ビジネスわかったランド (総務・庶務)

危機管理事項

火災に備えての日頃からの対策は
 日本全国では、毎年5~6万件を超える火災が発生している。この火災による死者は2,000人、負傷者は8,500人を超えるというのがここ数年の実状である。
火災は、地震などの自然災害と異なり、火元さえ押さえておけば起きないわけで、その意味で予防が可能な災害である。
企業でも、防火管理者を任命し、消火器の配置や消防設備の点検はもとより、屋内の火気管理、消防訓練、消防機関との連絡などの活動を地道に行なうことにより、人命や企業財産の損失を未然に防ぐことができるのである。

<< 火災対策上の注意点 >>

消防設備等の点検
まず、消火器などの消火設備を見やすい場所に配置し、配置場所を明示する。
また、消防設備の全体的検査を、毎年最低2回は実施する。消防設備の点検項目は、次に掲げるとおりである。

屋内の喫煙管理状況や火気使用施設についても、常時留意する必要がある。
電気・ガス設備の全体的な検査は、毎年1回以上実施する。

防火管理者の実施事項
防火管理者は、次に掲げる事項を日常的に実施する。

また防火管理者のほかに、会社内に自衛消防隊を組織し、火災その他の災害が発生した場合、連絡、消火、誘導、警戒、救護などの任務を遂行させる。自衛消防隊は平時には、火災予防上の自主検査、消防用施設などの点検・検査、避難施設の維持管理、避難訓練の実施などの任務を果たすようにする。

消防訓練
有事に際し、被害を最小限度に止めるため、消火、通報、避難の基本的内容に関する消防訓練を年1回以上行なう。
防火管理者、自衛消防隊長は、常に消防機関との連絡を密接にし、防火管理の適正を期するように努力する。
消防機関との連絡事項は、次の図表に示すとおりである。


休日・夜間の災害発生時の対応
休日および夜間の災害発生時の対応は、次のように行なう。
1.従業員、警備員を問わず火災を発見した者は、速やかに消防署および防火管理者へ通報する。
2.通報後、初期消火に当たる。あるいは、延焼の防止や避難完了の確認をする。
3.火災報知機が作動し、または感覚等により異常を感知したにもかかわらず、火災の発生を現認できない場合は、安全を確保した後、所属長および防火管理者に通報し、その原因を特定する。

消防器具の把握
消防器具の配置場所や表示箇所は、平面図に記入して、常時、防火責任者が把握しておく。

<< 消防用設備の点検・報告 >>

消防用設備の定期点検
通路や天井などに、消火器、誘導灯、自動火災報知設備、スプリンクラー設備などが設置されている。
これらの設備は、いざ火災というときに逸早く作動し、操作することによって建物内の人たちに火災を知らせ、早い時期に消火するほか、安全な場所に避難できるように設けられた消防用設備等である。
消防用設備等は、いつでも機能が十分に発揮できるように、定期的に点検し、悪いところは直しておくことが大切である。

点検の立会い
消防用設備等を維持する義務は、建物の所有者、管理者、占有者にある。点検を委託した場合は、点検者任せにせず、設備の管理状況を把握するためにも必ず立ち会うようにする。

定期点検の報告
火災防止のために火元点検を励行するとともに、消防用設備等を備えたビルなどは、定期点検の結果を消防署長へ報告する義務がある。

点検結果報告書の確認
報告者として署名、押印するのは「自社」である。点検者が作成した点検票には必ず目を通して、不備がないか確認をする。
このような義務に違反して定期に報告しない場合、または虚偽の報告をした場合には、消防法により処罰されることがある。

不備事項の改修
点検の結果、不備があった場合は、改修の計画を立て早急に直しておき、消防用設備等はいつでも使える状態にしておくことが何より大切である。

著者
尾花 栄一(マネジメント・ライン代表)
2007年12月末現在の法令等に基づいています。