ビジネスわかったランド (総務・庶務)

株主・株式・役員事項

株主総会の招集手続きは?
 株主総会を開くには、構成員である株主を招集しなければならないが、この招集の決定は取締役会の決議(取締役会を設置しない会社では、取締役の過半数による決定)により行なう。

●まず総会の日時・場所等を決める
決定すべき事項は、総会の日時・場所、総会の議題等である。定時株主総会のように招集すべきことが会社法で定められているものであっても、具体的な日時・場所の決定が必要であり、また、会社法で規定されている定時総会の議題(計算書類の報告・承認)以外に議題とすべきことがないかについても審議する。たとえば、取締役・監査役の任期が次の定時総会で満了となる場合は、取締役・監査役の改選も議題としなければならない。
この取締役会ないし取締役の決議を経ない招集(たとえば代表取締役が独断で行なう株主総会の招集)は違法であり、総会が開かれ決議がなされても、後日決議取消しの訴えによりその決議が取り消されることがある。

●少数株主にも招集権がある
また少数株主にも一定の要件のもとに株主総会の招集権が認められている。6か月前から3%以上の議決権を有する株主(非公開会社の場合は3%以上の議決権を有する株主)は、株主総会の招集を会社に請求することができ、会社が応じなかったときは、裁判所の許可を得て、その株主自らが株主総会を招集できる。
取締役会ないし取締役によって株主総会の招集が決定された後、具体的な招集手続きを行なうのは代表取締役である。実務上は、定款で取締役社長が総会を招集すると定めているのが一般的であるが、そのような定款の規定がなくても、総会の招集は代表取締役の職務執行行為である。
代表取締役が病気中とか旅行中であっても、担当者がその指示を受けて社長名義で総会を招集することは差し支えない。

●特定の者だけへの通知は決議取消しのおそれがある
招集は、総会の日の2週間(非公開会社の場合は1週間)前に、株主に対して招集通知を発信することにより行なう。招集通知は書面または電子メール等の電磁的方法により行なう。ただ、株主が少数であれば、FAXや手渡しによることも可能であろう。
この招集通知をしなかったり、また一部の株主に対する招集通知を怠った場合は、総会が開かれ決議がなされても、後日決議取消しの訴えによりその決議が取り消されることがある。

●「全員出席総会」とは
会社法が株主総会にあたり、招集通知という手続きを要求している趣旨は、事前に全株主に出席と議決の機会を与えるということにあるので、株主全員が株主総会を開くことに同意した場合は、招集手続きを省略しても株主総会は有効に成立する。
このように株主全員が出席したことにより、招集手続きを省略のうえ開く株主総会は、「全員出席総会」と呼ばれている。株主全員が自発的に集まったか、または社長に呼ばれて株主全員が集まったかは問わず、「全員出席総会」の開催ができる。
たとえば、取締役会の招集決定なしに社長が独断で総会を招集した場合、招集手続きとしては違法であるが、株主全員が出席し株主総会を開くことに同意した場合は、株主総会は有効に成立する。

矢野眞之(弁護士)
2011年4月末現在の法令等に基づいています。