ビジネスわかったランド (総務・庶務)
危機管理事項
警備会社を利用する場合の留意点は
警備会社は全国に数千社あるといわれており、「警備業法」により規制されているが、その業態、内容、信頼度等についてはそれぞれ委託する企業が判断、決定しなければならない。
警備会社を上手に利用するためには、警備委託の目的と内容を明確にしておく、信頼できる会社を選ぶ、地元の警備会社が望ましい、契約をキッチリとする、などのポイントを押さえておきたい。
最近は、外国人を交えた荒っぽい犯罪が増えており、空き巣やカッパライだけでなく、最初から銃や刃物を持って押し入ったり、中には建設用の重機で建物を破壊したり、金庫そのものを奪取するケースが増えている。これに対応するためには、民間警備会社の守備範囲を超えてはいるが、警察の手薄を補完するにはやはり警備会社の利用に頼らざるを得ないのが実情である。
それだけに、警備・保安業務を外部委託する場合には、委託すべき業務内容を検討する、外部委託のメリットとデメリットを把握しておく、委託すべき会社の特徴をよく調査・研究する、費用の見積りを取り確認する、損害補償能力を調査する、といったことが大切である。
<< 警備の種類 >>
まず、警備会社に委託できる業務内容をみると、次のとおりである。
駐在警備
警察の駐在所と同様に、委託を受けた施設内に常駐する方法で、銀行、スーパー、病院、デパート、貸しビル、工事現場、工場等で多く利用されている。
巡回警備
会社や商店、倉庫等で、終業後の無人時間帯に、2~5回、パトロールして監視する方法である。常駐ではないので、料金はそれなりに安いが、機械警備との併用により安全性を高めることができよう。
機械警備
駐在にしろ巡回にしろ、人的警備には時間的、空間的に盲点ができる。これをカバーするために、光線、電波、磁気、あるいは監視カメラの設置等による異常感知器を電話回線に接続、オンラインによる警報システム(アラーム・システム)が広範に採用されている。
電話回線によつて、警備、監視、管理しようとする建物、部屋、装置等に設置された感知器と、警備保障会社のコントロール・センターを直結し、集中的に監視・管理するとともに、異常が発生すると、センターにアラーム表示が出て、直ちに待機、巡回中の要員に無線で指示され、現場に急行して応急措置を講じ、直ちに警察、消防に通報させるようになっている。
ただし、昨今の犯罪はきわめて荒っぽく、かつスピードアップされており、機械警備でアラームが発信され、警備員や警察官が駆けつけても、犯人はすでに逃走しているケースが多い。したがって、社内金庫等には多額の現金や貴金属等は保管しないように心掛けることも必要である。
特殊警備
多くの人出が予想されるイベントや、見本市会場の警備、交通整理、工事現場、デパートやスーパーでのスリ・万引対策、過激派対策としての拠点警備、ハイジャック防止のための監視や手荷物チェック等々、臨時的、スポット的な業務、あるいは現金輸送やボディガード等のきわめて特殊な警備である。
広大な敷地や、倉庫等の警備には到底人力ではカバーしきれないところがあるので、この場合には、よく訓練された警備用の犬を使うことがある。これも特殊警備の1つである。
<< 警備会社の上手な利用のポイント >>
警備委託の目的と内容を明確にしておく
まず契約の時点で、なぜ警備会社に委託するのか、その内容、範囲はどこまでかを明確にしておくことが肝要である。こうすることで警備の漏れ(盲点、死角)を防ぎ、適正な料金設定、事故発生の場合の責任の所在が明確になるわけである。
信頼できる会社を選ぶ
警備業界も最大手会社はスタート以来すでに半世紀を越え、当初の人的警備・保安業務から機械警備に変身し、さらに総合情報システム業に変身している。一方、各地には中小警備会社も多数存在し、依然人的警備・保安業務に専念している。したがって、大手の機械警備を手掛けている会社ならまず問題ないが、比較的安直かつ小資本でもできるだけに、なかには無責任な警備会社もある。さらに人材派遣業法との絡みもあり、法的に整備された会社であるか否かのチェックも必要である。
それだけに外部委託する場合、名の通った大手なら安心できるし、小規模でも何か特徴をもった会社、たとえば従業員の流動性が低い(あまり人が代わらない)、教育が行き届いている(マナーがよい)、よく訓練ができている(緊急対応)といった会社を選定すべきである。単に安いというだけで、「泥棒に門番させる」ことのないよう留意したいものである。
