ビジネスわかったランド (総務・庶務)
担保、保証、債権回収
第二会社に対しては責任追及できないのか
企業のなかには債務を免れるために、別の会社(第二会社)を設立し、その第二会社に事業の大半を移転させ、元々の会社のほうは倒産させるという悪質な手段をとるケースがあります。元々の会社と第二会社は別会社であるため、第二会社に対しては債権の回収ができないようにも思われますが、第二会社が商号を譲り受けて事業を継続しているような場合は、第二会社が元々の会社の債務を負うことが法律上認められています(会社法22条)。
また、会社の財産を別の会社に不当に移転させる行為は債権者の利益を害する行為であるため、会社の代表者に個人責任を追及することができます(会社法429条)。
さらに、第二会社と元々の会社が登記簿上は別の法人とされていたとしても、会社の組織、役員構成、事業の目的、会社財産といった要素から判断して実質的に同一の会社と認められる場合には、第二会社に対しても直接責任の追及をすることが可能です。
このように、元々の会社と第二会社を実質的に同一視する考え方を法人格否認の法理といい、判例において実際に認めたものがあります。債務者の不当な債務逃がれを許さないために、あらゆる手段を検討しなければなりません。
借主が死亡したときは、相続人からどう回収したらよいのか
人が死亡すると相続という問題が生じます。相続は、生前に死亡した人(被相続人)に属していた財産が、相続する人(相続人)に承継されるものです。債務者が死亡した場合には、プラスの財産とともにマイナスの財産である債務も相続されます。 被相続人がかなりの財産を残している場合には、相続人としても承継した相続財産のなかから支払うことはできますから、回収はできそうです。また、被相続人に財産がなかった場合でも、債務は相続人に相続されますから、相続人に対して相続分に応じて請求することになります。しかし、相続人としてもマイナスの財産ばかり相続するのではかないません。そこで、相続放棄や限定承認をすることがあります。
限定承認とは、相続人が相続によって得た財産を限度として被相続人の債務を負担する、というものです。相続人が得た財産が債権額に満たない場合には、満たない分については回収をすることができません。また、相続人の一人が相続放棄をした場合には、その相続人はいないものとして、ほかの相続人を相手に請求することになります。ただ、被相続人の債務が多いと、すべての相続人が相続放棄をするので、回収はできなくなります。
著者
芥川 基
2012年6月末現在の法令等に基づいています。
キーワード検索
タイトル検索および全文検索(タイトル+本文から検索)ができます。
検索対象範囲を選択して、キーワードを入力してください。