ビジネスわかったランド (総務・庶務)

経費節減のアイデア

水道光熱費を削減する30のアイデア

(1)昼休み中は消灯する
あまり頻繁な消灯・点灯は、蛍光灯の寿命を短くするので注意する。なお、不定期に来客のある事務所などでこれを行なうと印象を悪くすることもあるので注意する。比較的広い工場など、昼休みには一斉に作業が止まるような職場では作業場への来客もないためデメリットが少なく、照明の数も多いため大きな効果が見込めるだろう。

 

(2)蛍光灯を間引きする
ただし、業務に支障をきたしたり、目を悪くしては元も子もないので、一定の照度を保つことは必要だ。一般的なオフィスの照度は300~500ルクスと言われている。行なわれている業務の性質を考慮し、窓際などの比較的明るい場所を選んで間引きすることを考えたい。

 

(3)インバーター式の照明器具に取り替える
インバーター式照明器具は、旧来型に比べ、同じ明るさなら消費電力を2割程度削減できる。器具を交換する際には採用したい。蛍光灯特有のちらつきが気にならず、即時に点灯する。また、点灯管(グローランプ)も不要だ。

 

(4)蛍光灯に反射板を取り付ける
反射板を取り付けることで照度がアップし、蛍光灯の本数を削減できる。

 

(5)白熱電球を電球型蛍光灯に取り替える
電球型蛍光灯は消費電力が格段に少なく、寿命も約六倍に伸びる。口金のサイズが白熱電球と同じなので、照明器具を替える必要はない。約25ワットで白熱電球100ワットの明るさに匹敵するため、電気代は4分の1ですむ。ランプの価格は高いが、ランニングコストは白熱電球より低くなる。

 

(6)朝や夜、全員が出社前あるいは帰宅した部門のエリアは消灯する
そのエリアで最後に退社する人が、必ず消灯するよう習慣づける。また、同時にOA機器の電源がOFFになっているか確認するよう義務づけるようにしたい。

 

(7)照明のスイッチは細かく分ける
フロアの照明のスイッチの範囲が広いと、必要ないところまで点灯することになる。なるべく小さなエリアごとにスイッチを設けることが望ましい。

 

(8)夏場は窓のブラインドを下ろす
ブラインドと窓ガラスの間にできる空気の層が断熱材の役割を果たすため、夏場はブラインドを下ろすことによって室温の上昇を防ぎ、冷房効果が高まる。また、冬場には同様のしくみで室内の暖かい空気を逃さないため、暖房効果も高まる。

 

(9)各照明器具に個別のスイッチを設置する
家庭用の照明器具のように、ひもで点灯・消灯できるようにすれば、狭いエリアでこまめに電気代を節約できる。

 

(10)各フロアの電源管理責任者を決める
OA機器、電源スイッチなどの管理にあたらせる。

 

(11)最終退出者がフロア全体を点検する
最後に帰る人が、施錠する前に、照明だけでなく、コピー機、パソコン、プリンタ、外付けのハードディスクなどの電源が切られているか、すべてチェックするルールを定めておく。ことにパソコンの周辺機器については消し忘れが起こりやすいので、デスク周りか事務室のカギの保管場所に簡単なチェック表を貼っておくとよい。この表によって「つい、うっかり」という見落しが防止できる。

 

(12)暖房・冷房の基準温度を定める
一定の室温以上(以下)にならなければ冷房(暖房)を入れさせない決まりをつくり、これを徹底させる。なお、電力会社が省エネ対策として掲げる設定温度は、冷房の場合28度、暖房の場合は20度なので、これを目安にしたい。ちなみに、冷房時に設定温度を1度上げた場合、暖房時に2度下げた場合には、それぞれ電力消費量は約10%セーブできるという。オフィス環境によって体感温度は若干異なるため、状況に応じてこまめに調節したい。

 

(13)電気機器の主電源を切る
待機電力を節約するため、主電源を切る(コンセントからプラグを抜く)くせをつける。ただし、パソコンやファクシミリなど、むやみに電源を切れないものについては、明確に区別できるようにしておく。たとえば、抜いてはいけないプラグには赤いビニールテープで目印をつけるなど、一目でわかる工夫が必要だ。

 

(14)廊下の照明は室内より暗くする
廊下の明るさは、事務スペースや作業場などの半分程度で十分。ホテルや比較的グレードの高いオフィスビルの廊下は、間接照明が使われていることが多く、明るさを抑えている。そのほうが雰囲気が落ち着き、上品に感じられるからだ。ここでの目的はあくまで経費節減だから、高価な照明器具を使うわけにはいかないが、単に「暗い廊下」ではなく「雰囲気のある廊下」にできれば一石二鳥だ。節約にも遊び心をもって取り組みたい。

 

(15)天井の照明を減らし、机上の照明を活用する
机上の照明を利用すれば、天井の照明の四分の一程度のワット数で同等の照度が得られる。天井照明は全廃できないが、作業環境に応じて検討したい。

 

