ビジネスわかったランド (総務・庶務)

経費節減のアイデア

その他の費用(銀行関連費用等)を削減する30のアイデア

(1)支払金利の圧縮を図る
現状では借入金利の引下げはほぼ不可能だが、支払金利そのものの圧縮は可能だ。たとえば、預金と借入金の相殺による総債務残高の圧縮、公的融資の利用への乗換えが考えられる。

 

(2)借入金の削減をする
資金状況を慎重に見極める必要はあるが、極力、資金を寝かせることなく借入金の返済に充てて、支払金利の圧縮を図る。資金需給状況や設備投資計画により一概には言えないが、無借金経営を目指すことがベストだ。

 

(3)低金利時には固定利率借入れの比率を高める
融資条件にもよるが、昨今のような低金利時代には金利上昇リスクを回避するため、固定金利借入の割合を高めたほうが安全だ。また大口の借入であれば、変動金利を固定金利に変換する金利スワップを活用した金融商品の利用も考えられる。いずれにせよ、リスクヘッジを常に考えながら資金調達にあたらなければならない時代といえる。

 

(4)借入条件の変更をする
大口の資金について、たとえば、これまでプライムレート基準で借り入れていたものを、スプレッド融資に切り替える。スプレッド融資とは、銀行が市場から調達した金利コストに一定の利ざや(スプレッド)を乗せて貸し出す形態を指す。プライムレートより市場金利を反映するスピードが速い。金利(TIBORなど)動向次第だが、支払利息の軽減につながる可能性が高い。

 

(5)複数の銀行と取引する
中小企業であっても、取引銀行がメインバンク一行というのは現在ではリスクが大きい。むしろ、複数の銀行と付き合い、貸出金利の競争をさせるように仕向けたい。企業にとって厳しい状況が続いているとはいえ、都市銀行を含む金融機関にとっても中小企業融資が生命線になっていることを考えれば、むしろ強気な態度で臨むべきだろう。

 

(6)日本生活金融公庫の生活衛生融資の利用を検討する
民間の金融機関との交渉がうまくいかないときは、政府系金融機関である日本政策金融公庫の利用を考えてみる。中小企業金融公庫は融資限度額が比較的大きいのが特徴だ。詳しい融資内容については、ホームページを参照していただきたい。
日本政策金融公庫 http://www.jfc.go.jp/

 

(7)生活衛生融資の利用を検討する
飲食店、喫茶店、食肉販売業、理美容業、興行場(映画館、劇場など)、旅館、浴場、クリーニング業などの業種の場合には、生活衛生融資が利用できる。これらの業種を営んでいる場合には、借入れの際に選択肢の一つとして検討したい。



(8)小規模事業者は「マル経融資」の利用を検討する
小規模事業者(従業員20人以下、商業・サービス業では5人以下)の場合は、商工会・商工会議所の推薦によって、無担保・無保証人の「マル経融資」を受けることができる。ただし、この融資を受けるためには、商工会・商工会議所の経営指導を受けることが条件となる。

 

(9)振込件数の圧縮を図る
個別支払いから一括支払いに切り替えるなどによって、振込みの件数を減らし、手数料の削減を行なう。

 

(10)振込みの窓口は自社の取引銀行にこだわらない
近隣に振込指定銀行の支店がある場合は、より手数料の安い同一銀行間の振込みを利用する。

 

(11)自社の銀行口座を取引先に合わせ複数設ける
取引先によって振込手続きをする銀行を選択し、最小の手数料で送金できるよう管理する。

 

(12)なるべくATMから振込みを行なう
窓口で振込依頼するよりもATMで振り込むほうが手数料は安い。件数にもよるが、可能な限りATMを利用したい。

 

(13)振込手数料の交渉を行なう
取引銀行からの振込送金が多い場合には、手数料の引下げ依頼をしてみる。銀行との付き合いの濃淡にもよるが、「ダメでもともと」と考え、交渉してみるとよい。

 

(14)支払先にも振込手数料の負担をしてもらう
会社間の力関係にもよるが、取引先にも手数料を負担してもらうことも考えたい。一方的に負担してもらうことに抵抗があれば、両者折半で負担する交渉をしてみる。

 

(15)売掛金回収は銀行振込にしてもらう
営業担当者が回収に訪問することをやめ、振込送金してもらうように切り替える。当方で振込手数料を負担したとしても、訪問する場合に比べ大幅な経費減となる。

 

(16)手形・小切手の取立手法を見直す
取立件数を圧縮するため、支払先の了承を得て「回し手形」による決済を行なう。回し手形は、支払いについて振出人と裏書人(自社)の連帯責任となるため、支払先の協力も得やすいはずだ。

 

(17)手形支払の廃止
たとえば、これまで仕入代金については月末締めの九〇日手形としていたところを、月末締めで三か月後現金払いに変更する。これにより、実質的な条件をほとんど変えず、手形に貼付する印紙代を節約することができる。

