ビジネスわかったランド (総務・庶務)

経費節減のアイデア

通信費を削減する40のアイデア

(1)社内の事業所間のファクシミリを電子メールに切り替える
時間無制限のインターネットプロバイダ契約を結んでいれば、事業所間のファクシミリを電子メールに切り替えることのよって、ファクシミリにかかる電話料金がまるまる削減できることになる。送信文の中に手書きの図などが含まれていなければ実行可能だ。

 

(2)本社・営業所間の電話はIP電話に切り替える
インターネットを利用したIP電話の普及が進んできたが、事業所間の連絡には積極的に採り入れたい。双方が同じインターネットプロバイダに加入しているため、基本的には通話料が無料になるからだ。また、今後のサービスの進展にも注目したい。

 

(3)電話やファクシミリを使っていた発注・配送についてEDI化する
EDIは、企業間取引における伝票や請求書のやりとりを、コンピュータネットワークを介してオンラインで行なうもの。ペーパーレスや事務処理の効率化というメリットもある。

 

(4)本社・工場・営業所などの拠点間を内線化する
たとえば、東京・大阪・福岡といった広域にわたって営業所がある場合、電話連絡の頻度が高ければ専用線の導入を検討したい。また、通話だけでなくデータ通信についても同時に検討すること。ここ数年の通信事業者のサービス多様化と低価格化の動きによって、中小企業にとっても、拠点間ネットワークを総合的に構築するチャンスがめぐってきている。

 

(5)携帯電話は私費で持たせ、一定額の手当を支給する
業務用に使った料金を正確に算出することは難しいが、それに充当すべき手当は月3,000円程度を目安とする。会社が個人に貸与する場合にも仕事と私用の線引きが問題になるが、会社で契約して多くの回線を保有して管理するよりも、一律の手当を支給したほうが合理的だ。仕事の内容(担当)によって通話の頻度が異なるようなら、手当額に差をつけるなどの配慮は必要となろう。ほとんどのビジネスマンが携帯電話を持つ時代になり、仕事とプライベートで2台の携帯電話を持つのも煩わしいため、社員からも歓迎されるだろう。

 

(6)会社所有の携帯電話は総務で一括管理する
ずっと本人に持たせずに、外出時に貸し出す形にすれば私用電話に使われる心配はなくなる。ただし、この形態をとる場合は、会社・本人間の連絡のみに使用するケースに限られる。顧客や取引先に携帯電話の番号を知らせることはできないので注意が必要だ。

 

(7)携帯電話から固定電話への通話は極力避ける
状況にもよるが、一般に、携帯電話から固定電話への通話料は割高になることが多いので、緊急時以外は帰社してから固定電話でかけ直すようにする。

 

(8)携帯電話の料金プランの見直しをする
各携帯電話会社の料金プランは、年を追うごとに多様化している。社員一律に同じ料金プランを適用するのではなく、個人の使い方に合わせて、最も有利なプランを選択することが料金節約の秘訣だ。そのためには、一定期間で区切って、各人の使用実態を把握し、最もリーズナブルなコースを選ぶことだ。

 

(9)企業全体の電話回線別の利用実態調査を行なう
複数ある固定電話の回線については、利用頻度の低い回線を解約あるいは休止する。代表電話制をとっている場合に、話し中が多いという苦情がなければ、回線数を減らしても問題ないと考えられる。

 

(10)ISDN回線を導入する
ISDNの導入によって、2回線分確保できるため契約回線数を半減させ、基本料金を節約することができる。また、ISDN一回線で電話番号を最大三つ設定できる「iナンバー」のサービスもあり、ファクシミリを別番号にすることも可能だ。ランニングコストは安くなる。

 

(11)電話機に節約を促すシールを貼る
たとえば「長電話厳禁」「要点を押さえて簡潔に」と書いたシールを貼り、注意を喚起する。

 

(12)通話時間と料金が表示される電話機を使用する
時間と料金が通話中に表示されれば、手短に済まさなければという意識が働く。特に通話先が遠隔地の場合は、その料金の上がり方を実感させられる。

 

(13)電話機ごとの通話明細書をチェックする
通話時間の長い部署(人)に事情を聞き、改善するよう注意する。

 

(14)電話の使用基準を正式に規定化する
業務用(有料)という意識を社員に定着させることによって、通信費を抑える。

 

(15)市内電話が多い場合には地域系電話会社の利用を検討する
会社の所在地によって利用できない場合もあるが、通話先のほとんどが市内あるいは県内である場合には、東京電話や九州電話などの地域系電話会社が有利だ。

