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登記・登録事項

不動産登記簿からどんなことが読み取れるか
 不動産登記簿には、不動産の所在地や大きさなどの物理的現況と、担保設定状況などの権利関係が記載されている。そして、これを公示することによって、不動産取引をする人の権利が保全できるのである。
不動産登記簿から読み取れるものをみていこう。

不動産登記簿は大きく2つに分かれる
不動産登記簿は、一定の基準でいつくかに分類できるが、最も基本的な分類は次の2つ。
1.表示に関する登記=不動産に関する物理的状況を公示する登記で、登記簿の表題部に記載される。
2.権利に関する登記=不動産に関する所有権、抵当権等の権利関係を公示する登記で、登記簿の甲区、乙区に記載される。

登記簿の表題部に表示されるものは
表題部に記載されるものは、具体的には次のような事項である。
1.建物の場合
・所在=建物が建っている場所(例=中央区中央一丁目1番地)
・家屋番号=建物自体の番号
・種類=その建物の使用目的とするもの(例=居宅)
・構造=建物の構造(例=木造スレート葺2階建)
・床面積=建物の広さ(例=1階 40.30㎡、2階 30.40㎡)
2.土地の場合
・所在=その土地のある場所(例=新宿区新宿一丁目)
・地番=その土地自体の番号(例=7番5)
・地目=その土地の使用目的(例=宅地)
・地積=その土地の広さ(例=75.20㎡)

建物が新築されたら所有権保存登記を
建物が新築された場合は、まず表題登記を行ない、次に所有権の保存登記を行なう。これによって、その建物の所有権を確保できるわけである。

所有権移転登記で不動産売買の動きが見える
不動産が売買されると、所有権の移転登記が行なわれる。これによって、その不動産が、いつ、誰から誰に、売買されたかが明らかとなり、現時点での所有者もわかる。
これに関連して、甲区では、次の点に注意する。
1.仮差押えされていないか……されていれば債務不履行があるものと考えられ注意。
2.差押えされていないか……されているような場合は取引は避けるべき。
3.所有権移転の仮登記がされていないか……所有者が変わる危険性があり、抹消してから取引すべき。

不動産に設定された担保もわかる
債権担保のために、不動産に抵当権や根抵当権が設定されたときは、通常、抵当権ないし根抵当権設定登記がなされるので、その不動産の権利関係も、不動産登記簿を見ればわかる。
抵当権設定登記には、債権額、利息、損害金、債務者、抵当権者等が記載され、根抵当権設定登記には、極度額、債権の範囲、債務者、根抵当権者等が記載されている。
これらは、乙区でチェックすることになるが、先順位の担保権が抹消されず、複数の債権者による担保設定が多数あるようなケースは注意を要する。
また、債務がすべて弁済された場合には、抵当権ないし根抵当権の抹消登記がなされることになる。

不動産の賃貸借関係もわかる
不動産を賃貸借した場合には、賃借権設定登記が行なわれることがある。借賃、支払期、存続期間、権利者、義務者等が記載されるので、その不動産を、誰が誰から、いくらで、いつからいつまでの契約で賃借しているのかがわかる。
この関連でいえば、債務の返済が滞ったときの債権回収の一方法として、賃借権設定の仮登記がなされるケースがあるが、これは、賃借権設定登記と多少性質が異なる。

著者
古山 隆(司法書士)
2010年1月末現在の法令等に基づいています。