現に、その警備会社を利用している他企業の担当者の意見を聞くとか、防犯協会等に相談してみるのも一法である。
地元の警備会社が望ましい
大手の会社は別として、小規模の会社になると、本社から離れた支社や出張所には人材が乏しく、いざという時の処置も不十分になりやすい。
逆に地元に本社のある警備会社は、その地域の事情に明るいので、効率のよい防火、防犯態勢がとれるものである。
契約をキッチリとする
全般的な警備計画、警備対象、警備の内容、人員配置および派遣要員に事故があるときの代替策、契約期間、料金、事故発生時の保証、さらに損害補償といった点については、最初に明確な契約をしておくことが肝要である。
とくに大切なことは、どういう警備を、何人で、どのようにしてくれて、どこまで保障してくれるのか、である。この内容によって料金は高くも安くもなるわけで、この点を十分に実地踏査のうえ、見積りを出させるようにする。
もちろんこの場合に、数社から相見積りを出させ、比較検討すべきである。
導入後の利用上の注意点
導入に当たっては、社内外、とくに従業員に対する周知徹底がきわめて重要である。つまり、従業員の企業防衛意識が欠如せぬよう、普段から派遣された要員との人間関係、規律遵守の社風確立、あるいは機械警備の場合のアラーム・セット手順、連絡方法、アラーム解除手順等の教育徹底が必須要件である。
警備会社の緊急出動の大半は従業員によるアラーム・セット・ミスや失念によるもので、無駄な費用の支出になっている。
さらに、機械警備の最大の弱点は故障であるが、警備会社による定期点検のほか、時には抜打ち訓練や臨時テストを実施することも検討しておくべきであろう。
<< 警備・保安業務を外部委託するときの注意点 >>
委託すべき業務内容を検討する
企業の最高機密に属する箇所や、きわめて危険な部署、高度な熟練を要する監視作業等は、やはり自社で担当すべきであろう。そこでまず、外部委託すべき業務の種類、内容を洗い出し、現に担当している部署および担当者の意見、希望を聴取して範囲を絞り込んでいく。
なお、受付や守衛を外注化する向きもあるが、これは企業の顔でもあるので、できれば自社員としたいところであり、やむを得ない場合でも、派遣された人に対する教育を徹底する必要がある。
また、外部委託のメリットを改めて考え直すとともに、デメリットも見極めておく必要がある。
<< 外部委託のメリット >>
専門的である
一流専門業者の要員は、下記のような受託業務に対する専門化を徹底的に追求しているため、安心して任せられる点が最大のメリットであろう。
1.警備・保安の専門知識や技術、資格をもった者を徹底的に教育・訓練し育成する。
2.また無人警備、自動消火設備等、機械化による警備の効率化、広域化、低コスト化を図る。
3.さらには必要に応じて訓練された犬を使って人間や機械の盲点をカバーさせる。
経済的に有利である
企業として、費用をできるだけ変動費にしておくことが望まれるが、人件費についてはなかなかそうもいかない。
しかし、警備・保安要員を外注化することで、その分の人件費を変動費にし得る。これは経営上、大きなメリットである。さらに、臨時的な増員等にも流動的に対処し得るというメリットもある。
ただし、たえず現状の実態把握をすることが肝要で、任せっ放しにしておくと大きな固定費になりかねないということも念頭に置いておく必要がある。
労務管理上も円滑である
業務の性格上、当然ながら時間外勤務、深夜勤務、交代勤務、断続勤務、危険勤務等が付いて回るため、労働基準法上の問題が発生し、手続き的にも種々面倒が生じやすい。
しかし、これが外注の場合はその対象外となる。警備・保安要員の採用となれば、過去の経歴や所有資格等、適格者の募集、選抜が困難であるが、これも免れ得る。
その他のメリット
臨時警備の必要があるとき(株主総会、大衆抗議行動、ロック・アウト、臨時イベント等)や、現実に問題が発生したとき(災害被災、火災後の警備等)、あるいは派遣要員の欠勤補充、派遣要員による損害発生の場合の補償等、流動的、機能的に対処し得る点も外部委託の大きなメリットである。
<< 外部委託のデメリット >>
