ビジネスわかったランド (総務・庶務)

担保、保証、債権回収

悪質な債務者にどう圧力をかけたらよいのか

刑事告訴をもちだして回収を図る
いくら請求しても、のらりくらりと言い訳をして、なかなか支払いをしようとしない債務者には、たしかに業を煮やすこともあるでしょう。しかし、債務の履行をしないというだけで刑事告訴ができるわけではありません。
ただ、その債務者に対する債権が、債務者の犯罪行為によってできたものであった場合には、債権回収の問題のほかに刑事告訴という問題も生じてきます。債務者が横領したお金の返済を求める場合や、債務者の暴行によりケガをしたような場合には、債権回収の交渉の過程で刑事告訴をチラつかせるということも必要で しょう。
しかし、「告訴するぞ、告発するぞ」と圧力をかけるのは、度を越せば脅迫罪や恐喝罪にもなりかねません。告訴・告発自体は法的に正当な行為であっても、脅したということの問題性を問われてしまいます。やはり、ビジネスライクで、合法的に行なうことが基本です。

強制執行をちらつかせる
財産のないところからは回収はできません。債務者が、なにももっていないのであれば、いくら強制執行をしても効果は期待できません。もちろん、そこまでひっ迫している債務者は、「強制執行するぞ」と圧力をかけても「どうぞご自由に」ということになるでしょう。しかし、そういう極限状態にまで至っていない債務者であれば、強制執行をちらつかせることは効果があるかもしれません。そんなときに意外と使えるのが、電話加入権を差し押さえてしまう方法です。電話加入権とは、固定電話を利用するために必要な権利のことです。携帯電話が普及している現在では財産的にはさほどの価値はありませんから、それで債権が回収できるというわけではありません。しかし、いかに携帯電話が普及しているとはいっても、それまで長い期間かけて浸透してきた、なじみの電話番号を取り上げられてしまうのは、商売や取引上では痛手になることもあります。新しい電話番号で商売を続けるにしても、債務者にとっては結構なダメージになります。イジワルなやり方ですが、これで支払いに応じてくれる債務者はいるものです。

破産や民事再生の申立てもできる
破産や民事再生というと、債務者が行なう法的手段という印象が強いですが、債権者が申し立てることも可能です。会社をつぶしたくないという債務者はけっこういるものですので、「破産を申し立てるぞ」と圧力をかけるのは有効な手段かもしれません。


著者
芥川 基
2012年6月末現在の法令等に基づいています。