ビジネスわかったランド (総務・庶務)
経費節減のアイデア
接待交際費・会議費を削減する30のアイデア
(1)全社的に交際費を厳しくチェックする
冗費としての交際費の使用を戒めるのはもちろんのこと、たとえ有効と思われるものでも厳しく制限する。また、営業マンに対しては、交際費の税務上の取扱いをしっかりと教育し、原則として課税対象になることを認識させる必要がある。
(2)交際費を使わずに仕事をとるという意識を徹底する
業種・業界の風土によって考え方は異なるものの、営業の本質は、接待でなく企画力・提案力であることを、ことあるごとに意識させる。「交際費を使わずに知恵を使って仕事をとる」ということを自社の社風にすれば、そのような営業スタイルが当たり前のものとして捉えられるようになる。これを確かなものとするためには、経営陣が率先垂範して手本を示すことが肝要。
(3)少額の支出でも事前に担当役員の承認を受ける
その交際費支出の必然性が明らかでなければ、支出は認めないという毅然とした姿勢が大切。また、役員決裁であれば、本当に必然性がなければ安易に申請しないことが予想される。「接待交際費=悪」とは言い切れないが、接待に頼らない営業マインドを醸成させる意味でも、交際費支出認定のハードルを高くしておく効果はある。
(4)飲食や接待への出席人数は最小限に絞る
接待する相手とのバランスをとることは必要だが、相手に敬意を示すために高位の役職者をメンバーに組み入れても、仕事上のつながりが薄ければそれほどの効果は見込めない。員数合わせや体裁をとるだけのために、役員、部長、課長、担当者といった形で接待することは極力避ける。
(5)接待する相手の人数も絞り込む
接待の効果が見込めるキーパーソンを中心に、「○人くらいで」という形で声をかける。自社からの出席人数とのバランスもあるが、できる限り少なめにする。
(6)高級店への出入りを禁止する
接待先の重要度に応じて利用する店の格を決めることは当然だが、いわゆる高級店への出入りは原則として禁止する。具体的には、店名だけで判断するのではなく、一人当りの予算を事前に提出させることで、その判定を行なうことが必要だ。高級なイメージがあってリーズナブルな価格であれば、それに越したことはない。
(7)年度初めに各部署の予算を定めておく
部門ごとに予算化することによって、支出に歯止めがかかるとともに、その交際費支出にどれだけの効果があったかが測定できる。たとえば交際費を使っても営業成績が低迷している課と交際費を使わずに成績を上げている課があるとすれば、後者の評価が高まることは間違いないが、それとともに交際費支出のあり方についての意識も高まるだろう。同時に個人別の実績も部門長から報告させ、不自然な支出がないかチェックすることも必要だ。
(8)売上や利益の減少が見込まれる場合は、交際費予算を前年比マイナスに設定する
自社の業績や物価が下落すると見込まれる時期については、前年の予算や実績をベースとせず、思い切ってマイナス予算とする。さらに一歩踏み込んで、年度初めの接待交際費予算はゼロと設定し、やむを得ない場合にだけ支出するというように、発想の転換を図ることも必要となろう。
(9)交際費については社内小切手を発行する
これにより年間使用額を意識し、計画的に出費するようになる。
(10)予算超過部署にはペナルティを科す
交際費予算を超過した部署については、翌年の予算を削減するなどのペナルティを課し、各人の交際費に対する意識を高める。
(11)得意先などとの打合せは、極力、昼間に行なう
得意先などと飲食する場合には、「パワーランチ」あるいは「パワーブレックファスト」というように、昼食あるいは朝食をともにしながら、打ち合わせや情報交換、交渉などを行なうようにしたい。欧米型のビジネスライクなやり方だが、限られた昼間の時間帯にアルコールなしで行なったほうが、お互いに時間を有効に活用でき、実務的にも有益だ。また、酒類も出さず、特別に豪華な食事を提供するのではない限り、税務上の交際費にはあたらず、会議費として損金処理できる。
(12)接待内容の目安を設定しておく
どのようなレベルの得意先には、どのランクの店を使い、一人当りいくらぐらいの予算をとる、というガイドラインをつくっておく。その上で、事前にランクについて上長の承認を得るようにする。
(13)接待後には報告書の提出を義務づける
交際費支出後には、領収書や請求書だけでなく、接待内容を詳細に記した報告書を提出させる。これによりその効果を測定し、受注活動等に結びつけるようにする。
(14)接待の際には事前に情報収集を行なう
利用する店の情報は事前に集めておく。ネット限定のクーポン券や割引サービスを実施している店もある。
(15)会社と特約を結んだ店で接待する
