ビジネスわかったランド (総務・庶務)
文書・通信事項
英文契約書の基本構造
●基本の構成
英文契約書は一定のスタイルで構成されています。まず、これを理解してください(次図参照)。
【英文契約書の構成】
(1) タイトル(Title)・締結日(Execution date)
契約書の見出しです。単に「Agreement」(契約)とか「Distributor-ship Agreement」(ディストリビューター契約)と書かれていることが多いです。あくまで便宜上の目的で示されるものなので、これによって契約の内容が定まったり解釈されたりするわけではありません。
契約の締結日は基本的には最初に記載されます。末尾に記載されたり、両方に記載されたりする場合もあります。
(2) 当事者(Parties)
当事者を特定するために、企業の場合には、設立・存続の準拠法と現住所(登記住所)を記載します。場合によっては、会社の登記番号を付けることもあります。当事者が個人の場合にはパスポート番号などで特定することになります。
(3) 前文(Preamble,Premise)
契約の締結に至った経緯が書かれます。通常は、当事者の役割が書かれます。過去に秘密保持契約や覚書を締結している場合には、それらの効力(本契約にすべて置き換わるのか、あるいは生きるのか)について注記することが多いです。
(4) 本文(Operative provisions)
いよいよ契約書の中身です。当事者が合意した内容が条項に分かれて明記されています。
(5) 一般条項(General provisions)
「不可抗力」「契約期間」「準拠法」「裁判管轄」など主に法律的なことを取り扱う条項を「一般条項」といいます。どんな種類の契約書にも必ず登場する、共通の条項といえます。
(6) 結語(Closing)
最後の結びの言葉です。“IN WITNESS WHEREOF, the parties hereto have executed this Agreement as of the day and year first above written.”(以上の証しとして、本契約当事者は頭書の日付をもって、本契約を締結した)といった定型句が入ります。
(7) 署名(Signature)
当事者の代表権をもつ人の署名が最後に必要です。外国人のサインは誰のものか判読しにくいので、氏名を活字体(英語でPrintと呼ぶ)で書くことを通常は要求します。
(8) 立会人(Witness)
署名者(Signor)が実際に署名した事実を証明する人のことをWitness(立会人)といいます。
(9) 添付書類(Exhibits)
添付書類には、Schedule,Attachment,Annex,Exhibit,Appendix,Tableなどいろいろものがありますが、とくに明確な違いや序列はなく、自由に使えます。添付書類にさらに添付する書類は、その序列を決める必要がありますが、その序列のルールもとくにないので、ドラフトする者が自由に設定できます。
◆契約書のサイン 契約書のサインは、パスポートやトラベラーズチェックへのサインと同様に英語で書く必要はありません。むしろ、日本語のサインのほうが、外国人にはマネされにくいので、よい場合が多いでしょう。英語、日本語、いずれの場合でも、ほかのサインと識別できれば筆記体でもOKですし、活字体でもOKです。 契約書に記載する日付は、合意をした日ですので、契約書の冒頭の締結日と矛盾してはいけません。サインの日付が当事者で異なる場合には、後の日付が合意日となります。合意日は締結日と一致する必要があります。 サイン英語例: サイン日本語例: |
著者
牧野 和夫(大宮法科大学院大学教授・英国ウェールズ大学大学院教授)
タイトル検索および全文検索(タイトル+本文から検索)ができます。
検索対象範囲を選択して、キーワードを入力してください。