ビジネスわかったランド (総務・庶務)
文書・通信事項
契約書でよく使われる英語表現
●hereとthere
hereとthereを使った表現は契約書で頻繁に登場します。前置詞と複合したさまざまな形がありますが、基本的にhereは「this Agreement」、thereは「直前の語句」を指すと理解しておけば読みこなしも簡単です。
【hereとthereの複合語】
・hereby 本契約によって
Seller hereby agrees that (買主はここに~することを同意する)
・hereinafter 以下
ABC hereinafter referred to as “Licensor”.(ABC社、以下“ライセンサー”という)
・hereto 本契約の
the parties hereto(本契約の当事者)
・hereunder 本契約に基づき
the payment hereunder(本契約に基づく支払い)
・thereafter その後
The Seller shall deliver the Goods to the Buyer, and thereafter (=after the delivery), the Buyer shall inspect the Goods.(売主は本件商品を買主へ引き渡し、その後に買主は本件商品を検査する)
・thereby それによって
The Licensee shall sign the certificate, and thereby(=by such certificate)prove that all the confidential information has been abolished.(ライセンシーは証明書へ署名するものとし、それによってすべての秘密情報が廃棄されたことを証明する)
・thereupon そのうえに、~に対して
The Seller shall deliver the Goods to the Buyer, and thereupon (=upon the Goods), the Buyer shall grant warranty.(売主は本件商品を買主へ引き渡し、本件商品に対して買主は保証を付与する)
●接続詞andとor
andは「および、ならびに、かつ」と訳し、orは「または、もしくは」と訳します。同列のものを並べるときは「and」を、どちらかを選択する場合は「or」を使います。
たとえば、「A, B, and C」は「A、BおよびC」となり、「A, B, or C」は「A、BまたはC」となります。
「and/or」という表現もありますが、これは「両方、またはいずれか一方」と訳します。たとえば「A and/or B」は「AとBともに、またはA、Bそれぞれ単独で」などと訳すことになります。
・and および、ならびに、かつ
Articles 7, 8, 9 and 13(第7条、8条、9条、および13条)
・or または、もしくは
consequential, indirect, or incidental damage(結果的、間接的、もしくは付随的損害)
Article 6. Delivery Unless otherwise agreed, the delivery of the Products by X to Y shall be in accordance with the terms and conditions of F.O.B. Yokohama as set forth in Incoterms 2000 as amended thereafter, and the entire property, control, beneficial ownership and legal title in and to such Products and the risk of loss thereof shall pass from X to Y at such time as the Products shall have effectively passed the vessel’s rail at a port of export in Japan. |
Unless otherwise agreed 別途合意する場合を除き
in accordance with にしたがって
terms and conditions 取引条件
set forth in に記載された
vessel’s rail 船の欄干
【訳例】
第6条 引渡し 別途合意する場合を除き、XからYへの本製品の引渡しは、2000年版およびその後の改訂版を含むインコタームズに規定されるとおり、FOB横浜とする。当該製品に対する完全な所有権、管理、受益的所有権および法的権限、ならびに本製品の損失リスクは、日本国の輸出港にて、本製品が船舶の欄干を有効に通り過ぎたときに、XからYに移る。 |
*「および」のandは小さいくくり、「ならびに」のandは大きいくくりです。
●助動詞mayとshall
助動詞の「may」は「権利」を表し「~することができる」と訳します。契約書ではcanは使いません。
【契約書内の助動詞の使われ方】
一方、「shall」は「義務」を表し「~する義務がある」「~するものとする」と訳すと理解してください。たとえば、“This Agreement shall take effect on…”は「本契約は…に効力を有するものとする」義務を示すのにwillやmustを使うことはあり得ます。
●期間の表記のしかた
契約期間や開始日、支払いや通知の期日などは、違反すればペナルティが課せられることもあるので重要です。fromやto、beforeなど簡単な語句を使いますが、契約書では厳密な解釈が求められますので、注意が必要です。以下は期間を表すときに用いられる表現の例です。
・~の時点に、~に as of,on
「何日現在に」と強調する場合に使われます。
・~から from,after
from the day following the date of…(…の日の翌日から)
・~まで by,before,till,until
byはその日を含みますが、beforeはその日を含まないのが一般的な解釈です。
・~よりも前 prior to
…days prior to the date of termination(契約終了日の…日前に)
・~から…以内に within…from~
within six (6)months from the day of ~(~の日から6か月以内に)
・~以後 on and after
on and after the date of this Agreement(本契約書の日付以後)
また、記載された日付を含むのか含まないのかの誤解や混乱を避けるために、including,inclusive「~を含めた」やexcluding,exclusive「~を除く」といった表現も併記することがあります。
from May 1 to June 20 (both dates exclusive)(5月1日から6月20日まで(いずれの日も除く))
until and including January 20, 2010(2010年1月20日までに)
●数量にまつわる表現
「以上」「以下」など「以」の付く表現は、基準の数を含みます。しかし、英語の「more than」や「less than」は厳密にいうとその数を含まないことに注意が必要です。
・~以上 …or more, not less than
ten (10)days or more(10日以上)
・~以下 …or less, not more than
not more than three (3)years(3年以下)
・~を超える exceeding,in excess of,more than
その数を含まず、それよりも大きい数を示します。
・~未満 less than
年齢の場合はunderを使います。
●例示列挙の表現
具体例をいくつか示す場合の表現です。
・次に掲げる事項 following matters,as follows:
・~に加えて in addition to
・上記のとおり as specified above
・前に記載のとおり as specified in the preceding paragraph
・下記のとおり as specified below
・後に記載のとおり as specified in the subsequent paragraph
●ラテン語
英文契約書にはラテン語も登場します。
・pro rata 割合に比例して
・bona fide 善意の~、真正な~
・de fact 事実上の
・apply mutatis mutandis 準用する
・proviso ただし書き
・vice versa 逆もまた同様
vice versaの例文
Neither this Agreement nor a purchase order create the relationship of principal and agent between X and Y or vice versa nor do they constitute a partnership or a joint venture between the parties. |
【訳例】
本契約または購買注文のいずれもX社およびY社間に本人および代理人の関係あるいはその逆の関係を構成しない。また、上記は、両当事者間にパートナーシップまたは合弁企業をも構成しない。 |
著者
牧野 和夫(大宮法科大学院大学教授・英国ウェールズ大学大学院教授)
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