会社の指定店とすることで、店に一定の割引をしてもらう。
(16)接待する店のランクを少し下げる
あからさまにランクを下げたことが相手にわかると心証を害する恐れがあるので、たとえば有名な料亭から品がよくサービスの行き届いた日本料理店に替えるなど、実質的な満足度を落とさないような配慮が必要になる。
(17)飲食接待を品物の贈答に替える
飲食店で接待すると自社の社員の分も費用がかかるが、これを品物の贈答に替えれば少ない費用で豪華なものを贈ることができる。状況に応じて考えたい。
(18)中元・歳暮リストを見直す
中元・歳暮を全廃することはむずかしいが、顧客ランクの入替えをこまめに行ない、費用の節減と支出効果の最大化に結びつける。なお、顧客ランクの見直しに際しては、取引額・取引頻度・自社との親密度・今後の期待値などを数値化したリストをもとに行ない、社長や経営幹部の印象だけで判断しないこと。中元・歳暮とはいえ、経費支出は客観的なデータに裏付けられるべきだからだ。
(19)中元のみ全廃する
年間の贈答を歳暮に一本化し、経費を半減させる。中元を廃止したときは、相手は「おや?」と思うかもしれないが、歳暮を贈ればその思いは解消されるもの。何年かそのスタイルを続ければ、そういうスタイルの会社であると認識してくれるものだ。それが気になるようであれば、歳暮をやや豪華なものにすればよい。それでも経費は大幅に削減されるはずだ。
(20)思い切って中元・歳暮の廃止宣言をする
「諸般の状況を勘案し、当社では、今後、中元・歳暮は、一切辞退させていただきます」などと宣言し、事前に関係先へ自社のスタンスを理解してもらう。当初は、融通の利かないお堅い会社、あるいはケチな会社という印象を与えるかもしれないが、経営者のポリシーとしてこれを積極的に打ち出し、堅実で真面目な経営を保ち続ければ、逆にムダがなく裏表のない会社というイメージをアピールする効果も現われてくるに違いない。
(21)担当者の異動を機に、贈答を廃止する
得意先の担当者が人事異動などで交替したときなどをきっかけにして、中元・歳暮をやめる。このようなやり方を進めていけば、スムーズに贈答を減らしていくことができる。
(22)慶弔見舞費を一本化する
部署ごとに支出した慶弔見舞費を、代表者名で一本化する。総額は減るが1回当りの金額は大きくなり、会社の体面は保てる。
(23)ゴルフ接待時には割引券を利用する
ゴルフ場は利用者の減少にあえいでおり、名門コースを除いて、割引券を発行しているところも多い。やむを得ずゴルフ接待するときには、この制度を利用する。
(24)ゴルフ関係の支払いは業務とみなさず、すべて自費とする
基本的にゴルフ接待は行なわないスタンスを貫き、どうしても接待が必要な場合は自費で行なうよう徹底する。個人負担ということになれば、自然と減っていくことになるだろう。
(25)同業者団体のゴルフコンペの出席回数を減らす
同業者団体のゴルフコンペは、親睦の意味合いが非常に強い。もちろん、経営者にとって情報交換や付き合いの維持を図ることは大切なことであるが、ゴルフに行かなければそれができないというものでもない。好況時ならともかく、業績不振時には、従業員から「みんな大変なのに、社長はゴルフばかりやって遊んでいる」と後ろ指をさされないよう、少なくとも回数を控えるべきだ。
(26)加入団体を見直す
社業と密接に関係する同業者団体など以外の団体に、会費を支払って加入していることは多い。しかし、それによりあまり実質的なメリットが得られず、単なる親睦の場にすぎなければ退会を検討する。年会費のみならず、親睦会などの会費も交際費となるためバカにならない。
(27)役員の交際費を自己負担にする
役員報酬に若干の上乗せをして、交際費については自己負担してもらう。これにより、役員といえども交際費支出には慎重になる。
(28)得意先への広告を中止する
自社の窮状を訴えて相手の納得を得ることが必要だが、それに類するものを洗い出し、思い切って中止に踏み切るべきだろう。
(29)交際費と会議費のガイドラインを作っておく
交際費となると原則として損金処理ができないが、なるべく会議費で処理できるよう経理部門で交際費に関するガイドラインを作成しておき、それを社員に周知しておく。
(30)その支出が交際費か会議費かを見極める
商談や打合せで出される食事については、1人3,000円程度までなら、交際費ではなく会議費として損金処理できる。ただし、会議資料や議事録をきちんと残しておくことが必要だ。
月刊誌「企業実務」臨時増刊号より
2009年4月末現在の法令等に基づいています。
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