ビジネスわかったランド (総務・庶務)

登記・登録事項

商業登記簿からどんなことが読み取れるか
 商業登記簿には、会社等の商人についての一定の重要事項が記載されており、これによって、会社等の商人と取引する相手方は、その会社の概要を知ることができる。
商業登記簿には、会社の名称(商号)、所在地、設立日、代表者、役員、目的、資本金など、会社の内容がある程度わかる次のような事項が記載されている。
1.商号区
a.商号……現在の商号、過去の商号と変更年月日
b.本店……現在の本店、過去の本店と移転年月日
c.その他……会社が公告をする方法、会社成立年月日など
2.目的区=事業目的
3.株式・資本区……発行可能株式総数、発行済株式の総数ならびに種類および数、資本金の額など
4.役員区=取締役、代表取締役、および監査役など
5.支店区=支店の設置、廃止など(ただし、支店登記がされていない場合も多い)
6.会社状態区=存立期間の定め、解散、会社整理、破産など

会社の定款がわかる
定款とは、会社の目的や組織などを定めた根本規則であり、商業登記簿にはこれの一部が記載されている。つまり、その会社は何をする会社なのかが明記されているわけである。
会社名についても、世間で通用している社名と、商号として登記してある社名が異なる場合も少なくないが、登記簿を見ればそれもわかる。また、商号の変更がある場合は、CI等による前向きのものならよいが、不渡り歴を隠すための変更などもあり得る。
もちろん、これらの定款に変更があれば変更登記がなされるので、それも確認することができる。
したがって、取引開始するに当たって、定款に記載された目的以外の取引分野の場合は疑ってみる程度のチェックは可能となる。もっとも、取込詐欺の場合などは、本当は営業していない目的を掲げているケースが多いとされ、それらについても疑ってみる必要はあろう。

本店の所在地がわかる
その会社の本店(本社)がどこにあるのかも、もちろん商業登記簿を見ればわかる。本店が移転した場合も、いつそこに移ってきたのかを、本店移転の登記で知ることができる。
これについても、好ましくない過去の社歴を隠すためであったり、旧本店の不動産の売却に伴い、仕方なしの移転かもしれない。とくに不渡りを出して、管轄の異なる手形交換所の地域に移転するケースも考えることができる。

新株発行の動きがわかる
その会社が、株を、いつ、どれくらい増資したかも、商業登記簿から知ることができる。
したがって、会社案内やパンフレットに記載されている資本金と比較することにより、その姿勢をチェックすることも可能である。

会社の役員の動きがわかる
取締役、代表取締役、監査役が退任および就任したときは、本店所在地で2週間以内、支店所在地で3週間以内に変更登記をすることになっている。
だから、商業登記簿を見れば、いまその会社の役員が誰なのかが、すぐにわかるのである。
したがって、契約書を交わす場合などには、その権限がある相手かどうかもチェックできる。

著者
古山 隆(司法書士)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。