ビジネスわかったランド (総務・庶務)
経費節減のアイデア
採用費・教育研修費を削減する20のアイデア
(1)有料求人誌の利用を中止する
新卒者については学校、既卒者についてはハローワークで直接募集する。やむを得ず有料の求人誌等を利用する場合には、必ず値引き交渉を行なう。
(2)自社ホームページで求人を告知する
自社にホームページがあれば、サイト上で募集を行なう。エントリーシートを備えて、ネット上で応募できるようにすれば、採用事務の効率化も図れる。
(3)会社案内パンフレットを廃止する
入社希望者向けの会社案内は、ホームページ上にPDFファイルで表示し、印刷物はつくらない。なお、PDFファイルとは、すでに作成したデータをアドビ社のアクロバットというソフトにより変換したもの。元のデータの形式は問わない。たとえばワードやエクセルなどで作成した文書を、そのままの体裁で、どのパソコンでも閲覧できるようになる。
(4)紹介予定派遣を利用する
自社で正社員募集をせず、人材派遣会社の紹介予定派遣制度を利用し、採用事務、研修費用を節約する。人材の見極めもつけやすく、採用ミスが起こりにくいメリットもある。なお、紹介予定派遣制度は平成12年12月に解禁となった新しい制度で、派遣期間終了後に労働者と派遣先企業の意志が合致すれば正社員として雇用関係を結ぶというものだ。雇用側だけでなく労働者側にとっても、職場の雰囲気や業務の内容、求められるスキルなどを知っているだけに、短期間で退職するような事態を避けることができる。
(5)会社説明会や採用試験は自社内で行なう
これまで外部の施設やホテルで行なっていた説明会や採用試験を、自社の会議室などを使って行なうようにする。収容人員が少なければ、何回かに分けて実施することも考える。
(6)応募者への交通費支給を中止する
これまで支給していた採用応募者への交通費支給を中止する。あるいは、1次試験のみ支給中止し、2次試験以降については交通費を支払う方法もある。
(7)新卒採用を行なわず、即戦力の中途採用のみに絞る
若手社員の補充についても新卒採用は行なわず、ある程度のビジネススキルが身についている既卒者を対象とする。新人研修等の手間やコストが軽減され、早い戦力化が期待できる。
(8)公募採用をやめる
従業員採用について公募することをやめ、従業員、取引先等の関係者の紹介にのみ絞り、採用事務を簡素化する。ただし、いわゆる実力のない「コネ入社」にならないよう留意する必要はある。
(9)外部研修を社内講習に変更する
インストラクター役の社員を養成し、これまで社外で研修を受けさせていたものを、社内研修で習得するようにする。
(10)外部研修は1人で参加させる
外部研修に参加させるのは1人にとどめ、他の研修対象者は研修参加者から情報を得るしくみを整える。
(11)研修ビデオを活用する
基礎的で受講対象者の多い研修テーマについてはビデオを購入し、これを毎年利用するようにする。たとえば、ビジネスマナーや接遇、営業マンの基礎知識といったテーマであれば、内容が陳腐化することはないので、コストパフォーマンスは高い。ただし、ビデオを見せるだけで研修を済ませてしまっては、その効果は期待できない。真にスキルを身につけさせるためには、必ずなんらかの形でのフォローアップが必要となる。
(12)eラーニングを活用する
インターネットを利用したeラーニングにはさまざまな種類があり、比較的安価だ。パソコンの普及も進んでいるため、利用を検討したい。
(13)公共機関の主催するセミナーを利用する
自治体や商工会議所、職業訓練校などが主催するセミナーは、そのほとんどが低料金ないし無料で行なわれている。これらの公的機関でよく行なわれ、業務に役立つテーマとしては、パソコン(ワード・エクセルなど)の入門講座、簿記の入門講座などがある。ベーシックなビジネススキルを身につけるだけであれば、十分な内容といえる。研修担当者はこまめに自治体の広報紙や商工会議所の会報などをチェックし、社員に受講するよう働きかけたい。
(14)管理職研修も自社で行なう
役員や管理職の研修は、温泉やリゾート地に行き、泊りがけで行なわれることがよく見受けられる。1日目の午後のみ研修にあて、2日目は全日ゴルフコンペといったケースすらある。半ば慰労の意味を兼ねてこのような「研修」が行なわれることについて、収益が好調なときは、ことさらうるさくいう必要はないかもしれないが、業績不振時には厳に慎むべきだろう。一般社員にはことあるごとに経費節減を訴え、役職者の研修は豪華なままというのでは、従業員のモチベーションの低下につながり、説得力をもたない。研修は純粋に研修として自社の会議室で行ない、その後の親睦はポケットマネーでという形が望ましい。これにより部下たちへの示しもつくだろう。
(15)OJTはマニュアルに沿って実行する
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を行なう場合、マニュアルがないと一貫性のない教え方になってしまい、習得効率、目標管理の両面で不合理なことになり、経費効率も低くなる。マニュアルがあれば、毎年同じ水準のトレーニングが可能だ。
(16)コストパフォーマンスの高い講師を選ぶ
研修機関の知名度や規模だけで講師を選ぶと、割高になるケースが多い。小規模な研修機関や個人のほうが融通がきき、コストパフォーマンスが高い傾向がある。
(17)研修講師との打合せは綿密に行なう
研修の実を上げるには、講師に対して、事前に研修の目的や狙いをしっかりと説明しておく必要がある。たとえば、受講者の知識レベルはどのくらいか、それをどのレベルまで引き上げたいか、またパソコンなどの研修であれば、自社で特に求められるスキルを中心に講義してもらうなど、一般的な知識の習得にとどめるのではなく、自社での戦力化を念頭に置くこと。講師にあらかじめ要望を出しておけば、効果は倍増するはずだ。
(18)1回の長期研修より数回に分けた短期研修を行なう
1週間以上の長期研修は日常業務に支障をきたすことが多く、効果も出にくい傾向がある。短期研修(半日~2日)を何回か繰り返すほうが、業務上の問題も少なく効果も高い。
(19)海外研修(視察)の中止
研修や視察の名目で慣例的に行なわれてきたお手盛り的な海外出張を中止する。本当に必要な場合のみ、担当社員を厳選して出張させるようにする。
(20)研修の評価を必ず行なう
まず、研修の内容についてきちんと記録しておくこと。そしてその研修に、経費に見合う効果があったかを検証し、見極めることが必要だ。
月刊誌「企業実務」臨時増刊号より
2009年4月末現在の法令等に基づいています。
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