これらのメリットの裏返しが、すべてデメリットとなる。
本当に専門的であるかどうか
教育訓練が徹底しているはずであるが、意外に労働移動の激しい業界でもある。したがって、需要増加に対応するには速成教育もやむなし、としているおそれもある。
本当に経済的に有利かどうか
当然ながら、受託会社もコスト(派遣要員の費用ほか)+管理費用+利潤で成り立っているのだから、短期的にみれば、自社で雇用する場合の倍以上の単価になっているはずである。これが高いか、安いかはそれぞれ企業の必要度、適正度に応じて変わってくる。
労務管理上、円滑かどうか
自社の従業員ではないので、人事管理権は及ばない。したがって、契約時に相当詳細に勤務内容、警備ポイント、服務心得を打ち合わせておく必要がある。それでも時には問題が発生する。これが外部委託の最大のウイーク・ポイントであろう。
さらに、派遣要員と自社従業員との人間関係や、頻繁な労働移動によって不十分な引継ぎから発生するトラブルも、大きなデメリットである。
<< 実際に委託する前にチェックすべき事項 >>
委託すべき会社の特徴をよく調査・研究する
業者の要員の教育・訓練はどうか、技術、設備の特徴は何か、得意な分野は何か、何ができ、何ができないかといった点を十分調査するとともに、すでに導入している企業を紹介してもらい、訪問して確認することも必要であろう。
費用の見積りをとり、確認する
保証金とか、警備機器設置費用等の初期費用およびランニング・コスト(機器使用料、回線使用料、人的巡回料等)あるいは臨時出動費等の特別費等々、相当詳細な内容説明とともに細かい見積書を求め、検討すべきである。
その際、警備すべき箇所、範囲、方法、頻度についても、十分に打合わせ検討し、漏れのない(死角のない)セットを組むよう配慮する。
損害補償能力を調査する
一応、損害保険による補償態勢は取っているが、免責条項に該当する事故や、付保外事故発生の場合の損害補てん能力の有無等、預け保証金のこともあるので、業者の経営状態は調査しておくべきである。
著者
樫木 正明(元ローランド株式会社顧問)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。
警備会社を上手に利用するためには、警備委託の目的と内容を明確にしておく、信頼できる会社を選ぶ、地元の警備会社が望ましい、契約をキッチリとする、などのポイントを押さえておきたい。
最近は、外国人を交えた荒っぽい犯罪が増えており、空き巣やカッパライだけでなく、最初から銃や刃物を持って押し入ったり、中には建設用の重機で建物を破壊したり、金庫そのものを奪取するケースが増えている。これに対応するためには、民間警備会社の守備範囲を超えてはいるが、警察の手薄を補完するにはやはり警備会社の利用に頼らざるを得ないのが実情である。
それだけに、警備・保安業務を外部委託する場合には、委託すべき業務内容を検討する、外部委託のメリットとデメリットを把握しておく、委託すべき会社の特徴をよく調査・研究する、費用の見積りを取り確認する、損害補償能力を調査する、といったことが大切である。
<< 警備の種類 >>
まず、警備会社に委託できる業務内容をみると、次のとおりである。
駐在警備
警察の駐在所と同様に、委託を受けた施設内に常駐する方法で、銀行、スーパー、病院、デパート、貸しビル、工事現場、工場等で多く利用されている。
巡回警備
会社や商店、倉庫等で、終業後の無人時間帯に、2~5回、パトロールして監視する方法である。常駐ではないので、料金はそれなりに安いが、機械警備との併用により安全性を高めることができよう。
機械警備
駐在にしろ巡回にしろ、人的警備には時間的、空間的に盲点ができる。これをカバーするために、光線、電波、磁気、あるいは監視カメラの設置等による異常感知器を電話回線に接続、オンラインによる警報システム(アラーム・システム)が広範に採用されている。
電話回線によつて、警備、監視、管理しようとする建物、部屋、装置等に設置された感知器と、警備保障会社のコントロール・センターを直結し、集中的に監視・管理するとともに、異常が発生すると、センターにアラーム表示が出て、直ちに待機、巡回中の要員に無線で指示され、現場に急行して応急措置を講じ、直ちに警察、消防に通報させるようになっている。