(16)照明器具・エアコンを掃除する
照明器具は、汚れやほこりなどで効率が大きく低下する。家庭の場合でも、キッチンなどの汚れやすい場所で照明器具を掃除しないでいると、1年間で30%ほど暗くなってしまうという。オフィスの場合は、家庭に比べ人や物の出入りが激しいため、1~2か月に1回は照明の掃除しておきたい。また、エアコンについてもフィルターの汚れによって冷暖房効果が著しく低下する。ほこりやタバコのヤニがその原因だ。少なくとも年2回は外側のパネルをはずして掃除するよう心がけよう。

 

(17)冷凍・冷蔵設備のメンテナンスは頻繁に行なう
店舗などの冷蔵・冷凍ケースや冷蔵設備の消費電力は大きいが、温度設定、霜とり、商品の配置などをこまめにチェックし、冷蔵効率をベストの状態に保つこと。これを怠って冷蔵効率が低下すると、最悪の場合は商品が傷み、売り物にならなくなって大きな損害をもたらすことになりかねない。単に経費節減というだけでなく、このようなリスクを避ける意味でも重要だ。

 

(18)空調設備にガスを採用する
ガスによる冷暖房には、水の気化熱を利用して冷暖房を行なう吸収式冷暖房方式と、ガスエンジンでコンプレッサーを動かして冷媒を循環させて冷暖房を行なうガスヒートポンプ方式がある。前者は、ホテル・病院といったビル空調や地域冷暖房などの大規模施設に利用され、後者はオフィスや店舗などの小・中規模施設で利用されるものだ。ガス冷暖房は、夏場の電力需要を抑える効果があり、ガス料金も冷暖房用の分については割安に設定されている。ランニングコストは電気冷暖房より低く抑えられるため、時期をみて導入を検討したい。

 

(19)建物の断熱化を進める
事務所や店舗の新築・増改築の際には、断熱化を検討する。当初は割高であっても、冷暖房費のランニングコストが下がるため、長期的にみれば節約につながる。

 

(20)階段を利用する
エレベーターの節電効果に加え、運動不足の解消にもなり一石二鳥だ。これを定着させるためには、たとえば1階の入口に「従業員は三階まではエレベーター使用禁止」などと貼り紙をしておくと効果があるだろう。また、管理職が率先して階段を利用すれば、その効果は2倍増、3倍増となるはずだ。

 

(21)残業を減らす
こまめに水道光熱費を節約しても、残業が多ければ焼け石に水。根本的な経費節減策はここから始まる。

 

(22)オフィスを全面禁煙にする
タバコの煙は照明器具を汚し、照度を落とたり、エアコンフィルターに付着して稼働効率を下げる。また、壁やガラスを汚す原因にもなる。このため、オフィス内は全面禁煙にするのが望ましい。健康増進法の施行もあり、喫煙する社員の抵抗は以前より少ないだろう。全面禁煙が無理であれば、喫煙コーナーを設ける、空気清浄機のそばでのみ喫煙を認める、禁煙時間を設ける、などの方法が考えられる。

 

(23)節水コマを取り付ける
水道の蛇口に節水コマを取り付けると、水量が半分程度になる。ほとんどの水道局で無料配布している。

 

(24)センサー式自動水栓を設置する
手をかざしたときだけ水が流れ、手を離せば自動的に水が止まるもの。最近は公共施設などでもだいぶ普及してきた。設置にあたって大がかりな工事は不要だ。

 

(25)節水型の洗浄装置を導入する
トイレのロータンク内のバルブを、節水型に切り替えれば、洗浄水を15%から最大40%程度まで削減できる。初期の水圧は変わらないので、洗浄効果が落ちることはない。バルブは1個数千円で、素人でも簡単に交換でき、工事を依頼する必要はない。なお、ロータンクの中に水を入れたペットボトルなどを沈めて貯水量を少なくする節約テクニックもあるが、故障の原因になるのでこれは避けたほうがよい。

 

(26)女性用トイレに擬音装置を取り付ける
女性の場合、トイレ使用時に空流しをすることがある。日本独特の現象らしいが、一説によると、1回のトイレの使用につき平均2.5回も水を流すそうだ。1回につき、約20リットルの水がムダになっている計算だ。これでは節水も何もあったものではない。そこで、水の流れる音を出す「トイレ用擬音装置」を設置すればこれを防止することができる。価格は1台1万円から2万円程度だが、これで空流しをやめてもらえば安いものかもしれない。

 

(27)地下水と回収水を利用する
工場や洗車、散水などには水道水を使わず、地下水や回収水を利用する。

 

(28)トイレの水は工業用水を使う
トイレに流す水は工業用水を利用し、水道料金を節約する。

 

(29)漏水している箇所がないか点検する
定期的に点検することで、節水に加え機器の不具合もチェックできる。

 

(30)工場の浴場を廃止する
かつては終業後に入浴させる工場が多かったが、FA化が進んだ現在、その必要性は薄れている。これを廃止すれば、水道光熱費だけでなく人件費の削減にもつながる。完全廃止できない場合には、シャワーだけ残す方法も考えられる。

 

月刊誌「企業実務」臨時増刊号より
2009年4月末現在の法令等に基づいています。