ビジネスわかったランド (総務・庶務)

登記・登録事項

経営上、登記が必要な事項は。放置の不利は
 一般的に経営に関する登記といえば、商業登記と不動産登記であるが、登記により次のように公示力が生じる一方、必要な登記をしなかった場合は過料の対象となる。

<<商業登記とはどんなものか>>

商業登記は、会社等の商人についての一定の重要事項を記載した登記で、これによって、会社等の商人と取引する相手方は、その商人の概要を知ることができ、商人自身も自己の信頼性を保持できる。

商業登記の効力は大きく3つ
商業登記には、大きく下記の3つの効力がある。
1.公示力
登記をすると、悪意の第三者および善意の第三者に対して、登記した事項を主張できる効力。これが商業登記の中心的効力である。
2.公信力
故意や過失で不実の登記をした者は、その登記が不実だということを善意の第三者に主張できないという効力。
3.形成力
登記することによって、実体関係が成立する効力。株式会社の設立登記や新設合併の登記などがある。

商業登記が必要なとき
商業登記は、登記すべき事項が新たに発生した場合、あるいはすでに登記してある事項に変更が生じた場合に行なわなければならない。具体的には、主に次のような場合に登記を行なうことになる。
1.会社を設立したとき
2.役員を変更したとき
3.定款(商号・目的)を変更したとき
4.本店・支店を移転したとき
5.募集株式を発行したとき
このうち役員変更登記を例示すると次のようになる。


登記をしないと罰則がある
会社については、登記すべき事項が発生したのに、本店所在地で2週間以内、支店所在地で3週間以内に登記をしないと、100万円以下の過料に処せられるので注意したい。どれが登記事項か否かをしっかり把握しておくことが必要である。
また、平成18年5月の新会社法の実施により、定款に株式譲渡制限の定めがある株式会社は、定款で定めれば取締役、監査役の任期を10年まで伸長することが可能になった。各社の事情に応じて任期を見直せばよい。

<<不動産登記とはどんなものか>>

不動産登記は、不動産の物理的現況と、権利関係を記載した登記である。つまり、不動産登記簿には、不動産の所有者や担保設定状況等が記載され、これを公示することによって、不動産取引をする人の権利が保全できるのである。
不動産登記は、一定の基準でいくつかに分類できるが、最も基本的な分類は次の2つ。
1.表示に関する登記
不動産に関する物理的状況を公示する登記で、登記簿の表題部に記載される。
2.権利に関する登記
不動産に関する所有権、抵当権等の権利関係を公示する登記で、登記簿の甲区、乙区に記載される。

不動産登記のもつ効力は
不動産登記には、次のような効力がある。
1.対抗力
登記をすると、第三者に対して、登記した事項を主張できる効力。これが不動産登記の中心的効力である。
2.権利推定力
登記された事項は、そのとおりの権利が存在するものと推定される効力。
3.形式確定力
登記が存在する以上、それが無効のものでもその登記を無視して以後の登記ができないという効力。

不動産登記はどんな場合に必要か
民法では、「不動産に関する物権の得喪および変更は登記法の定めに従って登記しなければ第三者に対抗できない」と規定している。この規定を受けて不動産登記法は、「不動産に関する権利の設定、保存、移転、変更、処分の制限もしくは消滅」について登記すると規定している。
これを簡単に説明すると、次のような場合に不動産登記が必要になるということである。
1.設定=住宅ローンを借り抵当権を設定したり、土地や建物を借りて賃借権を設定する場合など
2.保存=建物を建てて所有権を保存する場合など
3.移転=土地、建物を買って所有権を移転する場合など
4.変更=根抵当権の極度額や債務者を変更する場合など
参考までに建物を新築した場合の登記申請の例を次に掲げておこう。


著者
古山 隆(司法書士)
2010年2月末現在の法令等に基づいています。