ただし、昨今の犯罪はきわめて荒っぽく、かつスピードアップされており、機械警備でアラームが発信され、警備員や警察官が駆けつけても、犯人はすでに逃走しているケースが多い。したがって、社内金庫等には多額の現金や貴金属等は保管しないように心掛けることも必要である。
特殊警備
多くの人出が予想されるイベントや、見本市会場の警備、交通整理、工事現場、デパートやスーパーでのスリ・万引対策、過激派対策としての拠点警備、ハイジャック防止のための監視や手荷物チェック等々、臨時的、スポット的な業務、あるいは現金輸送やボディガード等のきわめて特殊な警備である。
広大な敷地や、倉庫等の警備には到底人力ではカバーしきれないところがあるので、この場合には、よく訓練された警備用の犬を使うことがある。これも特殊警備の1つである。
<< 警備会社の上手な利用のポイント >>
警備委託の目的と内容を明確にしておく
まず契約の時点で、なぜ警備会社に委託するのか、その内容、範囲はどこまでかを明確にしておくことが肝要である。こうすることで警備の漏れ(盲点、死角)を防ぎ、適正な料金設定、事故発生の場合の責任の所在が明確になるわけである。
信頼できる会社を選ぶ
警備業界も最大手会社はスタート以来すでに半世紀を越え、当初の人的警備・保安業務から機械警備に変身し、さらに総合情報システム業に変身している。一方、各地には中小警備会社も多数存在し、依然人的警備・保安業務に専念している。したがって、大手の機械警備を手掛けている会社ならまず問題ないが、比較的安直かつ小資本でもできるだけに、なかには無責任な警備会社もある。さらに人材派遣業法との絡みもあり、法的に整備された会社であるか否かのチェックも必要である。
それだけに外部委託する場合、名の通った大手なら安心できるし、小規模でも何か特徴をもった会社、たとえば従業員の流動性が低い(あまり人が代わらない)、教育が行き届いている(マナーがよい)、よく訓練ができている(緊急対応)といった会社を選定すべきである。単に安いというだけで、「泥棒に門番させる」ことのないよう留意したいものである。
現に、その警備会社を利用している他企業の担当者の意見を聞くとか、防犯協会等に相談してみるのも一法である。
地元の警備会社が望ましい
大手の会社は別として、小規模の会社になると、本社から離れた支社や出張所には人材が乏しく、いざという時の処置も不十分になりやすい。
逆に地元に本社のある警備会社は、その地域の事情に明るいので、効率のよい防火、防犯態勢がとれるものである。
契約をキッチリとする
全般的な警備計画、警備対象、警備の内容、人員配置および派遣要員に事故があるときの代替策、契約期間、料金、事故発生時の保証、さらに損害補償といった点については、最初に明確な契約をしておくことが肝要である。
とくに大切なことは、どういう警備を、何人で、どのようにしてくれて、どこまで保障してくれるのか、である。この内容によって料金は高くも安くもなるわけで、この点を十分に実地踏査のうえ、見積りを出させるようにする。
もちろんこの場合に、数社から相見積りを出させ、比較検討すべきである。
導入後の利用上の注意点
導入に当たっては、社内外、とくに従業員に対する周知徹底がきわめて重要である。つまり、従業員の企業防衛意識が欠如せぬよう、普段から派遣された要員との人間関係、規律遵守の社風確立、あるいは機械警備の場合のアラーム・セット手順、連絡方法、アラーム解除手順等の教育徹底が必須要件である。
警備会社の緊急出動の大半は従業員によるアラーム・セット・ミスや失念によるもので、無駄な費用の支出になっている。
さらに、機械警備の最大の弱点は故障であるが、警備会社による定期点検のほか、時には抜打ち訓練や臨時テストを実施することも検討しておくべきであろう。
<< 警備・保安業務を外部委託するときの注意点 >>
委託すべき業務内容を検討する
企業の最高機密に属する箇所や、きわめて危険な部署、高度な熟練を要する監視作業等は、やはり自社で担当すべきであろう。そこでまず、外部委託すべき業務の種類、内容を洗い出し、現に担当している部署および担当者の意見、希望を聴取して範囲を絞り込んでいく。
なお、受付や守衛を外注化する向きもあるが、これは企業の顔でもあるので、できれば自社員としたいところであり、やむを得ない場合でも、派遣された人に対する教育を徹底する必要がある。
