ビジネスわかったランド (総務・庶務)

経費節減のアイデア

人件費を削減する20のアイデア

(1)残業時間を削減する
月間・週間の残業時間の上限を定めて、従業員に意識づけし、決められた時間内に業務を完了させることを徹底する。時間外労働というものは、やむを得ない事情によってのみ発生するものというように認識を改めるべきだ。一般社員に周知徹底することはもちろんだが、職場の管理者のマネジメント能力を高めて、効率のよい業務運営が行なわれるようにすることが、より重要といえる。

 

(2)上司による残業の承認を徹底する
本来、残業は業務命令によって行なうもの。そこで、管理者の承認のない残業は一切認めず、事前に業務内容を届け出て、承認を受けた場合のみ認めることを徹底する。手続きを徹底すれば、なんとなくムダに残業することがなくなり、時間に対する従業員の意識も高まる。

 

(3)残業禁止デーを設ける
毎週○曜日は「残業禁止デー」として、全員定時退社させるようにする。管理職も含め、例外をつくらないことが必要。事務所や工場のカギを閉め、照明を消してしまうくらい徹底する。

 

(4)採用計画を見直す
毎年春には、新卒者を必ず採用すると決め込まず、現在の陣容を補うという視点で採用計画を立てる。新卒採用ゼロの年があってもよい。ただし、数年にわたって採用ゼロだと従業員の年齢構成に歪みが出るので注意したい。また、新卒にこだわらず、中途採用の即戦力についても検討する。

 

(5)正社員の採用を抑制する
正社員として採用するのは、会社の基幹業務に携わる将来の幹部候補のみに絞りこみ、その他の業務は、派遣社員やパート・アルバイトでまかなう。

 

(6)派遣社員を活用する
間接部門で定型業務を担当する社員や営業の内勤社員は順次、派遣社員に切り替えていく。人件費の削減とともに教育訓練の手間が省け、一定水準の能力が期待できる。

 

(7)パート・アルバイトを戦力化する
これまで、補助的業務だけさせていたパートやアルバイトについて、判断業務を任せられるよう教育を施し、小集団リーダーレベルまで業務能力を引き上げる。

 

(8)退職高齢者を活用する
定年退職者を、嘱託などの身分で再雇用する。必要に応じて勤務時間や日数を設定し、長年の経験を活かしてもらう。高年齢雇用継続給付を受けることができるため、人件費負担は低く抑えられる。

 

(9)受付専担者を廃止する
入口の受付専担者を廃止し、管理(内勤)部門の担当者が兼務するか、入口(玄関)に内線電話を置き、来訪者から各部署に直接来意を告げてもらうようなシステムにする。

 

(10)裁量労働制を採用する
研究開発部門や企画部門を中心に裁量労働制を採用し、時間外労働手当を抑制するとともに、各人の自覚を高めることで生産性の向上を図る。

 

(11)変形労働時間制を活用する
1年を業務の状況により繁忙月と閑散月に分け、たとえば、繁忙月は週45時間労働、閑散月は週35時間労働などと定め、業務の繁閑によって、なるべく時間外労働が発生しないようなシフトを組む。なお、労働基準法に定められている変型労働時間制には、「1か月単位の変型労働時間制」「フレックスタイム制」「1年単位の変型労働時間制」「1週間単位の非定型的変型労働時間制」の4種類があり、右記の例は1年単位の変型労働時間制を適用したケース。業種や業態に応じて適用する変型労働時間制のタイプを選びたい。ただし、適用にあたっては労使協定の締結や届出が必要なため、これに留意すること。

 

(12)休日振替を活用する
法定休日の出勤は全面的に禁止した上で、法定外休日の出勤については休日振替(本来の出勤日に休む)とする。これにより、発生する時間外賃金はまる1日分から所定労働時間超過分だけに減少する。

 

(13)年俸制への移行を進める
目標管理制度を整備し、年度初めの話し合いによって年俸額を決定する。年俸は、残業分も見込んだ額で決定しておけば、予想外の時間外手当が発生することはない。

 

(14)成果主義報酬制度への移行を進める
営業・販売職など、実績を測定しやすい部門については、事前に評価基準を提示した上で、成果主義的な報酬システムに移行する。売上や利益などに応じたインセンティブやペナルティが発生することで社員の意識向上も期待できる。

 

(15)各種手当を見直して統廃合を行なう
時代にそぐわなくなった各種の手当については統廃合を図る。住宅手当や家族手当など属人的手当の見直しを進めている企業は多い。ただし、一方的にカットするのでは従業員の納得を得ることはできないため、基本給に組み入れるもの、手当として残すもの、廃止するものに選別し、その根拠を示す必要があるとともに、基本給が肥大化しないよう留意する。

 

(16)役職定年制を導入する
たとえば課長定年50歳、部長定年五五歳などと定めておき、その年齢までに上級職に昇格できない場合には、役職を外れ、基本的に昇給もない制度とする。

 

(17)選択定年制(早期退職制)を導入する
リストラ策の一環として、これまで中高年に対する早期退職優遇制度が随時行なわれてきたが、これを恒常的に行なえるよう制度化する。ただし、年齢(社歴)制限や会社の中枢となる人材の流出を防止する対策は必要。

 

(18)複線型人事制度を採用する
従業員全員が定年まで同じように働くという終身雇用の発想を改め、基幹業務を担うゼネラリストとして長く会社に勤めるタイプと、スペシャリスト(専門職)として比較的短期間勤務するタイプとの評価・処遇を分けて考える。人件費の削減という観点からだけでなく、自社を環境変化に対応できる体質に改善するためにも有効。

 

(19)退職金制度を見直す
これまでの「最終基本給×勤続年数(係数)」という年功型の退職金算定方式から、在職時の功績を反映させた算定方式に改める。ただし、同時に職能資格制度や役職等級制度を整備しておき、これに連動したポイントを適用する必要がある。

 

(20)すべての業務について内製か外注かを洗い直す 
メーカーの生産・加工業務に限らず、その仕事が自社の正社員にさせるべきものか、アウトソーシングすべきものかを再検討する。表面上は人件費(給与)のほうが外注費よりも安く見えても、トータルでは外注したほうが全体経費の削減につながるケースもある。

 

月刊誌「企業実務」臨時増刊号より
2009年4月末現在の法令等に基づいています。