 

(16)登録しているマイラインの内容を見直す
変更時には登録料(一番号につき800円)はかかるが、使用傾向に合わせた通信業者選択によってランニングコストを低減させることができる。なお、マイラインの選択は回線ごとに行なうことができるので、部署ごとに組み合わせを変えて登録することも可能。つまり、セクションによって電話の使い方が異なれば、電話会社もそれに応じて有利なところを選択するということだ。

 

(17)全国にまんべんなくかける場合は全国一律料金を選択する
全国一律サービスのフュージョン・コミュニケーションズが有利。

 

(18)特定の地域、特定の番号にかけることの多い場合は局番割引サービスなどを選択する
相手が特定地域に集中する場合は、ソフトバンクテレコムの「局番割引スーパー」、特定の番号の場合はKDDIの「だんぜんトーク皜DX」が有利だ。

 

(19)かける相手に偏りのない場合は、企業単位の割引サービスを選択する。
企業単位で登録することで、市外通話、国際電話が大幅に割引となる。KDDIの「まる得割引ワイド」やソフトバンクテレコムの「スーパープラン」、NTTコミュニケーションズの「ビジネス割引プラン」などは最大30%以上の割引率。

 

(20)携帯電話の法人向けサービスを利用する
携帯電話各社にも法人向けサービスがあり、加入回線数に応じて基本使用料の割引率が大きくなったり、通話料が割り引かれる。

 

(21)会社貸与の携帯電話をチェックする
定期的に通話先をチェックするルールをつくったり、事前に取り決めた金額(たとえば1万円)を超えた場合は個人負担とすることなどにより、ムダ使いを防止する。

 

(22)営業マンの携帯電話にはメールで連絡する
通話よりもメールのほうが料金は安いため、定型的な連絡を行なう際にはなるべくメールを利用する。たとえば、外出している営業マンに営業会議の日程変更を伝えるようなケースでは、一斉送信の機能が使え、電話に出られない者がいても伝達可能なため非常に便利だ。また、オフィスのパソコンからも送信できるため、内勤者からの伝達事項についても携帯メールは活用できる。

 

(23)用途に応じて郵便と宅配便の使い分けを行なう
書類や荷物を送る際に、すべて宅配便を使うのは不経済だ。時間、地域、重量に応じて使い分けを意識する。

 

(24)書類は価格交渉の上、メール便で送る
宅配便業者のメール便は「郵便よりいくら安くできるか」が基本になり、個別交渉で価格が決まる。重要書類以外はメール便を利用したい。

 

(25)DMは、広告郵便物かメール便で送る
郵便には「広告郵便物」という割引制度がある。広告・営業目的の郵便物(2,000通以上)について、通数に応じて11%から48%までの料金割引がある
(詳しくは、こちらを参照)。郵便局の事前の承認が必要だったり、送付先ごとの仕分けが必要だったりと、公社になってもまだまだお役所的な部分が残っているが、大量のDMを打つ際には検討する価値がある。これとメール便を比較し、安価なほうを選択するとよい。

 

(26)複数の宅配便業者で相見積りをとる
宅配便業界の競争も熾烈だ。相見積りをとり、料金が低廉でサービスのよい業者を選ばない手はない。ただ、ここで注意したいのは、条件のよかった一社だけに固定しないことだ。ある程度、利用頻度の高い会社であれば、他の業者も新しいサービスや条件で再提案してくるはずだ。常に競い合わせて自社に有利な条件を引き出したい。また、用途に応じて宅配便会社を使い分けることも必要である。

 

(27)重さ1キロを超える冊子類は、郵便の冊子小包を利用する
メール便は重さ1キロまでしか対応していないため、冊子形状で重さ3キロまでのものは郵便の冊子小包を利用する。

 

(28)大量の郵便は郵便区番号で区分けし、割引制度を利用する
広告郵便物やメール便の使えない請求書や納品書などは、形状、重量、取扱いが同一である場合、事前に郵便区番号に区分して郵便を利用すれば5%から9%までの割引が受けられる(2,000通以上)。さらに、送達日数に3日程度余裕をもたせる「特割」や1週間程度の余裕をもたせる「特特」扱いにしたり、また郵便番号と住所を表わすバーコードを印字しておくと、割引率はより高くなる。

 