また、外部委託のメリットを改めて考え直すとともに、デメリットも見極めておく必要がある。
<< 外部委託のメリット >>
専門的である
一流専門業者の要員は、下記のような受託業務に対する専門化を徹底的に追求しているため、安心して任せられる点が最大のメリットであろう。
1.警備・保安の専門知識や技術、資格をもった者を徹底的に教育・訓練し育成する。
2.また無人警備、自動消火設備等、機械化による警備の効率化、広域化、低コスト化を図る。
3.さらには必要に応じて訓練された犬を使って人間や機械の盲点をカバーさせる。
経済的に有利である
企業として、費用をできるだけ変動費にしておくことが望まれるが、人件費についてはなかなかそうもいかない。
しかし、警備・保安要員を外注化することで、その分の人件費を変動費にし得る。これは経営上、大きなメリットである。さらに、臨時的な増員等にも流動的に対処し得るというメリットもある。
ただし、たえず現状の実態把握をすることが肝要で、任せっ放しにしておくと大きな固定費になりかねないということも念頭に置いておく必要がある。
労務管理上も円滑である
業務の性格上、当然ながら時間外勤務、深夜勤務、交代勤務、断続勤務、危険勤務等が付いて回るため、労働基準法上の問題が発生し、手続き的にも種々面倒が生じやすい。
しかし、これが外注の場合はその対象外となる。警備・保安要員の採用となれば、過去の経歴や所有資格等、適格者の募集、選抜が困難であるが、これも免れ得る。
その他のメリット
臨時警備の必要があるとき(株主総会、大衆抗議行動、ロック・アウト、臨時イベント等)や、現実に問題が発生したとき(災害被災、火災後の警備等)、あるいは派遣要員の欠勤補充、派遣要員による損害発生の場合の補償等、流動的、機能的に対処し得る点も外部委託の大きなメリットである。
<< 外部委託のデメリット >>
これらのメリットの裏返しが、すべてデメリットとなる。
本当に専門的であるかどうか
教育訓練が徹底しているはずであるが、意外に労働移動の激しい業界でもある。したがって、需要増加に対応するには速成教育もやむなし、としているおそれもある。
本当に経済的に有利かどうか
当然ながら、受託会社もコスト(派遣要員の費用ほか)+管理費用+利潤で成り立っているのだから、短期的にみれば、自社で雇用する場合の倍以上の単価になっているはずである。これが高いか、安いかはそれぞれ企業の必要度、適正度に応じて変わってくる。
労務管理上、円滑かどうか
自社の従業員ではないので、人事管理権は及ばない。したがって、契約時に相当詳細に勤務内容、警備ポイント、服務心得を打ち合わせておく必要がある。それでも時には問題が発生する。これが外部委託の最大のウイーク・ポイントであろう。
さらに、派遣要員と自社従業員との人間関係や、頻繁な労働移動によって不十分な引継ぎから発生するトラブルも、大きなデメリットである。
<< 実際に委託する前にチェックすべき事項 >>
委託すべき会社の特徴をよく調査・研究する
業者の要員の教育・訓練はどうか、技術、設備の特徴は何か、得意な分野は何か、何ができ、何ができないかといった点を十分調査するとともに、すでに導入している企業を紹介してもらい、訪問して確認することも必要であろう。
費用の見積りをとり、確認する
保証金とか、警備機器設置費用等の初期費用およびランニング・コスト(機器使用料、回線使用料、人的巡回料等)あるいは臨時出動費等の特別費等々、相当詳細な内容説明とともに細かい見積書を求め、検討すべきである。
その際、警備すべき箇所、範囲、方法、頻度についても、十分に打合わせ検討し、漏れのない(死角のない)セットを組むよう配慮する。
損害補償能力を調査する
一応、損害保険による補償態勢は取っているが、免責条項に該当する事故や、付保外事故発生の場合の損害補てん能力の有無等、預け保証金のこともあるので、業者の経営状態は調査しておくべきである。
著者
樫木 正明(元ローランド株式会社顧問)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。
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