ビジネスわかったランド (総務・庶務)

株主・株式・役員事項

定款変更の決議はどうやる?
 会社法が株主総会の特別決議事項(出席株主の三分の二以上で議決)と定めているもののうち、中小会社においてもよくあるのが、定款変更である。

●株主の利害に反する定款変更
会社が発展していく過程で定款変更が必要となるケースは、かなり多い。(1)本店移転、(2)商号変更、(3)事業目的の追加、(4)会社の発行可能株式総数の増加、(5)役員の定数の増員などがその例である。
このように会社の発展に伴い定款の変更を必要とする場合は、株主の利害に直接の影響を及ぼすこともなく、スムーズに特別決議がなされるであろう。

しかし一方で、株主の利害に直接の影響を及ぼすような内容の定款変更もある。
たとえば、株式会社の株式は、本来、自由に譲渡できるものであるが、定款で、譲渡については取締役会の承認を得なければならないという制限をつけるような場合には、株主の既存の権利が制限を受けることになるため、通常の定款変更とは違った手続きが定められている。
まず、通常の定款変更の決議の要件は、議決権を有する株主の議決権の過半数を有する株主の出席と、出席株主の三分の二以上の賛成だが、株式の譲渡制限を設けるための定款変更の決議の要件は、議決権を有する株主の半数以上で、かつ、その株主の議決権の三分の二以上の賛成である。

決議に反対の株主は書面と総会の場での意思表明が必要
また、決議に反対の株主には、株式を会社に買い取ってもらう権利が認められている。
この買取り請求をするには、総会に先立って書面で反対の意思表示をし、かつ総会に出席して議案に反対しなければならない。総会で反対をした株主に権利が発生するのは例外的な措置だが、事業譲渡・合併の場合にも反対株主の株式買取請求権が認められている。

矢野眞之(弁護士)
2011年4月末現在の法令等に基づいています。