(29)発着が同一地域であれば市内特別郵便を利用する
同時に100通以上の封書を自社と同一地域内に出す場合には、「郵便区内特別郵便物」扱いにすると、定型郵便物ならばハガキ並みの料金で出せる。自社が配達地域の外にある場合でも、直接「配達郵便局」に持ち込むことができればコスト削減につながる。

 

(30)海外郵便のDメール、Pメール割引を利用する
海外へ同時にまとめて印刷物やDMを500通以上差し出す場合、全国で10局ある指定の郵便局に持ち込めば割引が適用される。Dメール(航空優先大量郵便物)は重さ500グラムまでの印刷物について航空郵便に比べ最大39%割引になる。Pメール(航空非優先大量郵便物)は重さ5キロまでだ。送達時間まで余裕がある場合に有利だ。

 

(31)書き損じハガキは必ず交換する
書き損じハガキは、郵便局に持っていけば1枚5円の手数料で交換してくれる。捨ててしまわず、郵便局に出向いた折りに申し出よう。ただし、料額印面(切手にあたる部分)が汚れていないことが条件だ。なお、所定の手数料を支払えば、切手との交換も可能である。

 

(32)切手類の購入は金券ショップを積極的に利用する
たとえば、80円切手なら78円~79円程度と割引率はそれほど高くないが、いずれにしろ額面以下で買えることは間違いない。大量の郵便物を出す事業所にとってはバカにならない金額が節約できる。

 

(33)速達郵便は極力利用しない
たとえば、東京都内発着であれば普通郵便でも翌日着く。また、速達といえども時刻指定はできないため、宅配便に比べてもメリットは薄い。

 

(34)書留や簡易書留は、本当に必要か見極める
書留にすべきものは実際には非常に少ない。郵便物等を差し出した記録を残したいだけなら、郵便物やゆうメールの引受けを記録する「特定記録」(160円)を利用する。

 

(35)宅配便のタイムサービスの利用は慎重に行なう
都市部のオフィスに宛てて送る荷物は、普通の宅配便でも午前9時を目標に配達される。このため、追加料金の必要なタイムサービスを使っても結果は同じというケースもある。地域や発送時間を考慮してタイムサービスを利用しないと意味がない。

 

(36)弔電・祝電はレタックスを利用する
得意先などへの弔電や祝電は、NTTの電報から割安な郵便局のレタックスに変更する。電報は文字数に応じて基本料金が変わるが、レタックスの場合は1枚につき基本料金は580円と900円。ファクシミリを利用するため手書き文字やイラストも送ることができる。台紙のバリエーションも慶弔用、押し花付き、メロディー付きなど豊富で、電報に比べても遜色ない。このような、かつてのお役所同士が競合するサービスというのも、これからはもっと出てくるに違いない。

 

(37)バイク便の利用は近距離・緊急時だけ
バイク便は業者数も増え、手軽なものになってきたが、やはりまだまだ他の手段に比べ単価が高い。基本的には利用禁止とし、近距離で緊急時のみ利用可能とする。なお、日常的にバイク便を使う必要がある事業所の場合は、複数の業者から見積もりをとって契約を結べば、スポットで依頼するより割安となるだろう。

 

(38)新特急郵便は民間のバイク便とコスト比較する
郵便局でも、札幌(南区の一部を除く) ・東京・大阪・名古屋・福岡では、おおむね午前中の差し出しで、午後5時頃までにスピード配達のサービスを行なっている。民間のバイク便と使い勝手は同じだが、コスト比較の上利用したい。

 

(39)宅配便業者の地域ごとのサービスを検討する
会社の所在地にもよるが、宅配便業者が地域限定で行なっているサービスを知っているとお得だ。たとえば、東京都千代田区内発着なら通常の料金で2時間以内に届けるサービスがあるし、関東地方発着なら、朝の決められた時間までに持ち込めば、通常料金で夕方には先方に届くサービスもある。これらをうまく使い分けることが料金の節約につながる。

 

(40)大量のDMや案内状を送るときは、郵便局の「電子内容証明(e内容証明)」の利用を検討する
電子内容証明(e内容証明)とは、オフィスのパソコンで作成した文書データをそのまま郵便局に送り、郵便局でプリントアウトして封入し、そのまま相手先に配達してくれるサービスのこと。インターネットを通じて24時間受付を行なっている。郵送料に加えて手数料はかかるが、アルバイトを動員して発送作業をするよりお得な方法だ。

 

月刊誌「企業実務」臨時増刊号より
2009年4月末現在の法令等に基づいています。