 

(18)手形からファクタリングに変更する
ファクタリングとは、これまでの手形に代わる決済手段で、間にファクタリング会社が入り、債権譲渡のスキームを活用することで、手形発行、取立等の事務処理の合理化、印紙税の節約が可能となる。取引先との契約が必要になるが、取引頻度に応じて検討したい。

 

(19)ファームバンキングを活用する
ファームバンキングとは、一括大量振込や預金口座の取引照会、口座振替の処理明細照会などが会社のパソコンでできるシステムのこと。ここ数年、各行とも力を入れている企業向けサービスだ。振込手数料などは割引になっている。金融機関によってサービス内容や月間利用料は異なるが、取引件数の多い企業にとっては利用価値がある。

 

(20)ファームバンキングの再検討を行なう
銀行の要請によって、お付き合いでファームバンキングシステムを導入している中小企業は多いが、使用頻度が低い場合にはコスト割れするケースもある。銀行まで出向くことなく預金残高の管理や資金移動ができるため、便利なサービスには違いないが、費用対効果の面から導入・継続の可否を検討し、契約の解除も視野に入れる。

 

(21)銀行からの一方的な費用請求は拒絶する
銀行は債権分類の見直しを行なっており、そのために担保物件の再評価作業をしている。ところが、その不動産鑑定・評価の費用を担保提供者である企業に請求するケースも増えている。本来、これらの費用は銀行が負担すべきものであり、企業が負担する性格のものではない。このような費用の請求には安易に応じることなく、毅然と拒絶すべきである。

 

(22)手形の印紙代を節約する
手形貸付は短期貸出の手法としてよく用いられるが、切り替えのつど印紙代が必要となる。最近は貸出管理の面からも手形サイトが短縮される傾向にあり、印紙代負担はバカにならない。そこで、一括返済が無理な場合は、なるべく長期の証書貸付等に切り替えて融資取引の安全度を高めるとともに印紙代も節約したい。

 

(23)領収書の印紙代を節約する
領収金額によって印紙税額は異なるが、領収書を2枚に分割すると節約できることがある。たとえば、領収金額が550万円の場合、本来なら印紙代は2,000円(500万円超1,000万円以下)だが、500万円と50万円の2枚に分ければ、合わせても1,200円(領収金額500万円までなら1,000円、同100万円以下は200円)で済む。

 

(24)相互に取引のある相手とは相殺を行なう
お互いに債権・債務を持っている取引先とは、支払期限の一致している分については相殺し、売掛金・買掛金の残高を減少させる。印紙税額の節減につながるだけでなく、お互いのリスクを軽減する効果ももたらす。

 

(25)二通作成する必要のない契約書は一通だけつくる
契約当事者双方に保持を義務づけていない契約書の場合は、一通だけ作成し、一方の当事者はそのコピーを持つようにする。契約書のコピーには印紙税がかからないため、印紙代は半分で済む。

 

(26)間違って納めてしまった印紙税は還付を受ける
貼る必要のない文書に収入印紙を貼ってしまったり、規定より多額の印紙を貼ってしまった場合には、その文書と「印紙税過誤納確認申請書」を所轄の税務署に提出すれば、納めすぎた分について還付が受けられる。

 

(27)自社にかけている保険の補償範囲を見直す
補償範囲の見直しは、具体的には、自社の事業内容からカバーされていないリスクはないか、同じリスクに対して重複して保険をかけていないか、発生率がきわめて低いリスクに保険がかけられていないかを、火災保険、利益保険、賠償責任保険のそれぞれについて洗い出し、無駄がないかチェックする。年月が経つにつれて、保険の対象となっているものも変化している。一回きりでなく継続的に、毎年一定の時期を決めて検討し直すことが必要であろう。

 

(28)リスクごとに保険会社や商品を選択する
保険業界も外資系や異業種からの参入で、大きく様変わりしている。これにより、保険商品の種類も多様化し、保険会社によって得意分野や力を入れる分野が異なってきた。選択の幅が広がった反面、どんな保険会社や商品を利用するかによって、保険料や補償内容に大きな差がついてくるため、中立的な立場の専門家(コンサルタントやファイナンシャルプランナーなど)の力を借りて、定期的に見直すことが必要だ。

 

(29)保険の包括契約を利用する
これまでバラバラに契約していた火災保険、盗難保険、賠償責任保険などを一つの契約にまとめ、割引保険料の適用を受ける。自社のニーズに合致すれば、事務管理の負担も軽減され、利用価値は大きい。

 

(30)関連会社で加入する保険制度を統一する
グループ会社すべての保険料を一括して支払うことで、事務手数料分を割り引いてもらうなど、スケールメリットを活かす。


月刊誌「企業実務」臨時増刊号より
2009年4月末現在の法令等に基づいています。