ビジネスわかったランド (総務・庶務)

株主・株式・役員事項

株主総会の議事録の記載と保管は
 議事録には、議事の経過の要領とその結果を記載するが、とくに採決に影響を及ぼす重要な質問と回答は必ず記載すること。また提案された議案が原案どおり可決されたか、修正または否決されたかについても記載することが必要である。
また、議事録は本店に10年間、その謄本を支店に5年間、備え置かなければならないことになっている。
なお、議事録は、電子ファイルの方式で作成することも認められている。

<< 議事録作成の目的 >>

株主総会の議事については、議事録を作成しなければならない
株主総会の議事については、議事録を作成し、その経過の要領と結果および議長、議事録作成に当たった取締役の氏名等を記載する。
どの程度の内容を記載すればよいか、書式はどうなっているかなどの点については規定はないので、具体的には各社において考えて作成することになる。

審議の過程と結果を議事録に記録しておく
株主総会は、会社の最高意思決定機関として重要事項を決定するが、これについて後日その内容や効力が疑義をもたれることのないように、審議の過程と結果を記録しておくべきとされ、とくに議事録の作成が義務づけられたものである。
会社の経営に当たる取締役は、法令、定款とともに総会決議を固く守る義務を負わされており、それを守らせるうえからも、その内容は書面にして明確にしておく必要がある。

株主と会社債権者は営業時間内であれば閲覧謄写できる
そして、本店や支店に備え置いて、株主と会社債権者が営業時間内であれば閲覧謄写できることとし、公示すべき義務をも課している。

<< 議事録の作成者 >>

議事録の作成義務者は代表取締役
議事録の作成義務者が誰であるかについても、会社法は規定を設けていない。そこで、議長であるという説と代表取締役であるとする説があるが、通常、議長には代表取締役が就任する旨を定款で定めているので、どちらの説でも結果に変わりはない。

議事録はなるべく早い時期に作成する
議事録の作成時期については、会社法に規定はない。しかし、なるべく早い時期に作成すべきことは当然である。総会決議のうちで登記を伴うものについては、本店の所在地では2週間、支店の所在地では3週間以内に行なわなければならないので、その期間以前に作成すべきことになる。議事録がなければ登記手続きができないからである。

<< 議事録の内容と備置き >>

議事録には議事の経過の要領とその結果を記載する
議事録には議事の経過の要領とその結果を記載する。議事の経過の要領と結果とは、開会から閉会に至るまでの会議の経過と結果の要約であり、主な項目としては、次の表に示したような事項が考えられる。


採決に影響を及ぼす重要な質問と回答は必ず記載する
これらについて重要なもののみを記載すればよいが、採決に影響を及ぼす重要な質問と回答は必ず記載しなければならない。
議事の結果とは、各議案に対する採決結果で、決議の成否を明らかにするものである。提案された議案が原案どおり可決されたか、修正または否決されたかを記載する。

不実の記載をしたときは、100万円以下の過料が課せられる
なお、議事録に記載すべきことを記載しなかったり、または不実の記載をしたときは、取締役に対し100万円以下の過料が課せられる。

定時株主総会議事録のモデルは
次に、中小会社の場合の定時株主総会議事録のモデル書式を掲げたので参考にしていただきたい。


議事録は本店に10年間備え置く
議事録は本店に10年間、その謄本を支店に5年間、備え置かなければならない。10年、5年の期間は備え置いた時から計算される。平成21年6月26日に総会が開催されたとして、議事録が本店に備え置かれたのが7月3日であれば、平成31年7月3日まで備え置かなければならない。
上の期間を経過すれば議事録を破棄してもかまわないが、定款変更等の重要な事項が記載されたものは、永久保存しておくのが望ましい。
なお、議事録が電子ファイル化されている場合は、本店や支店のパソコン端末の画面で閲覧できるようにしなければならない。

著者
堀越 董(弁護士)
2011年4月末現在の法令等に基づいています。