発起設立の手順

 発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける設立の方法を発起設立といいます。発起設立によって会社を設立する場合は、次のように行ないます。
 まず、発起人は、会社の基本規範となる定款を作成し、公証人の認証を受けます。次に、発起人が割当てを受ける株式の数や種類などの設立時に発行する株式に関する事項を決定します。発起人は、設立時発行株式の1株以上を引き受けなければなりませんが、発起設立の場合は、発起人によって全部が引き受けられます(発起人が1人の場合は、1人が全部の引受けをすることになります)。
 設立時発行株式の引受けがなされると、引受けをした発起人によって、引き受けた株式の発行価格の金額を支払うなどして、その出資の履行がなされます。出資の履行が完了したときは、遅滞なく設立時取締役など、必要な設立時役員を選任します。選任された設立時取締役などは、設立経過の調査をします。設立経過の調査が終了すると設立の登記がなされ、これによって会社が成立します。

募集設立の手順

 発起人が設立時発行株式の一部だけを引き受け、残りについて他から引き受ける者の募集をする設立の方法を募集設立といいます。募集設立によって会社を設立する場合は、次のように行ないます。
 まず、発起人は、会社の基本規則となる定款を作成し、公証人の認証を受けます。次に、発起人が割当てを受ける株式の数や種類などの設立時に発行する株式に関する事項を決定します。
 ここまでは、発起設立と変わりません。募集設立の場合、発起人は、設立時発行株式の1株以上を引き受けなければなりません。
 ただ、募集設立においては、発起人以外に設立時発行株式を引き受ける人を募集するため、これに割り当てる設立時募集株式の数や種類などについても、設立時に発行する株式に関する事項として決めることになります。
 募集設立においては、発起人が必要事項を通知して、設立時募集株式引受けの申込みを受け、設立時募集株式の割当てをします。割当てによって設立時募集株式の引受人となった申込者は、払込金額の全額を払い込みます。引受けをした発起人が出資の履行をすることは、発起設立の場合と同じです(出資の履行と表現しているのは、発起人の履行方法が払込みに限らないためです)。
 設立時募集株式の払込みが終わると、発起人が、創立総会を招集します。創立総会は、会社設立後の株主総会に相当するものです。創立総会において、設立時取締役など、必要な設立時役員を選任します。
 選任された設立時取締役などは、設立経過の調査をします。設立経過の調査が終了すると設立の登記がなされ、これによって会社が成立します。




著者
水野 賢一(弁護士)
2011年1月現在の法令等に基づいています。